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SNSの誹謗中傷を、考え方から減らしていく「#この指とめよう」 2020/12/02 #テンカイズ

SNS上で問題になっている誹謗中傷。

恋愛リアリティー番組に出演していた女子プロレス選手が命を落とすという悲しい出来事もありました。TwitterやInstagramを始めとした個人のSNSに寄せられる心のない言葉。

ターゲットとなった人を擁護する人たちとの場外乱闘とも言える、ネット上での言葉の衝突。この根深い課題に、解決策はあるのか?

The Breakthrough Company GO プランナー兼コピーライターの小竹海広さんにお伺いしました。

PROFILE
小竹 海広(おだけ みひろ)The Breakthrough Company GO コピーライター/クリエイティブディレクター。広告事務所HELLO IDEA代表。 YOUNG SPIKES ASIA 日本代表。最近に書いたコピー: #この指とめよう 、#外食5チェーン共同作戦、#ケアワーカーをケアしよう

1. 誹謗中傷をなくす「#この指とめよう」プロジェクト

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三浦:うちの社員である小竹はTwitterがすごく好きで、ずっとやってるんです。SNSが大好きなのに、そのSNSがきっかけになって人が悲しい思いをするとか誹謗中傷があるっていうことが、彼はすごく辛かったと。

でもSNSの機能で規制すると、楽しくなくなってしまう。だから使っている人間の心がけとか考え方で誹謗中傷を無くすことが出来ないかと考えて、あるプロジェクトを立ち上げたんです。

小竹:SNSの誹謗中傷を止めるために始めた「#この指とめよう」プロジェクトです。

法律とかプラットフォーム側で規制することは難しく、「バカねぇ」と「バカ!」って言っても区別がつかないんですよね。

みんなの心が少しずつ変わっていくことによって解決するという道を、広告クリエーターの立場としてやってきたいなと思い、この活動を始めました。

宇賀:「#この指とめよう」の由来は?

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小竹:「#この指とめよう」っていうのは、「この指とまれ」っていう言葉にもかけていて、「SNSの誹謗中傷を止めたい人、この指とまれ」っていう思いで作ったハッシュタグです。一人が数万人に刺された壮絶な事件があった。後ろ指っていうものが凶器になるんだよっていうことを伝えるプロジェクトになっています。

そのコピーを乗せたポスターをSNSで公開したり、屋外広告に出しました。
これからのSNSを支えていく世代とかが見たり、
多くの方が乗り降りする駅で人の目に触れたと思います。

そういったところから「この指とめよう」の活動を広めたいということで、
クラウドファンディングを実施しました。

2. 正しい付き合い方を見極める過程の途中

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宇賀:SNSって一度発信してしまうと世界中で見られますよね。その覚悟がまだ出来ていないのかもしれないですね。それこそ「どうせ誰も見てない」と思い書いている人も、結構いるのかなと思ってしまいます。

三浦覚悟以上に、理解と想像の問題だと思います。

ネットの誹謗中傷を日本で受けたことある人ベスト10には必ず入ってくるであろう、はあちゅうさん。彼女が言っていたのが、

「実名で顔を晒して、なおかつ一生消えない、撤回されないっていう前提での言葉以外、発信しちゃいけない」

本当にその通りだなと思いました。

世界中の人が見る可能性があって、永遠にネットの海に残り続ける可能性が極めて高い。良く言えば可能性に満ちているけど、悪く言えばどうなるか分からない危険な場所だっていう認識が足りてないかもしれないです。

宇賀:初対面には絶対かけられないような言葉を掛け合っているじゃないですか。なんであそこの世界だとそれがOKになるんだろう、と不思議です。

小竹:でも世の中を変えるのもSNSなのかなと思うんですよね。

#オキュパイウォールストリート 、#アイスバケツチャレンジ、#MeTooとか。もちろん全部は変えられないんですけど、ハッシュタグで世の中は変わっていくんじゃないかって考えたのが、僕がコピーライターになりたいと思ったきっかけでした。

三浦:SNSはもう無くなることはないですよね。環境として「電車ができたよ」「電話ができたよ」と同じくらい、「SNSができたよ」という変化に対して、どういう付き合い方が正しいのかを考えていかないといけないですね。

電車だったら「駆け込み乗車は禁止ですよ」とか、電話の時にいきなり用件言う前に「もしもし」っていうのがマナーですよとか。そういうことがこれから出来ていく過程の途中なのかなと思います。

3. ストレスが如実にツイートに表れる

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三浦:今回のコロナで、Twitterも変わったんだよね?

小竹:マーケティングの仕事をしているので、色々データを見るんですが、誹謗中傷に関するワードは沢山あるんです。それらを含むツイートは、2019年には約6500万件ありました。それが2020年は同じ期間で、7700万件になっていたんです。

三浦:めっちゃ増えたな!

小竹:数字で見ても、緊急事態宣言が出ていた時期にピークを迎えて、それ以降で微減していっている。コロナの影響は、要因としてあったんじゃないかなと考えています。

三浦:今回のプロジェクトにも協力してくれた、けんすうさんっていうTwitterが大好きな起業家のインフルエンサーがいるんです。その彼が、気圧が低い日はTwitterが荒れやすいって言っていて。人を馬鹿にしたり、人を傷つけるような言葉が増えるのは彼の肌感としてあるそうです。

逆に、晴れている日はポジティブなことをつぶやくとリツイートやいいねが増えやすい。
ストレスによって嫌な気持ちの言葉が出て行ったり、使い方が荒れるんです

宇賀:そうなんでしょうね。

三浦:でもだからこそ、こういうコロナみたいなみんなで一致団結して乗り越えなきゃいけない時に、人間同士で足を引っ張り合うよりは、支え合う方がいいよね

4. テクノロジーは成長した。次は人間の番だ。

三浦:小竹はこの後、SNSをどうしていきたいの?

小竹みんなの心とか意識が変わることによって、誹謗中傷に関するワードが減っていくっていうこと目指してきたいです。

それが出来ないと、法律で罰金が定められたり、プラットフォーム側でアカウント停止されたりします。そうするとSNSはつまらなくなっていきます。楽しいSNSっていう場所を取り戻したいし、そういう環境を作っていきたい。

SNSがこれだけ問題になっているのは、教育の段階でインプットが無いからだと思うんです。使い方を教える教材とか、スマホを初めて買って起動した時に「SNSを使う時は、こういうふうに使いましょう」みたいな文言を入れるとか。そういう活動までいけたらいいなって思っています。

三浦:小竹が言っていてすごく重要なことは、法律とテクノロジーで規制すると、人間の表現の可能性が摘まれるってことですね。みんなが自分の中で一定のモラルとか他人への想像力を持って表現するっていうことは、広げなきゃいけない。教育で解決していきたいよね。

宇賀:使う側が成長していかないといけないなと思います。

三浦:テクノロジーは進化してくれたから、それに人間のマナーや思考が追いつかないといけないっていうことだと思います。

小竹:クラウドファンディングは11月30日で終わっているんですけれども、「#この指とめよう」で様々な議論が行われています。著名人の方から国会議員の方までいろんな発信をされているので、是非「#この指とめよう」でTwitterで検索して、この問題について考える機会にして頂けますと嬉しいです。

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