当直中に読むラーゲリ入門 無料

久しぶりの3連直なので以前読んだ本を読み返してみました(私は多くの蔵書はPDF化しております)。
当直はご飯も検食で出ますし、高くて頼んだことはないですがUberで頼んでも良いので当然ラーゲリと大きく違いますが、そうは言っても軟禁状態ではあるので今回は過去に読んだ収容記を紹介したいと思います。

『獄中記 佐藤優』
『収容所(ラーゲリ)から来た遺書 辺見 じゅん』
『不毛地帯(一~五) 山崎豊子』

佐藤優さんは最近でこそ中谷 彰宏(古いですね、年がばれそうです)ばりに出版されておられますが、確かこの獄中記が処女作です。獄中記の後に『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―(新潮文庫)』が出版されたと思います。

どちらも初期の作品です。
佐藤氏は逮捕は国策捜査の一環であり、今までの野中氏や鈴木宗男氏のような再分配的な考えかたから、小泉-竹中ラインのトリルダウン・強いものをより強くする考えに転換するパラダイムにおいて抵抗勢力を作り出すだめに逮捕されたという捉え方をされている。強いものをより強くする考えは国民の多数の利益ではないので、架空の抵抗勢力をつくって、パンとサーカスをつくり国民の不満をそらす必要がある。サーカスの演題に、悪い政治家鈴木宗男氏や外務省のラスプーチン佐藤優氏がおり、他の演題に特定郵便局があったのだろう。一応日本では政治犯を政治犯として捕まえることができないので経済犯や破廉恥犯とし捕まる、そして人質司法なので長期拘留をよぎなくされる。


今回あげた著作はどの作品も不条理な長期拘留を余儀なくされた方の物語ですが、我々医者だって実質的な抑留に近い経験はすることがあると思う。
うつ病などの精神疾患や悪性・外傷に罹患し実質働けないこともあると思います。長期間、離れ小島のような関連病院に家族と離れて飛ばされることもあると思いますが、医局にいくら反逆してもラーゲリに収獄されないんで気楽にやりたいものです。

二作目はソ連のラーゲリで収獄中に死亡され、遺書さえソ連に見つかると破棄させられるので同獄の友人が覚え家族に伝えた話です。シベリアの極寒の中強制労働をさせられながらも、句会を通じて人間性を失わず前向きに生きた兵士(将校ではなく)の物語です。
当直中、どうな理不尽なことでcallがあっても-40℃のシベリアよりはきっとマシです、知らんけど。労働者諸君頑張りましょう。

最後は言わずと知れた山崎豊子の不毛地帯です。
11年シベリアに抑留され、戦後は伊藤忠商事で活躍された瀬島龍三がモデルです。がっつりと読みごたえはありますが、新聞か週刊誌に連載されている娯楽小説ですのですいすい読めると思います。
戦前最高のエリートである陸士→陸大で恩賜の軍刀→大本営参謀と一部の狂いもないエリートコースを歩み、昭和20年7月をすぎ関東軍に赴任しソ連に抑留された軍人です。

34歳でソ連に抑留され帰国までに11年間を要した。帰国後に伊藤忠というザ関西の商社で頭角を現し、相談役まで上り詰め中曽根首相の懐刀となり昭和の参謀とまで言われた人物です。こういった人ですから色々な噂と毀誉褒貶はありますが、日本の昭和を語る上で欠くこともできず物語としても面白いので上記は夏の当直のお供にいいですよ。
ご本人が書かれた幾山河って言う回想録もあるのですが、読みにくいし少し自己弁護にすぎるので不毛地帯をまず読んだ方が良さそうです。

意識高い同期は寝当直中に私のように、読書にあきたらゲームしたりせずに論文を読んだり、のちに書いたりしてましたけど、私にそんなことができる訳もなく、ソ連で抑留されていることを思うと4連直でもまだましだなーと思い自分をなぐさめ、変な虫が出る当直室で寝たり、それを今言うって言う無駄なcallの対応をしたりしながら人生をすり減らしておりました。














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