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「怖いブス」が自分のお守りだと気付いた話

まず前提として、わたしはいまのわたしが好きだ。決して自身の容姿にいま悲観的になっているわけではない。それだけは先に書いておく。さて、本題に。

わたしは太っているし、顔もかわいくない。
怖いと言われることすらある。

でもそれが世の中にいる意地悪な人から守ってくれる皮肉な「お守り」であることを最近知った。

話は変わるが、わたしは1度だけ性被害に遭ったことがある。中学生のとき、文化祭の準備で学校に遅くまで残っていて帰りが少し遅くなったときだ。

秋か冬だったから辺りは真っ暗だけど、家族は仕事や部活動をしていて帰ってきていない時間帯。

家の鍵を開けようとドアの前に立っていると、原付が停まった。フルフェイスを被っているが、多分男。数秒黙ってこちらを見ているので「うちに何か用ですか?」と尋ねると、男は無言でズボンのチャックを下ろして性器を見せてきた。

初めて露出狂に出会った。混乱して、恐怖とパニックでとにかく走り、近くのコンビニに逃げ込んだ。気持ち悪さか、屈辱感か、言葉にできない気持ちが込み上げて号泣していたところにちょうど本当に偶然、仲良くしている同級生のお母さんが居合わせて、事情を聞いて一緒にわたしの家に帰ってくれた。その後、両親に電話してくれて、帰ってくるまで泣いているわたしの背中をさすってくれた。


やや話とズレるのだが、この後急いで帰ってきた母はわたしに向かって「…そんなことで電話したの?なんでもっと明るいうちに帰ってこないの(ため息)」と言った。母には感謝しているし、尊敬はできないものの大好きではある。だが、この言葉は本当につらかった。ただ見せられただけ、身体は触られてないからこんなことで傷ついていちゃ、こんなに泣いてちゃダメなんだと思った。こんなことがあったくらいで両親を仕事から早く帰らせちゃダメなんだとも。(大人になって色々学んだ今なら、母の言葉はセカンドレイプ以外の何者でもないと知っているし、当時のわたしの隣にいてちゃんとしたケアをしてあげたかったなと思う)


話を戻す。そんな感じで、わたしは性被害に1度だけ遭った。それ以来は満員電車でも痴漢に遭ったこともない。だからこそ、女子大生になっても自身が「大人の女性」であることを忘れていたんだけど。

そして大人になり、世間には駅で故意にぶつかってくる不審者おじさんがいることを知った。ターゲットにされるのは男性のこともあるが大半は女性で、言い返してこなさそうな印象の人、小柄な人を狙うらしい。こういう方々はぶつかり案件以外にも優しそうで親しまれやすい外見ゆえ、クレームをつけられやすかったりするそうで、ストレスのはけ口にされやすいのかもしれない。

一方で、わたしは冒頭で述べた通り、顔が怖いタイプのブスだ。背も低くないし、体も決して細くない。声も低いので学生のときはよく怖いと言われた。第一印象は大体悪くて、自分の容姿をずっと呪ってきたわたし(今は自分のことを好きになれた)は、このぶつかりおじさんに遭遇したことがただの一度もないのだ。

シンプルに容姿が好みじゃないからぶつかりにいかないというのもあるだろうけど、男性だって小柄で優しそうな人は何度もぶつかられることがあるらしい。それを考えると、わたしがターゲットにならないのは多分シンプルに顔が怖いから、あと歩くのが異常に速いのもあるかも。または、わたしに何かしたら黙ってないか、力でねじ伏せられるか、返り討ちにされると思うのかもしれない。ポジティブに捉えれば、怖めの男顔をしていることによって「なめられない」のだ。

そんなおっさんがいる自体おかしいし、はやく滅んでほしい。ただ、わたしは30年近い人生の半分以上を呪って過ごした自分の容姿がそういう奴らから自分を守る盾になっていることに気づいた。ぶつかりおじさんの被害に遭った話を見て、ふと、わたしは遭ったことがないなと気付いたし、これがわかってからは皮肉なもんだなと妙に感心までした。

しつこいようだが、顔がかわいくないことを悲観的になって「わたしなんて」というマインドではなく、あんだけ悩んでいた容姿がまさかこんなところで役立っていたとはな〜くらいの気持ちで書いてる。まぁこの盾効果はありがたいけど、それ差し引いたとして今まで悩んできたぶん考えたら普通にかわいく生まれてきたかったけどね。ただ、デメリットでしかないと思ってたものにこんな効果があったとは!って感じ。

わたしとは逆方向だけど、めっちゃ綺麗で高いヒール履いてるいわゆる「強い女」(菜々緒さんみたいな)も、こういうのは少ないらしい。とりあえずあれだ、いやがらせおじさんは早く滅びな。行為自体がキモいのに見た目で判断してターゲット選ぶってのがまた卑劣でキモいよ。

考えがまとまらなくなってきた。じゃあ、こんなところで。

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