ペルソナを語るよ

つい先日ATLUSから新作&ペルソナ3リメイクの話が出ましたので、この機に乗じて私なりのペルソナ観を語ることとします。

女神異聞録ペルソナ

「もし、僕が悪魔でも──
友達でいてくれますか?」

 こんなフレーズのCMがありました。
 実際のゲームにおいて主人公をはじめとするペルソナ使い達は、ただの人間と言うには無理のある超常的な力を発揮します(し、一部人の形を留めない変形もする)が、それでも悪魔ではありません。
 ““ペルソナ““と呼ばれる、神話上の神や悪魔の姿をした「もう一人の自分」。その力を使いこなすのが「ペルソナ使い」です。
 原典はユング心理学とかになる(し、ゲーム中でもその辺りに触れた解説がある)のですが、専門的なことを素人が憶測で書いても悪い結果にしかならないので省略。
 ともかくも、ペルソナと呼ばれる心の力、普段自覚している自分とは異なる自分、人格、精神的存在。
 その力を使いこなすペルソナ使いという(基本的には)少年少女(大半は高校生)。
 そして、ペルソナ使いの敵となるシャドウ。
 この要素(ペルソナ、シャドウ、ジュブナイル)はシリーズの特徴であり必須要素です。
 どのナンバリングでも学園が出るし、高校生が絡みます。
 とは言え、第一作である無印ペルソナからして「こんな高校生いねーよ」というツッコミ待ったなしですが(ペルソナは心の力なので、個性が強いこともペルソナ使いの条件ではある、という公式の理由付け)。

 ストーリーとしては大きく二つの話があり、序盤の選択(行動)で分岐します。大筋で人の心に棲む魔物(魔的な存在)に触れる話なのはどちらも共通。困難を前にして成長する若者の構図もシリーズ共通。東京は滅びませんが世界の危機は割とぽんぽん来ます。

 システム的にメガテンに似通った、悪魔との交渉→スペルカード入手→合体の流れは健在。
 合体はベルベットルームと呼ばれる、ペルソナ使いにしか知覚できない扉の奥にある、意識と無意識、精神と物質の狭間にある場所(原文)にて行います。
 この部屋の主が““鼻““こと、長い鼻の老人イゴール。以降シリーズを通してずっといます。
 住人は1、2と3以降でガラリと様変わりしていますが、それはペルソナという作品そのものがそうなので後程。

 ちなみにこのペルソナ、メガテンifの要素(ガーディアン)やジョジョの奇妙な冒険(第三部以降)の要素(ぶっちゃけるとスタンド)を元にしています。後者については開発者も認めた?らしい。前者は思いっきりifの舞台である軽子坂高校の制服姿の学生がいるし、そこからの転校生のNPCまでいるので。

ゲーム性とPSPのリメイク版


初出時のハードはPSで、「女神異聞録」の冠のようにメガテンの系譜としての側面が強く、それ故に高難度&アングラなテイストが強かった。序盤のガキにGUNで攻撃して反射されて死ぬとか、南条くんがやたらムド系で死ぬとか、ある意味で元祖ペルソナの代名詞「くちさけ」とか。
戦闘そのもの以外でも、長くて敵出現率高めでセーブや回復地点の乏しい、それでいてギミック盛り盛りのダンジョンとか、フラグが分かりにくく立てるのも面倒だしちゃんと立ったかどうかわかるタイミングも遅いせいでリセマラに不親切なレイジ加入とか、令和の現代には不適切かもという部分は少なくはない。
そんなわけで(令和になる前だけど)PSPにてリメイク版が発売。音楽の刷新やダンジョン、戦闘の難易度を著しく緩和。迷う、分かりにくい、敵出すぎと不評だった町MAPも簡略化。ライト化、マイルド化には、いわゆる古参勢が渋い顔をした(私も諸手を挙げて賛成ではない)けれど、今の時代的にはこれで正解の気はする。今時クソ長いダンジョンで運ゲーは流行らないので。

キャラクター多数


ペルソナシリーズの特徴として挙げ忘れていたけど、メインキャラクターが多数いることが挙げられる。メガテンだとヒーロー、ヒロイン、ロウとカオスの4人がだいたい相場なのだけど、ペルソナはとにかく多い。前線に出るPTメンバーは4人~5人なのだけど、後衛がいたりストーリーの裏で何かしてるやつがいるのが当たり前になっていくので。

主人公

前述のように、ペルソナ使いはアクの強い連中ばかり。元祖ペルソナの主人公は、そんな連中と比べると無個性──という事にされているけど十二分に個性的。通称「ピアスの少年」。

これも言い忘れてたけど、「ペルソナ」にはタロットのアルカナによる分類がなされてて、それは必ずしもメガテンにおける種族とは一致しない(正義・審判のペルソナが天使・大天使ばっかりなのは例外)。
で、主人公のアルカナは「皇帝」。
アルカナには象徴、暗示する意味があって、皇帝のそれは男性的とかリーダーシップとか。
ペルソナ3以降だと主人公=「愚者」がお約束になるのだけど、この段階ではそれはない。
「皇帝」のペルソナはざっくり魔神が多い印象。ガル(疾風系)持ちも多い。

キャラクターにはそれぞれ近接武器+GUN(銃)が装備出来て、その種類はキャラごとに決まっている。
主人公だと片手剣+マシンガン。どちらも癖のない範囲を癖のない回数攻撃できるカテゴリ。

この調子で全キャラ挙げていくと冗長なので、もう何人かだけ絞って挙げることに。

マキ


本編のヒロイン。多数いる(色んな側面の彼女が)。彼女の本質に迫るのが本編の物語。
武器は弓+ハンドガン。ペルソナは「女教皇」。完全後衛タイプ。

エリー


女性版主人公って感じ。帰国子女でオカルトマニアで美人。
武器は片手剣+ライフル。ペルソナは「審判」。主人公同様に戦えるが、やや打たれ弱い。

ゆきのさん


別ルート「雪の女王編」でのヒロイン。姐御キャラ。頼りになり過ぎる。
武器は投具+ショットガン。ペルソナは「女帝」。後衛だが割と頑丈。「さん」付けがあだ名(呼び名)である。

マーク


使えないサル。交渉以外見る所がないしうるさいしうざい。

なんじょうくん


すぐ死ぬ坊ちゃま。交渉ではかなり使えるが、戦闘ではとにかくやたら死ぬ。「くん」付け(略)。

レイジ


特殊なフラグを立てる事で加入できる(本編)、いわゆる隠しキャラ。ペルソナシリーズにおける元祖番長。アメリカンパンチ。ビジュアルがキワモノ過ぎる。ついでに言うと彼の専用ペルソナルシファー様(メガテニストはルシファーを呼び捨てにする事を禁忌とし、様付けか「陛下」呼びする事が多い)は史上最低レベルの燃費を誇る。


絞るって言っといて全然絞れてないね?
事程左様にキャラ多いんです。

難点


時代背景が今となっては古臭いのはしゃーないので除外するとして、ペルソナ召喚の演出が長いのと、頻繁に戦闘するのに突入&終了後復帰のロードが長いのはかなり許容しがたい。
これらはリメイク版で改善されたが、他にもややクセのある経験値分配システムがあり、そちらはリメイク版でも健在(だったと思う)。
このシステム、一言で言うと『一番活躍したやつが一番経験値を得る』システム。
「活躍」とは何かというと

・より多くの敵に
・より高いダメージを与え
・より多く倒した

ざっくり以上の点が評価され、戦闘終了後、参加キャラの頭割りで最低値が分配された後、活躍度に応じて加算が入るって感じ。もちろん死体には経験値入らない(か、最低値)。回復魔法や補助魔法はまた別。
このため、何も考えずにキャラを行動させていると素早くて全体攻撃ができるキャラばかりが育ち、鈍足で攻撃範囲が狭いキャラ(主にマーク)は全然育たないという現象が当然発生する。
マークを切り捨てるなら気にしなくていいのかもしれないが、交渉の際にレベルが足りない事にもなり得るので完全無視も難しい。
この「鈍足に人権がない」システムは2でも継続なので、覚えておいて欲しい。

評価点


難点ばかり挙げた気がするが、リメイク前のBGMは俗に言う””神曲””ぞろいだし、何より「ペルソナ」というアトラスの一大シリーズが世に生まれ出たことの意義は大きい。
次回はペルソナ2~罪~と同~罰~について語ろうと思っている。
予め言っておくと、シリーズにおいても屈指の異色作。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?