見出し画像

小旅行・序


そもそも論(前書きとも言う)


今年(2024年)の盆休みが発生するのか、私の仕事は祝祭日度外視タイプのため、不透明だった。
しかし6月後半あたりから、どうやら盆休みは確定らしいと見込むことができた。
前年、東京へと出かけた事もあり、誰か都合のつくフォロワーに会いに行きたいと思う。そこで非常にゆるく声かけを行ったところ、反応があったフォロワーがいた。
ならば、と、大まかに予定を立て、交通手段をググる所からスタート。
お勧めされる手段は飛行機がTOP。しかし恥ずかしながら私、飛行機に乗った事が数回しかないし、一人で乗るのは初めてである。
とは言え、初めてを言い出せばそもそもフォロワー(今回の目的)に会うのも初めてなのであるし、その所在地に行くのも初めてである。だったら飛行機の一機や二機、もののついでで乗ってしまえばよかろうなのだ。
──と、乗り気ではあったものの、私の中にはやはり慣れている電車(と言ってもこちらも使用する路線は初めて)の方がいいかな、という気持ちがあった。
こういう時、私はとりあえず後回しにして他の事を進めようとする。なので宿を決める事にした。
家族旅行なら温泉宿一択になるところだが、個人旅行なので安い事と立地が最優先。ちょっとした+αがあればうれしい、程度で探す。
結局はこれも過去の経験に倣い、全国ホテルグループのひとつに決定。料金が安いし朝食付きプランでコメダ珈琲のモーニングが食べられるのが決め手となった。食事に悩んだ時ホテル内でコメダが食べられるとなれば安心、というのも強い。

ただ、ここにきて私の無知が響いた。「チェックイン」という言葉の意味を勘違いしていたのである。
チェックイン時刻とは、「その時間から宿泊客を客室に受け入れる時刻」なのだが、私は「その時刻までに宿泊受付を済まさねばならない」ものだと思っていた。
そのため、電車では間に合わず、飛行機でも極めてタイトなスケジュールになってしまう。余裕を作ろうと思えば、予定していた日程のさらに前日から出発せねばならない。
この時点で私、出発の飛行機予約を完了してしまっていたために、キャンセル料(全額ではないが)が発生。更に会社に有給を一日申請(これはすんなり通ったので幸運だったが)。
バタバタと旅程を組み直し、どうにかスケジュールが組めた、と、改めてチェックインについて調べたら、前述の真実を知った次第である。余裕がない、どころか、丸一日+2時間の時間が余ってしまった。
まぁ、それならそれでのんびりと観光ができるというもの。現地の観光地のうち、宿からのアクセスの良いものをピックアップしてネットでリサーチ。現地は日本古来の神々に所縁ある土地柄なので、神社が比較的多い。ただ、私個人は特定の宗教に与するものではないため、寺社仏閣よりは歴史・民俗学的側面での興味が勝った。そのため博物館・美術館を候補地に入れる。その近隣にも神社があったため、余裕があれば行こう、と。
同時に、施設近辺での飲食店も探す。観光なので現地の名物を食べたい。夏の盛り、酷暑の候。あちこち歩きまわるのはなるべく回避したいところ。もし名物が食べられなくてもそれはそれで、と、アクセス重視。
あとはお土産である。旅の余韻を噛み締めるには必須だ。とは言え買い込んだものを逐一手に提げていくのは苦行でしかない。地方発送承ります、を探してこれも目星を付ける。まぁ昨今は物流もネットも発達したので、通販や発送を行っていない店舗というのも少なかろうが。

こうして、往復の交通手段と宿の予約を完了し、事前下調べも行った私。
しかし、初めての飛行機は最後までずっと私に不安をもたらし続けたのだった──


出発 その直前まで


飛行機の話をしたが、そも我が地元には旅客機の発着する空港は存在せず、よその空港まで移動しなくてはならない。この移動が、デカい駅から発着する直通リムジンバスなのだが、デカい駅なので乗り場とか複雑。ネットで地図を何度見ても、乗り場の写真を何度見てもさっぱりわからん。めっちゃ調べてようやく経路を把握した。
けど、乗り換え時間にはそこまで余裕がないし、そもそも盆の観光地を通過するバスなので遅れもあり得る。飛行機に間に合うのかは、行ってみるまでわからない。
でもって、飛行機に乗るには(国内線の場合パスポートは不要だが)、搭乗券を発行せねばならず、これはどんなに早くても出発の24時間前からしか(オンラインで)受け付けていない。
電車の切符は1か月前くらいから発給できて手元に揃える事ができる。これに比して飛行機は、乗る直前まで安心できないのである。まぁ天候とかあるのでわからなくはないけれども。それならそれでキャンセル料をもう少し甘くしろよとも思う。

で、搭乗券を発行して、必要に応じて手荷物を預けて、お馴染みのゲートを通ったりもせねばならない。機内には持ち込めないものが色々とあり、その中でも「そもそも飛行機に載せられないもの」というものもある。めんどい。
後で語るが、私は今後なるべく飛行機は使わずに移動しようと決めた。重くてかさばるけど自分の荷物を自分の自由にできる分、電車の方が私には性に合う。
水分補給のためのペットボトルも一旦鞄から出して籠に入れてゲートを通した上でさらに質問もされる。必要な手続きだけども、初見の人間の思う「時間に余裕をもって」とは度合いが全然異なる。これだけ煩雑な事を必須でせねばならないのに、出発時刻の20分前には手続きを完了させていなくてはならないのである。

ここで私の飛行機へのヘイトを並べては本題から外れるばかりなので、ひとまず後に回し、乗り込みまで進んだことにする。

私「え? ……これ?」

搭乗券に「乗客100人以下のプロペラ機なので手荷物が~」とか書いてあるのをチラッと見てはいたが、実際に目の当たりにした飛行機は、いわゆる「飛行機」としてイメージするジェット機(ジャンボではなくとも)とはかけ離れていた。
無事に帰宅している現在としては失礼でしかないのだが、一言で言ってあまりにもショボい。乗り込みにタラップとか使わない。全長がちょっと大きい観光バスくらい(目測)。中に入っても大きいバスくらい。感覚としては乗客、多くても50人くらいじゃないか? って思う。
けど、そんな飛行機にもCAさんがちゃんと二人乗っていて、かつ出発前の乗員紹介の時に「機長は○○、パーサーはXX~」って言ってたので「あー、じゃあもう後は信じるしかないな……」と思った次第である。

結果を言うと、見た目のショボさを思い切り裏切って、かなり快適な空の旅だった。プロペラ機故に水平飛行に入るまでの上昇・下降の際には空調が効かなくなるという欠点こそあったものの、飛行自体は非常にスムース。多分機長がベテランなのだろう。気流の乱れとか着地の衝撃とかも最小限。機内サービス(ドリンク)もあった。私自前の水分あったから断ったけど。

──無事に現地の空港に降り立った私だが、ここでひとつ、述べ忘れていた不安を書いておきたい。
目的地付近で、旅程の前日に大規模な地震があったのである。
具体的な被害は知らないままだったが、災害の報を知った私は大変不謹慎ではあるが、目の前が真っ白になった。

(は? ……は? え? これ、行けなくなったってなったら私の盆の予定〔及び予約した諸々〕空白になるんだが???)

当然、真っ先に心配すべきは現地の人々であり、フォロワーであるのだが、フォロワーに関してはひとまずの無事が早い段階で知れたというのもあって、私は自分の旅行の無事を全力で祈るしかなかったのである。
加えて、異例の南海トラフ緊急なんちゃら。揺れてしまったらもうどうしようもない、と諦めつつ、私は南国の地を踏んだのだった。


空港にて~宿


空港内には飲食店や土産物屋が併設されている。宿のチェックインまで時間のある私は、昼食と土産物の購入を済ませることにしていた。
レストラン街だが、時間帯がやや微妙なのと、地震の影響とで普段通りの営業ではなかった。それでも営業している事がありがたかったし、逞しさを感じた。


冷や汁定食

この画像で分かる人はお解りだろう。そう、宮崎県である。
この定食、冷や汁+チキン南蛮+メヒカリ(多分)の天ぷらと、宮崎の名物が一度に味わえて私のような観光客には大変ありがたい。
日向夏ドレッシングはちょっと甘かったが、悪くない味だったし。冷や汁が美味過ぎた。ミョウガ、私は苦手なのだけど全く気にならなかった。クソ暑い日には本当にこれ以上ないご馳走。毎日毎食これでいい。宮崎県民の身体は冷や汁で出来ている(妄言)。

さて、大満足したところで土産である。
九州全般の土産が置かれているが、一線級にメジャーな明太子とかはそれこそ通販で地元でも買える。ちょっと目新しいものを、と色々選び、送料が安くなる金額まで不足分をお菓子で埋めて発送をオーダー。ちなみに冷や汁も買った。美味過ぎたからである。

宮崎空港には駅が併設されていて、宮崎市内へと電車が出ている。これに乗って市街地へと向かうのだが、まだ時間が早い。待合で時間を潰せたら、と思ったが、空調がなかったのでともかくも宮崎駅に移動してしまう事に。荷物が重かったのもある。

宮崎駅に到着。
私(田舎者)の感覚的に、めちゃめちゃ都会。道路も歩道も広いし、駅前広場が広い。店もビルもいっぱいある。ほぼ池袋(個人の感覚です)。
宿までてくてく歩いて向かう。車のマナーが良いのを感じる(右左折してくる車が歩行者をちゃんと待つので)。
到着。チェックインには若干早く、荷物を預けるだけのつもりだったが、氏名を告げたらすんなりチェックインできてしまったので、若干早く部屋に。早速汗まみれの服を脱ぎ捨て、冷房をガンガン利かせる。荷物を置き、手荷物を整理し、着替えを用意。ふぅ落ち着いた。

仮眠して起きて、着替えて外出。通り雨で気温がちょっとだけマシに。
晩飯を食べ、ついでに部屋での水分とかスイーツとかをコンビニで買うためだ。


ビジネスセット

フォロワーに「チキン南蛮食べてね」とお勧めされた「おぐら 本店」。
後日フォロワーから聞いたところによると、ほとんどの場合混雑していて入れない、行列の絶えない店のようだが、私が行ったタイミングが偶然良かったらしく、待ち時間なしでスッとカウンター席に座れた。
チキン南蛮は空港でも食べていたので、それ+何かにしようと、ハンバーグとのセットであるビジネスセットを注文。
店内は洋食屋の雰囲気と、謎めいたアジアンなインテリアが混在していてちょっと不思議。でも美味い洋食屋とか町中華特有の空気感がある。気がした。
チキン南蛮は食べごたえのあるチキンに甘辛い味付けがされており、その上にたっぷりとピンクがかったタルタルソースが乗っている。何故ピンクっぽいのかはわからなかった。
ハンバーグは柔らかく、肉肉しさのある粗さ。デミグラスソースが旨い。
特に大盛りとかしてないけど満腹になるボリューム。お値段以上。

満足した私はコンビニに寄り、水分とスイーツと缶ビールとアイスを購入。テンション上がっててやや買い過ぎた。
あとは部屋でまったりゴロゴロ。初日はこうして過ぎていった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?