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姓名判断を批判する人々(5):EXテレビ

●やや実証的な批判

森田正馬氏の個人的な研究に続いて、やや実証的な研究をもうひとつ。和泉宗章氏が『占いの謎』で紹介しているEXテレビのスタッフが行なった調査があります。

ある姓名判断の研究家が、事故や事件に遭った人の名前の総格数(すべての文字の画数合計)を調べたら、28画と34画が多かったというので、これを検証したものです。[*]

●EXテレビのスタッフは当らないことを証明したか?

調査は、読売新聞に掲載された事件・事故に遭遇した約400人の名前と、無作為に抽出した同人数の名前の総格数を比較するという方法で行なわれました。

字画数も漢和辞典と康煕字典の両方を使い、二種類の総格数を調べています。対象期間は平成2年1月1日から平成3年8月31日までの1年8ヶ月。

その結果、総格数の28画も34画も事故や事件とはまったく無関係だったそうです。しかも、28画と34画に特徴が無かっただけでなく、事故や事件と関係がありそうな総画数は見当たらなかったようです。

では、姓名判断の研究家が発見したという事故・事件遭遇者の総格数は、どう説明がつくのでしょうか。後でわかったところでは、この研究家は画数の取り方にあいまいな部分があったようです。

例えば、画数の取り方の違いで27画と28画の二つが考えられる場合、事故・事件に遭遇したのだから28画とすべきだ、などと恣意的に取っていたそうです。そのため結果にも偏りがでてしまった、というのです。

●追試されなければ肯定も否定もできない

この調査結果は、姓名判断の肯定派にはかなり不利ですが、決定的というほどではありません。事故や事件は他の画数合計で判断するべきだと主張する流派にとっては、総格数を重視する流派の誤りが指摘された、という程度の認識しかないでしょう。

また、ふだん使っている字体で字画数を数える常用派にとっては、対象者がどの字体を常用しているか確認しなかった調査結果など無意味に思えるでしょう。それに、多くの流派では数霊法以外の技法も併用しているので、総格数だけで判断するのはシロウトだという反論もあるかもしれません。

さらに厳しいことを言えば、この調査には追試がなされたのでしょうか。別の調査者が偏りの無い条件で再テストし、同じ結果を得たとき、初めてその結果に信頼性が与えられるのです。

もし、追試がなされていないとすれば、姓名判断にはまだひとつやふたつの真実が含まれている可能性があります。プチ懐疑派としては、このわずかな可能性に期待したいと思います。

==========<参考文献>=========
[*] 『占いの謎』(和泉宗章著、集英社、1993年刊)

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