幻影都市デスパー・シティ

私は好きな特撮番組を聞かれた時、たいてい愛の戦士レインボーマンとイナズマンFと答えており、特にイナズマンFの12話『幻影都市デスパー・シティ』が素晴らしいと力説しておるのですが、これがね。話すと長くなるんだよね。
まずさ、イナズマンFってのはイナズマンの続編なわけですよ。あ、長くなるといっておいてやおら書き出すというのもあれだよね。長いんでしょその話?っていう。まあ長いんだけど、よかったらつきあってください。
でね。イナズマンFは続編なんだけど、イナズマンが面白かったから作られたわけじゃないの。いやまあ、イナズマン面白いじゃん!って人も世の中にはたくさんいるとは思いますけど、視聴率的にふるわなかったのね。
イナズマンってのはざっくり説明するとある日日本中に超能力を持った人たちがポコポコ現れて、そういった超能力者たちを集めて悪さしようとする敵に対し、正義のために使おうとする人たちが立ち上がり、中でもすごい超能力持った人がイナズマンになってその悪の組織と戦うって話なんだが、これがねー、地味な上にオカルトチックで変にグロいっていうね…また主人公がさ、蝶が蛹から成虫になるイメージで変身しろって暗示を受けたらそれを文字通り実践しちゃったもんで、まずサナギマンっていう形態に変身すんの。それがなんせサナギなもんだから、耐久力だけあってまるで無力なのよ。ひたすらボコられてるうちにゲージが溜まってイナズマンに変身できるっていう仕組みになってるわけ。これが無駄な設定なんだよなぁ。
あと、仮面ライダーなんかもそうなんだけど、子供たちをいっぱい出すわけよ。少年少女の超能力者が悪と戦ってるの。でもさ、子役の演技力って中にはすごい子もいるけど、基本大根なわけで、それがかなり足引っ張ってるんだよね、ドラマとしてまったく緊迫感がない。
だもんで、イナズマンは打ち切りになり、それまでの悪の組織バンバは突如現れたデスパー軍団により壊滅、新たにイナズマンFがはじまったという経緯なわけですよ。
でね。まあ、イナズマンFが面白いと私は言ってるわけだけど、これもね、正味な話最初の方はあんまり面白くない。
なぜかっていうと、多分だけど、作り手も手探りでやってるんだよね。
イナズマンの失敗を踏まえて、子供を極力出さなかったり(逆に毎回若手美人女優をゲストで出してみたり)、サナギマンの変身機構を削ったり、色々やってるんだけど、本筋をどうするかまでは手が回ってないんだ。
とにかくそれまでのカラー、石ノ森章太郎色を消して新しいものをつくろうという意思だけで動いてる(とはいえ石ノ森色を消そう消そうとそぎ落としていくうちに、かえってその色が濃くなるわけなんだけど)。
その方向性がカッチリ決まったのが、第12話『幻影都市デスパー・シティ』なんですよ。
この回がとにかく素晴らしくて。
それまでなんとなくテロリストみたいなことやってるけど主目的がわからなかったデスパー軍団とガイゼル総統が、実は地底に巨大な都市を建造し、5万人もの人を誘拐して労働力兼モルモットとして使役している、その都市を管理する市長サデスパーという絶大な力を持つロボットがいるというのがわかるんですね。
ここからめちゃくちゃ面白くなる。
でね。なんでいまその話をしているのかというと、YouTubeの東映特撮チャンネルにちょうどその12話があがってるんですよ。

来週まで見られるので、ぜひ見てほしい。
ほんと素晴らしいよこの回は。

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