番外編「包めよ」

オブラートに包んだ表現はたくさんある。

そして皆、人付き合いを円満にする為にそういった言葉を用いる。

しかしそのオブラートを剥がしている私は

オブラートに包まない人間として友人知人の間ではなかなか有名である。


某一回り以上年上の同僚と一緒に仕事をした時の話をしよう。

彼とは普段働いているポジションが違うので、彼の仕事の補佐に初めてついたその日、私は物の位置がわからなかった。

彼は私に手書きのメモを差し出した。

「わかんないのはこのメモ見て探してね」

私は3秒程静止した。

字が壊滅的に汚いのだ。

読めない箇所もいくつか。

この場合オブラートに包むなら

「〇〇さん、ここなんて書いてあるのかちょっと・・・」

のように、その箇所だけ申し訳なさそうに聞くのが正しい。

私は3秒静止した後

「いや・・・きったね。ちょっと清書してくるわ」

と言って、本当に清書した。

自慢ではないが母の影響で私は字が綺麗だと、字を見た人ほぼ全員に言われる。

そしてこれも周知の事実なのだが、同僚の字は、やばい。

もはや字ではないと思っている。

あの文字で発注を書いていて次の日ちゃんと納品されるのだから、業者にはかなり腕利きの解読担当がいるに違いない。

「字が芸術的すぎてちょっと読めません」

といったオブラートは何度か使ったことがあるけれど、それを使うと何故かわからないが、読めなさが伝わらないことが多い。

「いやいやwそこまでじゃねーしw」

こんな感じである。

なのでそこそこ親しい相手にはこの手のオブラートは使わないと決めた。

時々こんなのもいる。

「いや、読めるでしょ、普通に」

逆ギレもいいとこである。

「読めねーよ。きたねーよ」

をしっかり伝える為にも、包まないオブラートがある。


ちなみに読めないというと

「あー、達筆すぎちゃった?」

と笑っていう人もいるが、それは間違いである。

私の亡き祖母は結構な書道家であったが

達筆すぎて読めないとは、ああいうのを言うのだ。

自分で言うな。である。


今回は字に関する直球ワードを紹介したが

他にも包まなかった事例が多々あるので

所々で番外編として挟んでいくことにする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?