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2023-24 ブレイブルーパス東京展望② シャノン・フリゼルとFW

前回のリッチー・モウンガ選手とBK編に引き続き、シャノン・フリゼル選手とFWについて書いていきたいと思います。


シャノン・フリゼル(Shannon Frizell)選手 プロフィール

  • 出身:トンガ フォラハ

  • 経歴:NPCタスマン/SRハイランダーズ/ニュージーランド代表(All Blacks)

  • 生年月日:1994年2月11日(現在29歳)

  • ポジション:フランカー/ロック/No.8

  • 身長195cm/体重114kg ※ブレイブルーパス東京加入時 https://www.bravelupus.com/news/221226_2/

  • 既婚者で奥様とお子さんと共に来日する予定

  • 少年時代はサッカーをやっていてU-17トンガ代表に選出されたことがある

  • ラグビーは2011年(17歳)から始めて、2015年にニュージーランドのタスマンと契約し移住

フリゼル選手のプレースタイル・特徴

 フリゼル選手はFL/LO/No.8と複数のポジションをこなすことが出来ますが、メインは6番FLでプレーします。2023シーズンのSuper Rugbyでは4番 LOで出場することがありましたが極めて稀です。

Occupied positions by Shannon on start team :
Back Row : 67 times ( Blindside Flanker 96%, Number 8 1% )
Lock : 2 times ( Lock #4 3% )

フリゼル選手のスタメン起用時のポジション別割合
出典:https://all.rugby/player/shannon-frizell

 プレーの特徴としては、強靭なフィジカルを駆使したランやタックル、ブレイクダウンでのボールの奪い合いを得意とするまさに接点無双の選手です。
 また自分の印象では、セットピースでの強さがとにかく尋常ではありません。特にスクラムでフリゼル選手がいるサイドのフロントローが落とされる(コラプシングを取られる)ことはほとんどありません。
 ラインアウトからのモールも非常に強力なのでブレイブルーパスにとっては大変頼もしい助っ人が加わったと言えると思います。
 またフィジカルの強靭さもさることながら、視野も広く冷静で周囲をよく見ながら自分の役割を果たすタイプだと思います(そうでないとそもそもAll Blacksに選ばれないということなのかも…)

(参考動画)
先日行われた2023TRC第2戦スプリングボクス戦でのフリゼル選手のトライ

 BK3人とはいえデクラーク、コルビ、ルルーを弾き飛ばしてトライを取り切っています。ブレイブルーパスのワイドに素早く展開するラグビーが機能した時にエッジにフリゼルがいたらビッグゲイン、もしくはそのままトライを取れる可能性が高いと思います。容易には止められないはず…!

2023-24チームビジョンとフリゼル選手の役割

「アタックはリーグトップクラスの数字を残せたし、スタイルを確立できたのかなと思います。ディフェンスはフィジカリティでスタンダードに達しなかったのと、相手のアタックのボールを遅らせることができなかった。その点で後手に回ってしまった。全体としてレベルに達していなかったので、次のシーズンは新しいディフェンスコーチと新しい方針で、しっかりと改善をはかっていきたい」
 その後もキックの使いかたやセットピースなどの改善点を、トッドHCはあげました。

東芝ブレイブルーパス東京公式HP【物語りVol.84】「頂点」への戦いは始まっている
https://www.bravelupus.com/exclusive/story_84/

 来季のブレイブルーパスが目指す方向として、トッドHCは先日の記者会見でキックとは別の課題として「セットピースの改善」をあげました。

2022-23シーズンのブレイブルーパスのセットピーススタッツは以下の通りです。

  • スクラム Win99/Lost11 全体勝率78.00%※

  • ラインアウト Win208/Lost36 成功率85.25%

  • ラック Win1,322/Lost64 ラック勝率95.00%※

※勝利数/全体数では別のパーセントになりますが、割合の算出式は不明
出典はこちら↓

 いずれの数字もそんなに上位チームとの差が顕著というわけではありませんが、セットピースでさらに相手を上回れるとさらに自分たちがやりたいラグビーが出来るようになることは間違いありません。
 特に敵陣深く侵入した際にセットピースからのエラーで点を取れないシーンがいくつかあったので、しっかりと点を取り切るラグビーを目指すためにはセットピースの改善は欠かせません。

 フリゼル選手は、前述の通りセットピースでも無類の強さを発揮するので果たす役割も非常に大きいことが予想できます。

フリゼル選手が加入することによる所属選手への影響

 フリゼル選手は複数ポジションをできますが、本来の強さを発揮するとしたら6番FLでの起用になると思います。このポジションはリーチ・マイケル選手、德永選手、山本選手といった実力者と重なっていますので、かなり熾烈なポジション争いになると予想されます。
 一方で皆No.8でもプレーできるので選手層としてはかなり厚みを増したと言えます。
 フリゼル選手もモウンガ選手同様、定期的なリフレッシュ(休養)を取ると考えられるため、選手を休ませながら高いレベルを維持出来るバックロー陣になってきたと言えると思います。

 なおLOでの出場は緊急事態でなければまずないと考えていましてLOの選手にはあまり影響がないと思われます。※その代わり新加入で2人楽しみな選手が加入しています!

フリゼル選手とマット・トッド選手の役割の違い

 トム・テイラー選手と入れ替わりとなったモウンガ選手とは異なり、フリゼル選手のいわば前任に当たるマット・トッド選手とはポジションが異なります。
 マット・トッド選手は7番FLとして、スクラムの時にオープンサイドへ展開する際に初めのボールキャリーをしたり真っ先にブレイクダウンに働きかけたり、ラインアウトには入らず、球出し後の展開時の起点になるなどの役割を果たすことが多かったです。
 この役割での働きは非常に重要でブレイブルーパスのサインプレーを質高く遂行できたのはマット・トッド選手の能力の高さによるところが大きいです。
 一方でフリゼル選手は6番FLとしてスクラムやラインアウト、モールには率先して参加して強いセットピースの構築に貢献してくれるものと期待しています。大外でボールを持つことも多いので、前掲の動画のようにライン際を重戦車のごとく突破していく姿も見られると思います。
 マット・トッド選手が担っていたサインプレー時の役割などは次の7番FLが担うことになると想定されます。マット・トッド選手が残したレガシーを引き継いで大いに活躍してほしいですね。

フリゼル選手加入を想定した予想フォーメーション

 FWもBK同様、全然予想がつかない状況ですが、昨季までを振り返った上で私が個人的に期待する選手とその理由を記します。
 なお一部の新加入選手は自分が不勉強でまだポテンシャルを把握できておりません。。ごめんなさい…

1 ルースヘッド・プロップ

 1番PRの筆頭は、昨季活躍した木村選手、そしてベテランの三上選手だと考えています。今のブレイブルーパスのラグビーは非常にダイナミックなのでPRも動き回って様々な場面で体を張らないといけません。そういう意味では昨季通じて試合に出続けることが出来て、かつ経験を積んだ木村選手には引き続き期待をしています。
 またベテランの三上選手は強い東芝セットピースの代名詞の一人ですし、スクラム時にLOとフリゼル選手からのプッシュでガンガン相手の3番PRを押しつぶすところを見たいです。

2 フッカー

 セットピースの要であるフッカーは、個人的にもイチオシの原田選手を予想します。原田選手は強さやスキルの高さだけでなく非常に足も速く、ポテンシャルも申し分ないので来季もさらなる活躍を期待しています。
 またもう一人、日本代表キャップホルダーである橋本選手にも期待しています。これまでも安定したプレーでセットピースに落ち着きをもたらしてくれていたと思っていまして、来季は代表復帰に向けた活躍を期待しています。
 フッカーは4人しかいないので、ベテランの森太志選手や新加入の林選手にも出場機会があると思っています。ぜひ大活躍してポジション争いを激しくして欲しいです🔥

3 タイトヘッド・プロップ

 3番PRは攻守にわたって高いアジリティを持ってハードワークをする小鍛治選手を予想しています。昨季は一時ケガもありましたが、すぐに復帰して、そのタフネスには驚かされました。
 またカッチカチのスクラムが楽しみすぎるので、眞壁選手にも大変期待しています。低く強いスクラムでガンガン相手を押し込んで欲しいです!

4,5 ロック

 LOはブレイブルーパスが誇るツインタワー、4番ワーナー・ディアンズ選手、5番ジェイコブ・ピアス選手を予想します。個人的にはラインアウトを安定させるためにLOはなるべく固定した方が良いと考えています。シーズン開幕から数試合は複数パターンを試すかもしれませんが、中盤戦あたりから固定して戦い方を確立して欲しいですね。
 LOの控えとなる19番の選手としてはFLもこなせる伊藤選手に期待しています。また長らく東芝のモールを牽引してきた梶川選手や新加入のアニセ・サムエラ選手といったベテランがいることは大変頼もしく、若い選手達を盛り上げていって欲しいです。

6 ブラインドサイド・フランカー

 6番FLは本来の力を発揮して欲しいのでフリゼル選手を予想します。フリゼル選手がいない時はリーチ選手か山本選手だと思います。個人的には新加入のアサエリ・ラウシー選手も楽しみです。
 ラウシー選手はLOも出来るので19番の可能性もあります。ただカテゴリの関係で、交代するとしたらフリゼル選手かピアス選手との入れ替わりになるという制限があるので、出場するためのハードルがやや高めです。
 ただそんな逆境を跳ね返してでも出場する姿が見たい選手の一人です!

7 オープンサイド・フランカー

 マット・トッド選手の後任となる7番FLは德永選手を予想します。德永選手は昨季開幕から数試合、マット・トッド選手が不在だった期間に7番FLで出場しましたがとても高いクオリティの流石のプレーを見せてくれたと考えています。
 また若手ではシーズン後半にかけてどんどん良くなっていった佐々木選手にも大変期待しています。

8 ナンバーエイト

 No.8はブレイブルーパスを代表するリーチ・マイケル選手であって欲しいです(願望)。来季もフル出場を目指すと思いますが、山本選手が復帰したら上手く入れ替わりながら出場すると考えています。
 No.8については不動すぎて予想の余地がないです…😭笑

FW予想フォーメーションまとめ

以上をまとめると個人的な予想フォーメーションは以下の通りです。

  • 1番PR 木村選手/三上選手(どちらかが17番)

  • 2番HO 原田選手/橋本選手(どちらかが16番)

  • 3番PR 小鍛冶選手/眞壁選手(どちらかが18番)

  • 4番LO ディアンズ選手(19番伊藤選手)

  • 5番LO ピアス選手

  • 6番FL  フリゼル選手(20番ラウシー選手か佐々木選手)

  • 7番FL 德永選手

  • 8番No.8 リーチマイケル選手

昨季までに積み上げてきたものがフリゼル選手、モウンガ選手の加入で一気に花開く予感しかしません…!

ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回は2023年度新加入選手についてまとめていきたいと思います。

見出し画像出典:https://thehighlanders.co.nz/our-teams/highlanders-super-rugby/shannon-frizell/

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