2023-24 ブレイブルーパス東京展望④ 新コーチについて

 7月18日、ブレイブルーパス東京の新体制が発表になりました。これまで新加入選手について取り上げてきましたが、今回は新任コーチの2人について記したいと思います。


タイ・リーバDFコーチ

出身地:ニュージーランド ワンガヌイ生まれタイハペ育ち
経歴:
 2010-17 セント・ケンティガン大学 1st XV ヘッドコーチ
 2013 SRブルース U-18 ヘッドコーチ
 2015-16 NPCカウンティーズ・マヌカウ U-19 アシスタントコーチ
 2016 SRチーフス U-18アシスタントコーチ
 2017 SRチーフス U-20ヘッドコーチ
 2018-19 NPCオークランド アシスタントコーチ
 2020 NPCカウンティーズ・マヌカウ ヘッドコーチ
 2021  リーグワンコベルコ神戸スティーラーズ ATコーチ
 2022  リーグワンコベルコ神戸スティーラーズ DFコーチ(役割変更)
※現在のBunningNPCは過去Mitre10Cupという名称でしたが、本記事では表記揺れを避け現在のリーグ名に統一しています。

 タイ・リーバコーチはケンティガン大学からラグビー指導者としてのキャリアを歩み始めました。双子の兄弟のテセサ・リーバさんはラグビーリーグ出身でラグビーユニオンに転向後、Super Rugbyやサモア代表として活躍されました。
 リーバコーチはテセサさんをサポートすること等を通じてラグビーのコーチングを面白く感じてそのままラグビー指導者になったということで、長年ユース世代の育成に現場に携われてきました。

 指導者としての実績ですが、ケンティガン大学では7年で2度の優勝を果たし、2015、16年のカウンティーズ・マヌカウU-19でも連続してタイトルを獲得、2018年のオークランドではトップカテゴリで優勝に貢献しています。
 幅広い世代でのコーチング経験と実績を買われて2020年にカウンティーズ・マヌカウのヘッドコーチとなり、2021年から日本のコベルコ神戸スティーラーズでコーチを務めています。
 ちなみにカウンティーズ・マヌカウでは元All Blacks主将のキーラン・リードや現在のAll Blacksメンバーであるダルトン・パパリイを率いた経験があります。

※上記情報の出典。

 コベルコ神戸スティーラーズでは2021年加入時にはATコーチ、2022-23シーズンからDFコーチを担当しました。ブレイブルーパスでも引き続きDFコーチを担当します。
 2022-23シーズンのスティーラーズの失点数は569失点(リーグ9位、1試合平均35.6失点)と多く、このことからスティーラーズファンからは下位低迷の原因となった、と不評なようです。
 一方でブレイブルーパスの失点数は394失点(リーグ6位、1試合平均24.6点)で、トッドHCもディフェンスをチームの改善点として挙げています。 

「アタックはリーグトップクラスの数字を残せたし、スタイルを確立できたのかなと思います。ディフェンスはフィジカリティでスタンダードに達しなかったのと、相手のアタックのボールを遅らせることができなかった。その点で後手に回ってしまった。全体としてレベルに達していなかったので、次のシーズンは新しいディフェンスコーチと新しい方針で、しっかりと改善をはかっていきたい

東芝ブレイブルーパス東京公式HP【物語りVol.84】「頂点」への戦いは始まっている
https://www.bravelupus.com/exclusive/story_84/

 スティーラーズでの数字だけを見ると不安が残るところではありますが、個人的にはあまりネガティブには捉えていません。トッドHCが言うようにフィジカリティの改善が課題として明確になっているのであれば、まずはそこにフォーカスをして改善すれば良いと思います。
 もし守備の課題が選手間の連携や対戦相手の分析不足などから生じるものであれば、より難題で状況が複雑になっていたと思います。フィジカリティの改善が第一であれば、まずは選手達のハードワークとそこに至るコーチングに期待したいと思います。またフィジカリティはアタック面においても必要なので、やっておいて無駄になることはないと思います。

 またリーバコーチはコーチングキャリアの中で、トップカテゴリだけでなく若年層の育成経験が豊富なこともチームにとってプラスになるのではないかと考えています。現コーチ陣はトップカテゴリの指導経験しかない方も多いので、彼らとは異なった視点で選手自らの成長を促すようなコーチングに期待しています。気づきを得て伸びてくる若手が増えると良いですね!

藤田貴大アシスタントコーチ

 もう1人の新任コーチが昨季まで選手として活躍された藤田コーチです。ブレイブルーパス随一のチームマンである藤田コーチの選手引退と指導者転向には驚かされた人が多いのではないでしょうか(かくいう自分もとても驚きました…!)
 来季も選手登録は残っているとのことですが、出場することはほぼないと考えられます。過去に滑川レフリーがヴェルブリッツに所属しながらレフリーをやっていた時のように、ケガ人が多発してスコッドが組めないくらいの緊急事態でないと出場はしないと考えられます。

 さて話を戻してコーチとしての役割に触れていきたいと思います。まず先日チーム公式のインスタグラムのストーリーズで上がっていた映像では山川選手にブレイクダウンでの規律(オフフィートにならないように)を指導されていました。
 ブレイブルーパスは近年ペナルティが多くなり、失点したりテリトリーを失うことが多かったので、藤田コーチの経験を活かしてコンタクトやブレイクダウンでの規律のコーチングにはとても期待しています。
 また過去のハドルでの発言(昨季のプレシーズンマッチ)などから、規律面だけでなく戦術面においても藤田コーチの指導力が期待されます。
 特に相手のセットピース(スクラム、ラインアウト)やラインディフェンスなどを分析した上で、一つ一つの試合でどう戦うか、チームとしてフォーカスすることを共有しインストールする役割を担ってくれるのではないか、と期待しています。

水間良武アシスタントFWコーチ

※2023年12月7日に水間コーチの加入が発表されたので追記します。

 水間コーチは現役引退後、パナソニックワイルドナイツや神戸製鋼コベルコスティーラーズなどのトップカテゴリでコーチを務められる傍らで、立教大学や同志社大学、日本代表スポットコーチ、世界選抜FWコーチ、ジュニア・ジャパンU20日本代表監督など年代的にも国際的にも幅広い指導経歴を持たれています。また2022年度までは花園近鉄ライナーズをヘッドコーチとして率いて、D1昇格そして翌年の残留と成果を挙げられているので、ライナーズの監督というイメージが強い方も多いのではないでしょうか。
 選手(ポジションはフッカー)としても指導者としても豊富な経験を持たれている水間コーチの加入は大変心強いですね!

 また役割はアシスタントFWコーチということで、FWコーチのサム・ワードコーチと一緒にFWを指導する役割だと思いますが、現コーチ陣は外国人が多いので日本人スタッフが加入して良かったと思います😊

 ちなみにジュニア・ジャパンU-20を代表監督として指揮されていた時のメンバーには原田衛選手がいます。

(参考:U-20代表候補当時の原田選手。水間監督はこの時から原田選手のリーダーシップを評価されていたことが伺えます。)

 そして2016年度に日本代表のスポットコーチをされた時(5/1-4の4日間)には森太志選手、山本選手、橋本選手らが代表として参加していました。
※OBの知念選手、小瀧選手も参加。バックアップメンバーにはFWとして当時東海大学1年生の眞野選手も入っていました。

 まずはリーグワン優勝を目指す選手達ですが、その先には日本代表選出や2027年W杯に出場する、という目標を持っている選手も多くいると思うので、水間コーチからも多くを学び貪欲に成長していって目標を掴み取って欲しいです🔥🐺

※今後もまた追加情報がありましたら随時追記していきます。

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