はじめて会った時
今、私は大学生であるが、今の彼氏と出会ったのは高校生の時だ。当時通っていた塾で彼とは知り合った。
1人の先生に、生徒が2から3人ほどつくというスタイルの塾だった。個別指導塾というやつだろうか。親に通えと言われてなんとなく行ったその塾は、電車に乗って家から1時間ほどかかる場所だったし、正直毎回の授業にうんざりしていた。当初担当してくれていた先生はとても厳しくて、特にそれが私の向上心を削いだ。
ある日、寝坊して塾に行くのに20分ほど遅れてしまった。(昼寝していたのだ)塾に入る前に自分の髪のボサボサさに気づいて、やばいやばいと手櫛で髪を梳かす。いつも座っている場所は番号がふられていて、決まっているので自分の覚えていた番号の席の方へ行こうとする。
「あ、〇〇ちゃん。こっちこっち。」
そう言って声をかけてきた男の人は、身に覚えのない先生だった。
「ーーえーと…。」
「あ、あのね、今日から僕が担当になりました。前の先生、シフトの曜日変えちゃったんだよね。隣のブースにいつも僕いたんだけど、知らなかったかな」
いかにも優しそうな表情で話しかける彼は、そのまま彼のブースに私を呼んだ。
これ、ラッキーかも知んない。この先生絶対優しいじゃん。そう思った。
私の席の番号は9番だった。
9番、私の好きな数字。
今思えば、これも何かのシグナルだったのかもしれない。
そして、そのブースに座るもう1人の生徒が、いた。
彼はスマホをしていたが、私の方に目をやって、新しい人?とでも言うように先生のことを見る。
「あ。この子、今日から君と一緒にお勉強することになりました。〇〇ちゃんね。」
もう一度その男の子は私に目をやる。
「よろしく…ね」
「うんよろしく」
どこか落ち着いた雰囲気で私にそう挨拶を返した彼が、
今の彼氏になるのはまたのお話。
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