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猛勇狼士達が挑む世界① vsイングランド編

 6月22日に国立競技場で行われる日本代表vイングランド代表のメンバー発表がありました。自分はブレイブルーパスに特化してラグビーを観ているので、他の国・地域、他カテゴリーのラグビーはあまり観ないのですが、それでもティア1の国々とのテストマッチは大変楽しみです🔥

 いよいよテストマッチ期間に入るので、これから数回は各国のラグビーを勉強しながらブレイブルーパスの選手たちが対峙する国・チームについて個人的な見どころ、楽しみにしていることをまとめたいと思います。
 今のところ2024年に予定されているイタリア代表、ニュージーランド代表、フランス代表戦の前に記事を書きたいと考えています😊
 ただ私は海外のラグビーにはあまり詳しくなく、あくまで私の個人的な印象や見解で各国を論じるので、正確性に欠ける部分があることをあらかじめご承知おきいただけますと幸いです。各国代表については素晴らしい記事を書かれる方がたくさんいるので、ぜひそれらをご参照いただけますと幸いです。


イングランド代表の現在地 -復活を遂げたマザーネーションのラグビー-

近年のイングランド代表について

 純粋なパワー同士のぶつかり合いであればイングランド代表の右に出る国はいない、と言われるラグビーの母国イングランドですが、2019年W杯の準優勝を境にその後は低迷というか迷走期に入ります。欧州6カ国によるシックスネーションズでもここ数年は苦戦し、2023年W杯の前年の2022年に当時のエディー・ジョーンズHCが解任となります。そしてその後継となったボーズウィックHCの下でも調子があがらず、W杯直前にはフィジーに初黒星を喫したり、当時主将であったオーウェン・ファレル選手のファウルプレーの審議が物議を醸すなど、なにかとネガティブなことが多かったです。

 この時期、エディーHCはSOマーカス・スミス選手など若くて優れた才能を持つ選手を積極的に起用していましたが、なかなか各ポジションが固定されず勝ちパターンもあまりクリアではない印象でした。ただ、その後を継いだボーズウィックHCはチームが何かと騒がしかった2023年W杯前の状況の中で、W杯へ向けてしっかり準備を進めました。

 どのような準備かというと、具体的には①フィジカリティを全面に押し出して相手を制圧し、②優れたキッカーによるキックによりスペースを支配するラグビーを構築していたと思います。キックで試合をコントロールするSOにはファレル主将とジョージ・フォードが起用され、マーカス・スミス選手はFBでの起用は主となりました。
 圧倒的なパワーで相手を制圧する戦術としてはイングランドの代名詞とも言える高速のラッシュアップDFの磨き込みがあったと思います。2023年のウェールズとのテストマッチではラッシュアップでガンガン前に出るDFを見ることができ、キックを織り交ぜてスペースに侵入する、という戦い方を実践していました。

 そして2023年W杯大会に入ってイングランドの復活が始まります。1人退場者を出した初戦のアルゼンチン戦では、接点でアルゼンチンを封じ込め、ジョージ・フォードのPG・DGで点を重ねて見事に数的不利を跳ね返して勝利しました。その後の日本代表戦では日本代表が善戦するも終盤は完全に制圧し勝利、その後も連勝し、1位でグループステージを通過。準々決勝では金星を献上したフィジーにリベンジを果たしました。惜しくも準決勝で南アフリカに敗れたものの3位決定戦では再びアルゼンチンを破り、3位という北半球の最高位でW杯を終えました。

 直近で開催された2024年2月のシックスネーションズでは3勝2敗の3位で大会を終えましたが、W杯で優勝した南アフリカを倒したアイルランド代表に勝利するなど、強いイングランドが復活してきたというのが最近のイングランド代表に対する自分の印象です。

イングランド代表の特徴

 イングランド代表のラグビーを観ていると、ラグビーの基本的なエレメントであるコンタクト強度、パワー、そしてキックによるエリアコントロールといった要素を最大限に高めていることが特徴だと思います。ラグビーの母国らしくラグビーの本質をむき出しにした力による支配がテーマの非常に激しいパワーラグビーを展開します。

 余談ですが、人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する第1部主人公ジョナサン・ジョースター(195cm/105kg)やその宿敵ディオ・ブランドーは19世紀イギリスの大学ラグビーの選手として描かれましたが、まさにジョジョが15人がいるようなチームだと思います。ジョジョのように精神的にもタフな選手が多い気がします。

 そしてそのイングランドラグビーを象徴する要素が前述のラッシュアップDFだと考えています。
 相手チームのAT時のパス回しに対して、ハイスピードで接近してスペースも時間も奪って封殺するこのDFスタイルに対して、ティア1の各国はうまく対応しながら戦っていますが、今年の6Nアイルランド戦では複層的で複数の選択肢を常に持ち続けるアイルランドの洗練されたATをラッシュアップDFのパワーで封じ込めました。
 ラッシュアップDFは、DF選手が相手選手に対して1対1でノミネート(マーク)をしているのではなく、自分の守備ゾーンに入ってきたボールとその持ち手に対してプレッシャーをかけていきます。パスワークが遅れると一瞬で詰められてしまいます。
 あまりにも激しいDFなので80分間も続けるには人間離れしたフィットネスが全ての選手に求められますが、それをやり切ったイングランドはアイルランドに勝利することが出来ました。

猛勇狼士が対峙する主な選手・個人的見どころ

 それではそんなイングランド代表ですが、続いていよいよ我らがブレイブルーパスの選手たちが対峙する主な選手たちと個人的見どころを書いていきたいと思います。

日本代表にとってのこの試合の位置付け

 見どころに先立ってまずは今回のテストマッチの位置付けから。今回の試合は日本代表も第二次エディーHC体制になっての最初の試合となりますが、個人的にはこの試合が2027年W杯に向けた3年の中で最も重要な一戦になると考えています。
 なぜかというと、自分はエディーHCが掲げる”超速ラグビー”はクイックネスを高めてスピードとスキルを軸に相手国を上回る戦術と解釈していて、イングランドのハイパワーとラッシュアップDF、そして巧みなキッキングゲームに対して互角以上に渡り合うことができれば、この方針の正しさを証明することができ、2027年W杯に向けて非常にポジティブな結果を得ることができると考えているからです。
 超速ラグビーの船出、日本代表の現在地を知るべき戦いとしては、今のイングランド代表以上に適した相手はいないのではないか、と思っているくらいです。

 大前提としてテストマッチなので勝利こそが絶対の試合です。胸を借りるとかそういうスタンスではなく勝利しないといけません。
 世界のTOP4を目指すということは実質世界ランク1位との試合にも勝利しないと辿り着けないレベルですので、ぜひ勝利を目指して戦ってほしいです🔥

試合出場メンバー

 続いて出場選手です。まずはイングランドの出場選手ですが以下のメンバーが登録されています。

 続いて日本代表の選手です。ブレイブルーパスからは4人全員がスタメン出場、原田選手はいよいよ日本代表初キャップ獲得となります👏
 そして我らのリーチ・マイケル主将は日本代表でも主将を務めます🐺🌸


ポジション別の見どころ① フッカー(HO)

 原田選手の対面となる相手HOはイングランド代表キャプテンであるジェイミー・ジョージ選手です。イングランド代表として90キャップを持つワールドクラスの選手ですが、対イングランドにおいてはセットピースで劣勢になると試合にならなくなるので、原田選手を中心としたフロントロー、FWの戦いはとても重要になると思います。

*ジェイミー・ジョージ選手 

 またイングランドの控えのHOには、原田選手より1歳年下ながらすでに12キャップを持ちW杯にも出場したテオ・ダン選手が控えています。まだ24歳ですので、これから5年,10年とイングランド代表を支えていく選手だと思います。ジェイミー・ジョージ選手同様セットピースにも強く、また原田選手のようにボールキャリーも強いので、HO同士のマッチアップはまず注目ポイントだと思います!

*テオ・ダン選手


ポジション別の見どころ② ロック(LO)

 続いてワーナー・ディアンズ選手が出場するLOのポジションです。イングランドはマロ・イトジェ選手ジョージ・マーティン選手が出場します。マーティン選手は2001年生まれで、ワーナー選手の1歳上ですがまだ23歳と若い選手です。しかしテオ・ダン選手同様、すでに12キャップを持つ実力の持ち主で、今回はこの若い5番同士の戦いも楽しみです。
 LOはラインアウトの空中戦がありますが、身長ではワーナー選手の方が高いので原田選手やリーチ選手とのホットラインでラインアウトを優位に進めてほしいです🔥

*ジョージ・マーティン選手

ポジション別の見どころ③ フランカー(FL)

 我らのリーチ選手は、LO転向の話もありどのポジションで出場するか色々な噂がありましたが、今回は6番ブラインドサイド・フランカーとして出場します。対面はイングランド代表最年少21歳のチャンドラー・カニンガム=サウス選手です。2024年代表デビューでまだ代表経験は少ないですが、若く強靭な肉体とパワーを持つ選手です。サイズ的にはフリゼル選手と同じくらいですかね。
 バックローの機動力は超速ラグビーにおいても重要な要素だと思うので、コストリー選手やマキシ選手と共にスピードでイングランドを上回ってほしいですね。イングランドのベン・アール選手やサム・アンダーヒル選手も強くて運動量が多いハードタックラーなので、バックローによるバチバチの肉弾戦に期待です💥

*チャンドラー・カニンガム=サウス選手

ポジション別の見どころ④ ウイング(WTB)

 最後はブレイブルーパス優勝の立役者ジョネ・ナイカブラ選手のウイングです。対面はトミー・フリーマン選手です。フリーマン選手は今季ノーザンプトン・セインツでプレミアシップラグビー優勝に貢献した選手で、元ブレイブルーパス所属のバーガー・オーデンダール選手と共にプレーしています。
 フリーマン選手もまだ23歳と若く、これからのイングランド代表を担っていく選手の1人です。イングランドは様々なキックを使ってゲームをコントロールしてくると思うので、ジョネ選手を含めたバックスリーにはキックによるハイボール処理を高い精度で行うことが求められます。根塚選手や矢崎選手と連携して、高身長の選手が揃っているイングランドのバックスリーに対抗してほしいです🔥

*トミー・フリーマン選手

まとめ

 以上、ポジション別に個人的見どころを書いてきましたが、上記の他に個人的に注目しているイングランドの選手は、ラッシュアップDFの要でもあるCTBオリー・ローレンス選手ヘンリー・スレイド選手、いやらしくゲームをコントロールするSHアレックス・ミッチェル選手、鋭いランが武器のフェイ=ワボソ選手、22番に入ったSOフィン・スミス選手などが楽しみです😊
 今回、ブレイブルーパスの選手達と相対する選手は若い選手が多いですが、気を抜かずに全力でぶつかって行ってほしいです🔥

 国立競技場での応援、頑張りましょう!!


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