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立花隆著「がん・生と死の謎に挑む」を読んで、「がん」に対する認識が変わった!

伊豆の山の中でセカンドライフを送っているペースケです。
糖質制限を始めて半年が経過しましたが、最近また何故か、集中して本が読めるようになりました。(糖質制限が関連しているかどうかは不明ですが・・・)

とにかく、ここ暫くは、小説以外の本を受け付けない月日が続いていたのに、突然、自然科学系の本が読めるようになって自分でも驚いています。
もしかすると、糖質を摂り過ぎていたために、脳が劣化していたのかもしれません。

さて今回は、立花隆著「がん・生と死の謎に挑む」という本を読みました。
この本は、NHKスペシャル「立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む」での取材を基に書かれたノンフィクションです。

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残念ながら私は、その NHK スペシャルを見てないのですが、見てなくても十分に理解できる内容でした。
そして「がん」に対する、これまでの認識が一変しました。

恥ずかしながら、現在「がん」が、日本人の2人に1人の割合で発症し、3人に1人の割合で命を奪っているという事実すら知りませんでした。
2人に1人って、コインの表が出るか裏が出るかくらいの確率です。
いやぁ、改めてショックを受けました。

そして、「がん」は、正常な細胞の遺伝子が、何らかの原因で変異し、無限に自己増殖を繰り返すようになり、浸潤性と転移能力を身に付けた病気です。
自己増殖はわかると思いますが、浸潤性とは、正常細胞の中に深く入り込んで行く事。転移とは、血液やリンパ液に溶け込んで、別の場所に移動する事です。

そして「がん」細胞は、100人の「がん」患者が居れば、100種類の「がん」細胞があり、ひとつとして同じ物が無いそうです。
だからこそ、抗がん剤や放射線治療なども、効果がある人と無い人で大きく差があり、最新の治療現場では、個々人の遺伝子を解析して、その遺伝情報に即した「がん」治療(オーダーメイド医療)が行われるようになっているようです。

驚いたのは「代替療法」と呼ばれる民間療法には、ほぼ100%効果が無いという事。アメリカの国立毒ガス研究機関の中に、「天然資源保管所」と言うセクションがあり、世界中の「がん」に関する「代替療法」の素材が集められて、日夜、その効果が検証されているそうです。

つまり、あらゆる代替療法は、すでに「お試し済み」であり、万が一、本当に効果がある代替療法が見つかれば、それは「代替療法」では無く「標準治療」として、医療現場に取り入れられると言います。

また、抗がん剤というは、はっきりそれが効く少数の「がん」と、効かない大多数の「がん」があり、全ての抗がん剤には必ず副作用があるという事。
実際に統計上、抗がん剤を使っても使わなくても、「がん」患者の余命に、ほとんど差が出なかったそうです。
とは言え、悪性リンパ腫と呼ばれる「がん」には、効果が実証されています。

とにかく「がん」は、生命の起源にまで遡るほど生物進化と密接な関わりがあり、根絶するのでは無く、共生すべきものなのかもしれないという事。
なんだか、コロナウィルスみたいですが、その発生源が人体の正常細胞である分、コロナウィルスよりも厄介です。

そして、発生の原因も、発がん性物質などによる外因的なものから、遺伝子のコピーミスの蓄積による内因性のものまで様々で、防御するのが非常に困難であり、元々が正常細胞である為に、身体に備わっている免疫機構も、「がん」が発症した後は、あまり役に立たないというジレンマもあります。

但し多くの場合、「がん」細胞が「がん」として発症する前に、身体の免疫機構によって駆逐されているのも事実です。
だからこそ、日本人の2人に1人は「がん」を発症しないわけですから。

立花氏は、自ら膀胱がんに罹患し、一度は手術で取り去ったものの再発。
2021年4月に他界しています。

「がん」は、日本人の2人に1人が罹患する上に、歳を取れば取るほど、その発症率が急激に増加します。他人事ではありません。

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