見出し画像

2023-24 ブレイブルーパス東京プレシーズンマッチ観戦記

 11月25日のクボタスピアーズ戦をもって2023-24のプレシーズンが終了しました。全5試合のプレシーズンマッチ(以下、PSMと書きます)のうち3試合を観戦させていただいたのでその内容を振り返りたいと思います。


●2023-24PSM結果:5戦中2勝3敗

  • 第1節 ブレイブルーパス東京 49 - 31 三重ホンダヒート ◯勝利

  • 第2節 ブレイブルーパス東京 17 - 40 浦安D-Rocks ●敗戦

  • 第3節 ブレイブルーパス東京 24 - 29 豊田自動織機シャトルズ愛知  ●敗戦

  • 第4節 ブレイブルーパス東京 25 - 45 東京サントリーサンゴリアス  ●敗戦

  • 第5節 ブレイブルーパス東京 50 - 28 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ ◯勝利

第1節 三重ホンダヒート戦(10月14日)

アップ中の様子

 PSM1試合目となったヒート戦は若手選手を主体とした31人の選手がメンバー入りし、シーズン開始から準備した成果が試される試合となりました。
 試合は、ブレイブルーパスが幸先よく先制し得点を重ねながら、時折ヒートの良いプレーにやられてしまいつつもなんとか勝ち切り、幸先の良いスタートを切ることができました😊

 この試合ではセットピースやキック、ディフェンス、新加入選手も交えたサインプレーなどを注目して観戦していたのですが、良いプレーがいくつもあり大変期待が持てる内容でした。覚えている限りですがいくつか挙げてみたいと思います。

良かったと思うプレー①強いセットピースからの連携プレー

 まず先制トライですが、エッジ付近でのスクラムからブラインドサイド側のウイングがオープンサイドにスライドすることで、スクラムから出たボールに対して相手DFに的を絞らせずうまく展開し取り切ることができました。
 このようなサインプレーは昨シーズンもよく見られたのですが、今シーズンも健在だったので嬉しかったです。

 またその後3トライ目は、ラインアウトからモールで押して相手に反則がありアドバンテージを獲得。アドバンを活かしながらSH杉山選手が素早く球出し→SO中尾選手、12CTB眞野選手と繋ぎ、途中13CTBロブ・トンプソン選手がうまく囮になることで相手DFを止めて、ブラインドサイドから展開してきたWTB濵田選手のトライとなりました。
 このプレーは強いFWのセットピースとBKの素早いプレーと巧みな連携が融合した、まさに15人全員でトライを取り切ったナイスプレーだったと思います👏
 PSM1試合目ながら選手の皆さんが充実した準備をしてきたことが窺えて良かったです😊

良かったと思うプレー②杉山選手、眞野選手らの声出し・リーダーシップ

 プレー中のことですが、SH杉山選手がラックから直接ハイパントキックする際のシールドとしてラック付近にいたFLマレコ選手に、ラックから出てブラインドのエッジ側に移動するように指示していました。この時エッジには人がいなかったため、キック後にボールを奪取されてエッジに展開されるとリスクになる場面だったので、この杉山選手の声かけはリスクがケアできていてとても良いことだと思いました。
 またヒートのトライに繋がったシーンですが、ピッチ中央でボールがタッチに出た際にブレイブルーパスの選手達の足が一瞬止まる中、この試合のゲームキャプテンであった眞野選手が、ヒートがクイックでボールを入れて展開するから油断しないように、と声出しをするシーンがありました。
 結果、声出し虚しくヒートがクイックで入れたボールをそのまま展開しトライになってしまったわけですが、自身もハードワークする中でも視野広くフィールドを見渡して声出しする眞野選手を頼もしく思えました。

 上記2つ以外にも良いプレーはたくさんあり、ラウシー選手のインパクト抜群のラインブレイクや眞壁選手のハードワーク(特にフィールドプレー)、佐々木選手の素晴らしいトライなど若手・中堅選手をとても頼もしく思えた試合でした⭕️

第2節 浦安D-Rocks戦(10月21日)


アップ中の様子

 第1節から一転してタフな試合になった第2節浦安D-Rock戦。第1節同様若手を中心に31人がメンバー入りしましたが、前半同点で折り返すものの後半は相手に圧倒されてしまう展開となりました。

 相手が良かった部分もあるのですが、相手のプレッシャーに押されてしまってうまく連携ができなくなったこと、個対個の場面で競り負けてしまったことなどが重なり敗戦となりました。

 印象的なシーンとしては後半中盤頃に、相手のプレッシャーに押されたブレイブルーパスの選手達のポジションが、ピッチ中央の広いエリアにPRやH Oが固まっていて、エッジ側の狭いエリアを体が大きくないSOやWTBで守ってしまっていて、結果的に中央でラインブレイクされエッジでは相手の強いランナーを止められない、といったシーンが見られました。
 素早くDFラインが整えられているように見えてポジションにミスマッチがあったように思いました。前節ヒート戦が良かっただけに、この状況を引き起こした浦安D-Rocksのプレーは見事だったと思います。

 そんな中、この試合で良いプレーだと思ったシーンがこちらです↓

良かったと思うプレー③ピッチ中央からのラインブレイク、その後のサインプレー

 ブレイブルーパスの2トライ目はスクラムからのサインプレーでしたが、このトライの伏線となるプレーがその前にありました。まずピッチ中央からSH→SO→13CTB眞野選手(この試合は前試合とポジションチェンジして13番)と繋いで、巧みにステップを切りながらラインブレイクし大きくゲインに成功します。
 その後得たスクラムでは前試合と似たような両WTBが絡むサインプレーを展開し、桑山聖生選手・桑山淳生選手の兄弟2人でトライを取り切ることに成功します。2人の上手さも光りましたが、その前に眞野選手がラインブレイクしていたことがあったからか、相手DFは眞野選手のケアに一瞬気を取られたように見えました。そこを見逃さずループを駆使したパスワークで崩し切った良いプレーだと思いました😊
 トライを取る最後の場面だけでなく、それまでの良いプレーが重なってチームとして取れたトライだと思います。良いスクラムを組んだFWもナイスでした👏

 上記のほか、この試合ではFB松永選手のハイボールの強さ・ラインブレイカーとしてのプレー、HO原田選手の鋭いランなど2人の持ち味溢れるプレーも今季も見られて大変頼もしく思いました。

第5節 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦(11月25日)

アップ中のリッチー・モウンガ選手

 第3節、第4節は不参加のため割愛し、続いてPSM最終戦第5節を振り返ります。この試合は新加入のリッチー・モウンガ選手シャノン・フリゼル選手、日本代表として活躍した選手達も合流し、シーズン開幕に向けた本気メンバー27人が出場しました。(公式HPには記載がありませんが森勇登選手も出場)

 相手は昨季王者のクボタスピアーズでしたが、ブレイブルーパスはほぼ完璧な試合運びを見せて見事に快勝しました。第2,3,4節を見て不安になった人もいるかもしれませんが、その不安を払拭して余りあるくらいの素晴らしい勝利だったと思います😊 

良かったと思うプレー④強いFW、強いセットピース

 この試合はフィジカルの優れるスピアーズ相手に見事に80分戦い切ったFWがまず素晴らしいと思います。スクラムやラインアウトモールもほぼ安定していましたし、DFラインが押されることがほとんどなかったと思います。何より1stトライはモールで取り切る、という東芝魂をまず見せてくれたことが嬉しかったです🥹笑
 PR木村選手は常にハードワークをしていながら、さらに1人でトライも取り切る活躍を見せてくれました。また解説の橋本選手も仰っていましたが、眞壁選手のスクラム修正なども光り、決して接点で負け続けることがなかったと思います。LO、BRも皆ハードワークが光りました👏

 またFWのセットピースが安定していたこともあり、BKも自分たちがプレーしやすいような陣形が組めていたようにも思います。
 敵陣エッジ側での自ボールスクラム時に、これまではブラインドサイド側か、スクラムの真後ろにそのサイドのWTBが立つことが多かったと思いますが、この試合では少しオープンサイド側に寄って他のBKに近い位置に立っていました。おそらくそこに立つことでBK間の間隔が狭くなり連携しやすい陣形になっていた気がします。
 もしスクラムが押し負けてターンオーバーされるとブラインドサイド側がガラ空きになっているので大きなリスクがありますが、スクラムが安定してるために組めた陣形のように感じました。なお一回危なかったことがあったのですが、桑山淳生選手がすぐさまケアしていたのとスクラムが結局耐えたのでことなきを得ました。

良かったと思うプレー⑤精度が上がったサインプレー

 この試合はSOにモウンガ選手が入ったことで皆注目していたと思いますが、個人的には2トライ目のロブ・トンプソン選手との連携はワールドクラスだと思いました。
 エッジ側でターンオーバーした後にフェーズを重ねてオープンサイドの3人(モウンガ選手、ロブ・トンプソン選手、ジョネ選手)に展開しますが、鋭い出足のDFを相手に、ピンポイントのタイミングでモウンガ選手からロブ・トンプソン選手へパス出しすることでブレイクし、最後は大外のジョネ選手がトライ
 ロブ・トンプソン選手はボールロストした際にも備えてやや後方に位置していましたが、モウンガ選手からのパスが来るとみるや素晴らしい反応で前に出て相手DFを翻弄しました。すごく見応えのあるプレーだと思いました👏

 また後半の2トライ目(合計6トライ目)も今度は日本人選手達も合わさって良いプレーが展開されます。
 ラインアウトから12CTB眞野選手と13番に移ったロブ・トンプソン選手が連携してラインブレイク&ゲインしますが、2人のサポートが足りないとみるやSH髙橋選手がラックに入り、それを見たWTB桑山淳生選手が素早く反応してボールをピックして個人技でさらにゲイン、最後はフリゼル選手がトライしました。
 この場面では眞野選手、ロブ・トンプソン選手の連携も良かったですし、髙橋選手、桑山淳生選手の反応の速さ、個人技、身体の強さなどが光ったと思います。ラインアウトを取り切ったFW含めてこれも見事なトライだったと思います😊

 その他、この試合の良い点を挙げると枚挙にいとまが無いくらいたくさんあり、出場した全員が素晴らしかったと思います👏


シーズン開幕に向けて

 以上、3試合だけとはいえ今季のプレシーズンマッチも大変楽しませていただきました😊最後に、これまで振り返りを踏まえて開幕に向けた展望をまとめたいと思います。
 実は良いプレシーズンの締めくくりとなったブレイブルーパスだと思いますが、気になることがあります。

気になること:カテゴリ制限となかなか替えが効かない選手

 PSM第5節では注目のフリゼル選手モウンガ選手は同時起用せずに終わりました。現在プレーできる選手とそうでない選手がいると思いますが、第4節までのメンバー構成を振り返ると、これは2人を同時起用するよりLOピアス選手(カテゴリB)、ロブ・トンプソン選手(カテゴリB)、セタ選手(カテゴリC)を同時起用する方がプライオリティが高いということだと思います。※ルール上、カテゴリBCの選手は同時に4選手までしか起用できない

 特に12ロブ・トンプソン選手、13セタ選手のCTBコンビはかなり有力になりそうです。個人的には12番CTBに眞野選手を推したい気持ちもありますが、12,13CTB両方に身体の大きな選手を置くことでWTBも交えたサインプレーが活きる面があるので悩ましいです。この問題はマクカラン選手が負傷から復帰するまではなかなか解消出来ない可能性があります。
 またモウンガ選手は元々スタート起用に向いていることを考えると、LOピアス選手の代わりにカテゴリAの選手が出場しない限りフリゼル選手との同時起用が出来ない状況です。とは言っても良いパフォーマンスのピアス選手を外すのも勿体無い気がしますし、全体を通じてなかなか悩ましい状況だと思います。。

 さらにいうとカテゴリB・Cの運用に悩むということで、反面カテゴリ制限を受けないカテゴリAの選手の中には替えが効かない選手も現れてきます。

 例えば松永選手はSOとFBが出来てハイボールキャッチやラインブレイクなどを高いレベルでこなすことが出来ます。PSM第5節ではモウンガ選手交代後にSOに移り、FBにはマイケル・コリンズ選手(カテゴリB)が入りました。コリンズ選手の代わりにカテゴリAのSOかFBを投入できれば松永選手も交代できるのですが、モウンガ選手スタメン&コリンズ選手リザーブのようなメンバー構成だと松永選手は80分出続ける可能性が高くなります。1試合ならまだしも連戦となると疲労蓄積やケガの懸念もあるのでシーズン通じてこのメンバーのままというわけには行かなそうです。

 また松永選手以外も例に挙げると7番FLもあまり選手がいない状況です。第5節では佐々木選手がスタメン、伊藤選手が後半途中から入りましたが、伊藤選手は本職がLOな上、6番FLも担うため多くの役割を与えられてなかなか交代できなくなる可能性があります。
 前述のフリゼル選手をスタートから起用するようなケースではピアス選手に代わってLOに入る可能性もあります。(あるいはロブ・トンプソン選手、セタ選手のどちらかをカテゴリA選手に入れ替える必要があります)
 松永選手伊藤選手のようにカテゴリAで複数ポジションを高いクオリティでプレーできる選手は替えが効かなくなりそうで、疲労によるパフォーマンス低下やケガのリスクを心配しています。

 一方で、カテゴリB・Cがあまり関わらないフロントローやSH、WTBはカテゴリA選手が中心にポジション争いをすることになると思います。
 WTBを例にとると、今回のPSMではこれまで14番WTBで出場していた桑山淳生選手が11番側にコンバートされジョネ選手と併用されていました。また11番で出場していた濵田選手は14番WTBでも出場していてポジションの幅が広がっています。第5節では濵田選手らしい体幹の強さを活かした難しい姿勢での素晴らしいインターセプトも見られましたし調子が上がってきた気がします。桑山淳生選手、濵田選手、ジョネ選手がいずれも11,14両WTBが出来るのは大変頼もしいです😊
 またSHではPSM通じて杉山選手の巧みなゲームコントロールと視野の広さが光ったと思いますし、髙橋選手も持ち前の身体の強さやDF力に磨きがかかって第5節では素晴らしいプレーを見せてくれました。NZ留学も経験したこの2人の活躍も楽しみです!

まとめ

 1人1人に言及しだすと終わらなくなってしまうので、この辺りでまとめに入りたいと思います。
 上記の気になることはありながらも今季のブレイブルーパスは良い成績を期待して良いのではないか、それこそ優勝に近づいているのではないかと楽しみにしています😊
 注目を集めるのはフリゼル選手モウンガ選手だと思いますが、2人以外の選手層もかなり厚くなっていますし、若い選手達は切磋琢磨して実力を大きく伸ばしているように思います。
 プレーオフ本番やプレーオフ行きを争う試合などプレッシャーがかかる局面では、もしかしたら精神的な弱さが出てしまうかもしれませんがそんな時こそ百戦錬磨のフリゼル選手モウンガ選手の活躍が期待しています。彼らの活躍している姿はきっと他の選手達にも良い影響をもたらすと思います。

 BE THE ONEに向かって、まずは開幕戦が楽しみです🔥🐺

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?