NPOインターン生が鹿問題を調査してみた ③
第1回、第2回は鹿が林業、生態系に与える影響についてご紹介しました。今回は「シカと環境」というアンケートを行いましたので結果を発表します。
アンケートの目的は環境問題への意識と鹿に関する知識に相関があるのか調査すること、また鹿のクイズを通して環境と鹿の繋がりに関心をもってもらうことでした。
アンケートの内容は以下の通りです。アンケートの後半には鹿クイズが含まれていました。クイズの答えが気になる方は記事の後半をご覧下さい。
環境意識について
このアンケートは2022年度CSOラーニング制度に参加された皆さんをメインに、その他個人的にSNSなどで呼びかけをし、67の回答を頂きました。環境意識の高い層が多いと予想しており、実際にNo.1では環境問題へ関心がある人は「非常にある」「ある程度ある」合わせて86%でした。No.2では環境に配慮した行動をしているか尋ね、77.6%が「している」と回答されました。環境問題へ関心のある86%のうち、まだ行動していない人もいることが分かります。
No.3の具体的な行動は「排水口に油を流さない」「移動に徒歩や公共交通機関を使用する」が57.7%と多く、一方で「環境に配慮した電気、電力会社を選ぶ」「行動を身近な人やSNSで発信している」は10%ほどと少ない結果となりました。「その他」にはごみの分別や自宅でのコンポスト、マイボトルなど日々の暮らしで実践できる行動を記入頂きました。
No.4の結果は以下の通りです。環境NGOのイベントに参加したことのない人が半数以上いたことに驚きました。
鹿について
No.5鹿に対するイメージは「特に何も思わない」が46.3%、「良い」が28.4%、「良くない」が25.4%という結果でした。特に何も思わなかった皆様は今回のアンケートで鹿について関心を持って頂けたでしょうか。
No.6「ディアラインという言葉を知っていますか」ですが、なんと92.5%の方が「知らない」と回答されました。ディアラインとは、
です。ディアラインは第1回の記事でもふれました。林業の被害にもつながっていることをはじめて知りました。
No.7とNo.8はちょっとした鹿クイズでした。
No.7の皆様の回答は以下の通りでした。
正解は、「シカ」でした。
令和3年度には、野生鳥獣による農作物被害額全体の61%をシカが、続いてイノシシが39%、カラスが13%、サルが8%と報告されています。(農林水産省「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について」より)
次に、No.8について。
正解は青色、5倍増でした。
環境省、農林水産省は生態系や農林水産業などに深刻な被害を及ぼすシカ、イノシシの捕獲目標について「生息頭数を10年後に半減」としています。それほどシカによる被害が大きいということが分かりました。
No.9からはジビエのお話です。「鹿肉を食べたことがありますか」には、「ある」が61.2%、「ない」が38.8%でした。
さらに、No.10の回答は以下のようになりました。
正解は「ロッテリア」でした。
私も知らなかったのですが、2021年の秋から「GO GO GIBIER!」プロジェクトのひとつとして販売がはじまったそうです。期間限定商品ですが、今年もまだ販売しています。
No.11、No.12は環境問題を解決するためにジビエを活用することについて皆様の意見を伺いました。まず、賛成と反対については
という結果になりました。
No.12ではなぜ賛成、反対なのかについて尋ねました。
皆さんの価値観が意見に表れていて、興味深い回答をたくさんいただきました。全ては紹介できませんが少し紹介します。
賛成
・捕獲したものを捨てるのはもったいない
・消費に繋げれば、企業の参入や地域復興など大きな流れに繋げられるから
・輸入の牛や豚を消費するより環境にいいと思うから
・話題性があるから。食を通した環境問題の普及啓発になるから
・インセンティブがあれば持続的な野生生物の管理につながる
反対
・食中毒になったことがある。細菌が危険だから
・中途半端な利用は良くないと思うから
・鹿が可哀想
・根本的な解決にならないから
・環境問題の解決につながるのか分からないから
・ジビエを食べれば環境に良いことをしていると思われるのが嫌だから
第1回、第2回と紹介したように鹿が増えて農業林業や生態系に悪影響が及んでいます。被害が深刻なため、鹿の捕獲が必要である一方で、「ジビエがなぜ環境問題解決につながるのか分からない」という意見があるとおり、鹿の捕獲やジビエ利用は人間の都合による解決策なのかもしれないと考えさせられました。
「ジビエ利用も良いが、なぜ鹿が増えてしまったのか原因を考えて行動しなければ環境問題解決のため行動したとはいえない」という意見もありました。
今回の鹿問題で私は「鹿が増えすぎて自然や農業が被害を受けている」という視点から始めましたが、アンケートを通して鹿肉の利用まで視野を広げることができました。
外部の資源に頼らないと生きていけない私たちですが、その資源を乱用せずに適切に利用できる社会の仕組みを構築し、持続可能な暮らしを実践していきたいと感じました。
アンケートにご協力いただいた皆様ありがとうございました。
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