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日本初の視覚障がい者ナレーション事務所みみよみ」 #テンカイズ

宇賀:去年12月にこの番組「テンカイズ」主催で行われたテンカイズラジオピッチ。
様々なビジネスモデルが飛び出す中、見事優勝したのは、初の視覚障がい者によるナレーション事務所みみよみでした。

今回のゲストは、視覚障がい者によるナレーション事務所「みみよみ」を運営する合同会社ゆるり代表、荒牧友佳理さん。

みみよみの今後の挑戦に迫ります!

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障がいを強みに、仕事を生み出す

浜田:年末のピッチから4ヶ月経ちましたね。本当に感動的でした。

荒牧:感無量でした。ビジネスの将来性を感じてもらえて本当に嬉しかったです。

浜田:ピッチで優勝されて何か変化がありましたか?

荒牧:この事業にかける想いが一層強くなりましたね。障がい者の方からも「私もがんばりたいです。」とご連絡を沢山いただきました。

浜田:ナレーターたちの反応はどうでしたか?

荒牧:本当に喜んでくれて、自分たちが社会に認められたと感じました。練習も熱心に取り組んでくれています。

浜田:今、多くの会社でダイバーシティーの観点で、障がい者雇用も熱心にやっていらっしゃると思うんですね。ただ、障がいのある方にどんな仕事をしてもらうかを悩んでいるんですよ。障がいの方に任せる仕事を広げる可能性も、みみよみさんから感じられました。

荒牧:おっしゃる通りです。
今、全障がい者のほぼ9割が50歳以上なんですね。障がいがあるからこその得意な分野の仕事を開拓していかないと日本社会も行き詰まると思います。

個人的には月100万円の障がい者年金よりも、月20万円で生き生きと稼いで働ける社会がとても魅力的で、良い社会なんじゃないかなと思ってます。
やっぱり人は1人では生きていけないんですよね。

政府は生活の補償はそうすることはできても仕事を生み出すことはできないと思うんです。
そこに気づいた人でやりたい人がやるしかないので、この分野で言えば私だったのかなと思ってます。

浜田:生まれつきの障がいもありますが、誰もがいずれ何らかの障がいを抱える可能性があるってことですもんね。

荒牧:本当にそうなんです。マイノリティに優しくすることは、将来の自分を救うことになるんじゃないかなっていうことだと思うんですよね。

浜田他人事ではなく、見直して考える必要がありますね。

手持ちカードで勝負するなら、このビジネスに

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宇賀:荒牧さん自身の話が気になります!

:大学卒業後、海外を放浪していました。南アフリカに卒業後にずっといました。昼間は無給のインターンをやって夜は夜なバーで下働きしている生活でしたね。

浜田:なんで南アフリカ?

:日本人が少なそうで安そうで、英語圏に行きたかったんです。海外旅行が好きで、色々な人と話してみたい好奇心から行っちゃいました。本当に面白いことが色々あった2年間でした。

宇賀:そこからどういう経緯でみみよみの立ち上げに?

:その後仕事がなくて、フィリピンに行き、コールセンターで働いていました。そこでマーケティングの仕事があると聞き、必死で頼んでやらせていただいたんです。5年ぐらい仕事をして、帰国しました。

帰国後も、マーケティングの仕事をしていましたが、音声コンテンツが需要があるということが分かったんです。

私の両親が、目が見えないので、視覚障がい者の方は、声にこだわりがあって声が強みであるのを知っていたんですよね。

この二つの事実があるなら、あとはこれを紐づけていくだけかなと。それは、私が適任だと思ったんですね。障がいを持つナレーターにとっても親近感を持ってもらえるし、アピールするときにとってもやっぱ説得力が増すなと。

人生は手持ちカードで勝負とかよく言いますが、この仕事に就けば私の手札を一番活かせるんじゃないかなと思ったんですよね。強いわけではないですが、レアなカードだと思うので。カードの最強のかけ合わせをしたというイメージです!笑

浜田:確かに音声ビジネスは今ブームですもんね。今あるナレーションの仕事以外にも沢山の仕事が生まれそうですね。

荒牧:可能性を強く感じています。副音声、音訳も増えてきました。オーディオブックもそうですね。最近だと、社内システムのマニュアル作成で声を使う仕事もいただいたりしているので無限にある感じがしています。

浜田:自分もナレーターになりたいという応募が増えてきそうですね。

:ピッチ以降で増えましたね。ピッチで優勝したおかげで大きく進んでいます!

障がいを持つことが怖くない社会へ

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宇賀:今後の展望を教えてください。

:私の目標は、視覚障がい者の雇用を広げることではなく、障がい者になることが怖くない社会を目指しているんですよね。まずはナレーションを通じて、視覚障がいがあることの優位性を世の中に証明していきたいです。
障がい者の方は、音に敏感であるってことが強みであるからこそいかせる職業もあるので向いているんです。

浜田:視覚障がい者の方は、敏感に人の声を聞き分けていますもんね。

:そうなんですよ。私達は情報の8割を視覚から得てるって言いますけど、視覚障がいの者の方でいうと、8割が耳から得ていることになります。

そうなると言葉や声に敏感になるし、常にどう調整するかを日々やっているので大きな差が生まれるんですよね。

浜田:障がい者の会社だからじゃなくてプロとしてのスキルがすごいんですよね。ナレーション会社として選ばれていきそうです。

宇賀:では最後に改めて、意気込みをお願いします!

:これからはナレーターの教育にもっと力を入れていきたいです。
ナレーション、ナレーターという選択肢が視覚障がい者の中にもっと増えていけばいいなと思っています。日本一を狙って頑張っていきます。

そして、もし皆さんの周りにマイノリティのための活動をしている人を見かけたら、ぜひ応援してほしいです。私もこの事業を始めてやっと気づいたことなんですけども、弱者を救うことは、自分を救うことになると思うんです。万が一のときのために、働き先を増やすためだと思って自分ごと化として応援してくれたら嬉しいです。

もちろん必要があるときには、みみよみにナレーションの依頼をしてくれたらとっても嬉しいです。

宇賀:今夜のゲストは、視覚障がい者によるナレーション事務所「みみよみ」を運営する合同会社ゆるり代表 荒牧 友佳理さんでした。

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