読書感想文『君の背中に見た夢は 単行本』

小学校受験という、きっと三大都市圏でも数%も経験しない事柄を通じて『家族』を書いておられる。学費も高くない国立のみ受け合格すればラッキーみないな記念受験する層を除いて(通常容赦なく落ちます)、当然家族にも時間的経済的心理的覚悟を要求されます。
小学校受験する層はいわゆる完全に上位層です。私の周りを見ても(友達は少ないのでnが少なくて悪いですが)、親が医師でも小学校受験はしない家庭も多いです。両親が医師、自分も私立小学校出身、開業医、実家が太いこれらに当てはまる(多くは複数当てはまる)家庭が受験しているイメージです。また住んでいる地域によって受ける割合は大きくことなりますね。そういう地域では有意に受験率が高いですね(そもそも小学校受験が実際存在しない地方がほとんどです)。本文でも物語として語られていますが、小学校受験(しょうじゅと略すそうです)を受けるのは旦那の属性として
1経営者自営業者開業医
2渉外弁護士や外資系など高給リーマン
3医師や給与水準の高めなJTCなどの低給奴隷
などが旦那側です。
奥様の属性としては単純に
1専業主婦
2バリキャリ(笑)というか働いている女性なイメージです。
これらの要素に実家からのブーストつまり実家の太さが加わります。
本書では取り上げていませんでしたが最近ではこれに加えて大陸系にルーツをもつ方も増加しており、上記が主な小学校受験のプレーヤーですね。

はい、お腹がいっぱいですでに本書を読むのを辞めたくなった方もおられると思いますが、本書は人物の闇というか弱い部分を抱えながら生きていく様が書かれています。多店舗経営する経営者もBig Fourのパートナー(だったかな?)も斜陽産業のテレビマンもそれぞれ弱い部分をかかえて生きてます。それぞれの人間の弱い部分の書き方は『息が詰まるようなこの場所で』でもありましたが、この著者の醍醐味ですね。もう少し男性親の心理も書いて欲しかったとも思ったのですが、よく考えれば男性側は多くの場合は小学校受験に一歩引いて考えており、女性の心理描写が中心になるのも当然ですね。

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様々な苦労を乗り越えて合格しましたでは、小学校受験塾の合格体験記になってしまうので、そこは著者が単なる合格体験記やルポルタージュにならないように心の弱さを抱えながらも生きる様を書いておられます。

この本や前回の『息が詰まるようなこの場所で』を読んで思いましたが家族を書くにあたって、小学校受験や中学受験を書くのが最適なんでしょうね。高校受験や大学受験は本人の努力の割合が大きくなるし、もう大学受験からの逆転は昭和30年代でもあるまいし起きにくくなってます(中学受験で成功しても下に落ちるのは簡単なのに)。

合格のことを御縁と呼ぶ特殊な世界であることを理解し(御縁があれば合格してなくても入学できる世界であることを理解し)、小学校受験は「進め火の玉、一族玉砕」ぐらいのめりこまずに、家族で乗り越えるone of themのイベントの一つぐらいに距離をとって楽しめたら良いと思ってます(やってる間に親が受験にはまってしまわないように注意したいものです)。


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