猿楽町で会いましょう

映画『猿楽町で会いましょう』がU-NEXTでサブスク解禁ですって。私この映画がすごく好きなんです。計8回は映画館で観てます。愛媛県で行われる映画祭で上映されるというのでわざわざ飛行機に乗って観に行ったこともありました。

最初観た時の感想は、とにかく主人公のユカが不憫で愛おしくて、まるで友達のように感じられて、全然いい人ではないんだけど、誰にもユカの悪口は言わせないぞと。あとついでに男死ねと。そんな妙な決意に満ちた面持ちで鼻息を荒くして映画館を出てきたものです。
ユカが好き、というのは何回観ても変わらないんだけど、何度目かを観ている時に、あれっ。と思うシーンがあって、それがずっと引っかかってどうにも咀嚼できないので、都内での最後の劇場公開の日、監督が舞台挨拶に来るというので、直接会って、あのシーンはどういう意味なんですか。と、尋ねてみました。

その話をいつかどこかでしたいなぁと思ってたんですけど、でもネタバレになっちゃうしなぁ…と思っているうちにだいぶ経ちました。

今日はその話を思い切って書いちゃいます。
上に書いたとおりネタバレ含むので、観てない人はU-NEXTで見てから続きを読んでください。まあ読まなくてもいいけど『猿楽町で会いましょう』は見てください。



いいですか?見ましたか?



この作品の主人公のひとり田中ユカは、ことあるごとにタバコが嫌いだという話をするんです。CMオーディションのときも話してた。で、同棲相手となる小山田は禁煙するの。
まあその後小山田は喫煙を再開するんだけどね。
小山田のタバコはアメスピ(←これ重要)。
で、ラスト、ユカが出ていった部屋から小山田は引っ越すんだけど、窓から引越し業者を見下ろすシーンで、アパートの窓の手すりにタバコの吸い殻がたくさん入った瓶が置かれているのが写るの。
ふつうに考えると小山田が吸ったタバコなんだけど、でもね。フィルターが違うんだ。茶色というかカーキ色じゃない。アメスピじゃないのよ。
これがすごく気になって。
たまたま適当な吸い殻を集めて入れたからそうなっただけなのかな、とも思ったんですよ。
でも考えたらそもそもそんな絵いらないじゃん。
きっとなにか意味があってわざわざ写してるんですよ。
だとしたらアメスピじゃないことにも意味があるはずなんです。
それがどうしても知りたくて、舞台挨拶のあとエレベーターの前で監督に直接聞いてみました。
監督の答えはざっくりいうと、意味はある。どういう意味かは考えてみて。ということでした。

吸い殻の主は誰か。
ここからは私の推理です。
小山田以外であることは間違いない。
ユカと小山田が別れることになった直接のきっかけは、ユカが小山田の留守に元カレを呼んで浮気してたからです。
だとすると、元カレのタバコの吸い殻だろうか。
可能性はあるけど、そんなに頻繁に元カレが来ていただろうか、あるいは元カレ以外の男も来ていたのかもしれないが、しかしですよ、浮気相手はふつう、窓を開けてタバコ吸ったりしませんよ。誰かに見られるリスク考えたら。

と考えると、吸っていたのはユカでしょう。
でもユカは何度も何度も自分はタバコが嫌いだという話をしていた。CMオーディションでもしていたくらい。
そんなユカがタバコを吸うだろうか。
じつは、ユカがタバコを吸っているシーンがあるんです。
それは本編に先駆けて撮られた予告編。
その中でユカがタバコを吸うシーンがあるの。
あれはひとつの証拠になりはしないだろうか。

ユカはとにかく嘘をつき続け人を騙し続けているんだけど、実はタバコが嫌いというのさえ、嘘、というか設定だったんじゃないだろうか。
あのタバコの吸い殻の入った瓶を見る小山田の表情からして、多分それが正解だと私は思う。
とんでもない嘘つきだよね。
でも私はそんなユカが好き。

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