夜桜さん作戦143「そば打ち」 感想

 今回は家族(兄弟)の成長が見える回で最後のページなんかはジーンと感慨深いものが込みあがってきましたね。

 凶一郎失踪の際は、バラバラにならないようにする事で精いっぱいだった家族が、二人欠けた状態でも、食卓を囲うことができる。
 それは、離れていても(洗脳されていても)家族のつながりは切れないという自信の表れかなと。
 凶一郎が太陽に無駄がらみして、六美にうざ絡みするという序盤の関係を想起させることで、余計その変化を顕著に感じました。
 過去に囚われる百と対照させるなど、一話の中で「現在の心象」を克明に描いていて、巧みな構成に舌を巻きました。
 



 凶一郎が20時間ポンコツだったことの暴露とか、四怨が戻って来たあとのことを話すとか、嫌五が落ち込みを家族の前でさらせるようになったとか、それぞれの成長を感じましたね…。
 凶一郎の家族愛が困ったものではなく、茶化す対象になっているというのは一番いい成長だなと。
 先週で単騎はしないと明言してますが、それは家族を自分が「守らなきゃいけない存在」ではなく「ともに戦う仲間」と認識を改めたからなんだろうなと。(百を「三日で捕らえる」というのも、四怨の解析と嫌五のトレースを加味した提案だろうから、という憶測もあるんですが)
 敵が父であっても、揺らがない。
 そういう兄弟の成長は、ファミレスで六美がいろんな覚悟とともに父親と決別を決めたから、というのもあるんじゃないかななんて。
 自分の思いを飲み込んででも、覚悟を決めなきゃならないことを、妹が見せてくれたから、自分たちも甘えていられない、と兄姉が考えていてもおかしくないかなと。

 みんなが力を合わせれば超えられない壁は無い。
 そんな思いを「いただきます」から感じました(尊い)。


 とはいえ、百サイドの光景も、ほほえましく見てしまいました。
 洗脳とは言いながら、百を守るべき家族として認識させているだけで性格をゆがめているとかじゃなさそうで、家族団らんを満喫してましたね。
 ……。
 百が本当に幸せそうにしているのが、かわいそうに思ったのは私だけですか……?
 二刃も辛三も、百とこうした日々を過ごしたかったという思いが一ミクロもなかったとは言えないだろうし、こういう「あったかもしれない光景」って悲哀を誘って同情してしまうんですよね。
 それに、六美は(多分ほかの兄弟も)洗脳一つでどうこうさせることに否定的で、「単純なもの」と言ってますが、逆に手段を選ばないほど渇望しているのかなと思っちゃうんですよね。形骸化では意味がないと感じられるのは、実を伴った形を持っている側の考え方かなあと。
 百はすでに自分の出来うる限りの努力をした結果、家族に亡霊として消えろと憎悪の目を向けられているわけで、夜桜という組織において、「家族による否定、決別」という最大の罰を与えられてしまった百に対して、ちょっと同情的になってしまうと言いますか…、どんな手段を用いても、家族団らんを望んでしまうって、多分夜桜一家だったら誰でも選んでしまうんじゃないかなって思うからなんですけど。
 凶一郎なんかと比較して百を見ると、踏み外す前に救ってくれる人がいなかったのか、運の無い人だ、なんて思ってしまうわけですよ。
 まあ、百は夜桜タブーの「家族(零、六美)殺し」をしているようなので、そういう意味では絶対許されない存在ということではあるのでしょうが。
 
 百はこの後なにかしらの形で制裁を受けると思いますが、実の父への断罪がどんな形になるのか、それまでに百は一遍でも理解を得られるのか、楽しみです。



あんまりに感想に中身が無いのが申し訳ないので、少しでも何か満足感を…と考えた結果、イラストを置くことにしました(中身あるもの書けよとは突っ込まない方向でお願いします…)。

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