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「炭水化物が人類を滅ぼす」を読んで、生命の神秘を垣間見た!

伊豆の山の中でセカンドライフを送っているペースケです。
今回は、夏井睦(なついまこと)著「炭水化物が人類を滅ぼす」についてです。
もうお気付きかと思いますが、先日読んだ「ケトン体が人類を救う」という本の裏返しです。出版社も光文社新書なので、もしかすると担当者が同じなのかもしれません。

本書は、ひとことで言うと「糖質制限についての解説から、生命の本質に迫る仮説」をまとめたモノです。
後半の生命の本質に迫る部分は、筆者の仮説ですから、鵜呑みにするのは危険ですが、非常に面白い仮説だと思いました。

本書の内容ですが、まず特筆したいのは、これまでの常識を一挙にひっくり返すような変化(パラダイム・シフト)は「個人が受け入れるのは容易だが、集団が受け入れるのは難しい」と言う指摘です。
つまり、糖質制限が正しくても、家族や社会などの集団が、その正しさを受け入れるには、かなりな時間が掛かるだろうと言う事です。

そして「炭水化物は必須栄養素」なのかと言う点に関しては、人間には、アミノ酸を材料にブドウ糖を合成する「糖新生」と言う機能が備わっている以上、必須栄養素とは言えないという事。
さらに、糖質は嗜好品であり、コーヒーやタバコ、アルコール、麻薬などと本質は同じであり、依存性がある事。

また、炭水化物神話を作っている厚生労働省、農水省、そして糖尿病学会のデータには、科学的な根拠が無いだけでなく、利権のために、糖質制限に対してネガティブキャンペーンを行っている云々は、前出の「ケトン体が人類を救う」と同じ事を言っています。

ちなみに、虫垂炎という病気も、糖尿病と全く同じで、昔は不治の病として、下剤を飲ませアヘンで痛みを取るのが一般的な治療法だったのですが、外科手術で完治出来る事がわかっても、長い間、その間違った治療法が支持されてきたそうです。

そして、ここからが本書の目新しい内容ですが、穀物生産の現状として、窒素肥料による土壌汚染と地下水の枯渇で、近い将来、世界の穀倉地帯と呼ばれているアメリカ中西部やオーストラリア南東部は、壊滅状態になると言うのです。
だから、穀物=炭水化物に依存した人類の食生活を、今のうちに変革しなければ、人類の未来は無いと訴えています。

以降、人類と炭水化物(糖質)の歴史を紐解き、なぜ、本来、肉食(雑食)だった人類が炭水化物を主食とする生活様式に変化してきたのかを考察しています。
この辺り、非常に興味深いので、是非、本書を手に取ってみてください。

また、エネルギー摂取と腸内細菌の関係など、肉食だったパンダが竹や笹を常食とするようになった背景などを例に出しながら、面白おかしく解説しています。

ちなみに、人間の母乳に、乳児が消化出来ないオリゴ糖が130種類も見つかっていますが、それは、乳児の栄養の為ではなく、腸内細菌(ビフィズス菌)の餌として含まれているのだそうです。

とにかく、糖質制限から派生して、様々な事例を紹介しながら、生命の不思議さに言及した本書の内容は、仮説部分も含めて、とても革新的で興味深かったです。

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