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中国皇后記2 ドラマ 上陽賦·王儇(おうけん)のモデルについて(ネタバレ序盤のみ)

 皆さん、こんにちは。翎浅(れいせん)と申します。
 現在、NHKで放送されている「上陽賦〜運命の王妃〜」は、架空の国を元にした超大型スペクタクル時代劇です!今回は主役である王儇(おうけん)のモデルを紹介します!

王儇のモデルとは?

·主演:章子怡(チャン·ツィイー)
 今作の主人公。皇室と琅琊王氏の血を引く、気高き上陽群主。幼馴染との結婚を願うが、運命に翻弄される。

 <史実の人物>
 王儇は二人の人物をモデルにしていると言われています。
1 文穆皇后 王憲嫄(ぶんぼくこうごうおうけんげん、428年〜464年) 
 南朝宋の孝武帝の皇后です。父は王偃(おうえん)、母は武帝の娘·呉興長公主(ごこうちょうこうしゅ)。
 孝武帝の妻となって、とても寵愛を受けました。二人の間には前廃帝を始め、二男四女がいました。夫が即位すると、皇后に立てられます。しかし、夫が若くして崩御し、息子が即位すると皇太后に立てられました。
 38歳で死去し、夫の眠る景寧陵に陪葬され、文穆皇后と追贈されました。"穆"は 徳と義を持っていた。人の感情を察することが出来た という意味があります。

2 武敬皇后 臧愛親(ぶけいこうごうぞうあいしん、361年〜408年)
 南朝宋の武帝の皇后です。臧俊(ぞうしゅん)と叔孫氏(しゅくそんし)という両親の間に生まれました。若い頃の武帝に嫁ぎ、先述の文穆皇后の母·呉興長公主を産みました。賢后と呼ばれるに相応しい女性で、暮らしは質素で親族を推挙することはなかったと言います。
 しかし、48歳で夫の即位前に死去してしまいます。夫が即位すると、敬皇后と追贈されました。"敬"は 朝夕、警戒を怠らなかった。恭しく、善行を行った という意味です。武帝の遺詔により、初寧陵(墓の名前)に陪葬(ばいそう、主の墓の近くに葬られること)されました。

 主にこの二人がモデルとされていますが、翎浅が勝手にこの人物もモデルなのではないか…と考える皇后を更に紹介したいと思います。

武徳皇后 郗徽とは?

3 武徳皇后 郗徽(ぶとくこうごうちき、468年〜499年)
 南朝梁の武帝の皇后です。南朝宋の役人·郗燁(ちよう)と尋陽公主(じんようこうしゅ)の間に生まれました。尋陽公主は南朝宋の文帝の娘で文帝は武帝の息子ですから、郗徽は先述の武敬皇后の義理の曾孫に当たり、文穆皇后の夫·孝武帝の姪なのです。
 郗徽が産まれると、部屋が赤く輝くという出来事が起こりました。郗徽は聡明で隷書(れんしょ、字体の一つ)を得意とし、歴史を好み、史伝を読みました。また、容姿が美しく女性の徳について学び、才能に溢れた女性でした。
 十数歳になると、郗徽は才女であると有名になり、時の皇帝·南朝宋廃帝が皇后に迎えたいと望みました。しかし、父が暴虐な皇帝に嫁がせるのを良しとせず、断りました。更に有能として有名だった蕭緬(しょうべん)という王が求婚しますが、それも病を理由に固辞しました。 
 その後、蕭衍(しょうえん)という人物に嫁ぎます。彼こそが南朝梁を開く、のちの武帝です。夫婦仲は良く、夫の任地に付き添い、支えたといいます。二人の間には三人の娘がいましたが、男子は生まれませんでした。その為、蕭衍は妾を迎えることになります。そんな良妻だった郗徽には弱点がありました。嫉妬深いところです。妾への当たりが厳しく、奴婢のように扱ったといいます。
 その後、間もなく郗徽は亡くなります。享年は32歳と若かったようです。夫が即位すると、徳皇后と追贈されました。"徳"は 諫めることを恐れなかった、民を穏やかに案じた という意味があります。蕭衍は郗徽を一生涯思い続け、他に皇后を立てませんでした。夫と共に修陵に埋葬されました。

 武徳皇后の一生を紹介しました。翎浅がこの皇后がモデルなのではないかと考えたポイントは、3つあります。
 1つは、聡明であると記されている点です。主人公の王儇は非常に聡明で幾度も危機を乗り越えます。武徳皇后より先述の二人の皇后は聡明だったという記述がありません。
 2つは、武徳皇后が三人の男性に求婚されているという点です。王儇は皇太子と幼馴染の馬子澹(ばしたん)、蕭綦(しょうき)に求婚されます。武徳皇后も廃帝と蕭緬(しょうべん)と武帝に求婚されています。
 3つは、登場人物の蕭綦と史実の武帝·蕭衍は姓が同じです。蕭綦も武帝をモデルにしているのかもしれません。

まとめ

 以上の3つの点から、武徳皇后が王儇のモデルの一人なのではと考えました。武徳皇后の人生は王儇に少し似ています。王儇は文穆皇后をベースに他の皇后達の良い所や逸話などをモデルにえがかれた人物だと思います。とても魅力的な主人公ですよね!
 皆様にとって上陽賦がより楽しみになれば、幸いです。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。以上で終わりとさせていただきます。
 

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