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5月14日~5月20日 ニコラスケイジ×遊戯王カード

「こちら、現場です。只今、怪しい外国人二人が遊戯王カードで遊んでいる子どもに接近している模様。至急応援願います。」

新米巡査は混乱していた。

“初日から、こんな事件に出くわすなんてついていない。”

「至急応援願います。男の方はかにかまと缶ビールを手にしており、容姿はニコラスケイジみたいな禿げ頭で、」

“ん、よく見るとニコラスケイジ本人!いや、まさか”

「どうした?」
「大丈夫です。ここでは様子が少しわかりにくいので接近を試みます。」
「やめろ!危険だ!」
「私も悪を正すために警察官になったんです。正義を貫き通します!」
「やめろー!早まるなー!」

新米巡査は無線を切り、外国人二人から二メートルぐらい離れた電信柱に身を隠した。

「Hey,boy.Please give me that  noodle.」

ニコラスケイジ似の男は、英語がわからない子どもにジェスチャーを交えながら必死に頼みこんだ。

「何や!きもい外人やな。何でオレのブタメンあげなあかんねん。」

何となく意味を察したニコラスケイジ似の男は、マネージャーと思われるスーツの女に話しかけカバンからサイン色紙を出させた。

「Please exchange it for this.」
「コノサインシキシトコウカンシテクレトイッテイマス。」
「何でやねん。何でこのハゲのサインと交換しなあかんねん!ていうかおっさん誰やねん!」

ニコラスケイジ似の男にそれを訳すマネージャー。

「Gaddem!×××××!」

とても汚い言葉でののしるニコラスケイジ似の男。むきになって怒る姿があまりにも滑稽なので、ここからは親しみを込めてケイジと呼ばしてもらう。すかさずケイジはマネージャーに耳打ちをした。

「ニコラスハフェイスオフニデテルハリウッドハイユウダゾトイッテマス。」
「知らんわー、ハリウッドって何やねん。」

それを訳すマネージャー。怒りをこらえて再び耳打ちするケイジ。

「ゴーストライダーシラナイノカッテイッテマス。アノマーベルサクヒンヤゾトイッテマス。」
「知るか!そんなやつマーベルにおらんやろ。アベンジャーズでてないし。嘘はあかんわ、ハゲのおっちゃん。」

それを再び訳すマネージャー。

「Fu×× boy!!×××」

エスカレートするケイジ。禿げ頭が真っ赤だ。そこに母親がやってきた。不審者を見るような目で睨みつけられる二人。慌ててマネージャーは母親に話かけた。

「ゴメンナサーイ。ワタシタチサイフトスマホナクシテシマッタンデス。カニカマトビールカッタチョクゴデシタ。ソコデクウフクニタエキレズアナタノboyトnegotiationシテマシタ。オドロカシテスミマセン。」
「そうだったんですか。それはお気の毒に。」

安心した表情のケイジはマネージャーにまた耳打ちをした。そして、マネージャーは母親に再び話かけた。

「コノヒトシッテマスカ?」
「さぁ存じあげないですね。ユーチューブとかティックトックやってます?」

それを訳すマネージャー。

「Shit!!ウエーーン、二ホンダイキライ~」

ケイジは泣きながら走り去っていった。慌ててその後を追うマネージャー。

新米巡査は茫然として、再び本部に一言だけ連絡を入れた。

「事件解決しました。」

新米巡査の奇妙な一日は終わった。帰宅し、食後にユーチューブを見ていたると衝撃のチャンネルを発見してしまった。

「ニコラス・バンジー!!」

伝説のバンジージャンプ系ユーチューバー“ニコラス・バンジー”が、その日爆誕した。


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