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技術士試験 業務経歴票の添削

はじめに

 動機、受験科目の選択、業務への取り組み
この3つが技術士試験に対しては重要ですと書きました。

 今回は、心構えや受験の第一歩目から踏み込んで具体的な添削に踏み込んだ内容を記載します。
 業務経歴については各人によって内容は千差万別となり、技術士に見てもらうのが良いと思います。

 以上

 と終わらせてしまうのは、忍びないので今回は過去、技術士第二次試験受験申込み案内に書かれていた記入例を添削する形で進めます。

 無料部分で、記入例とダメ出し
 有料部分で、機械部門(加工生産システム)ならこう書くかな? 金属部門(金属材料)ならこう書くかな?
ということを素人ながら書いてみます。
 もちろん、記入例についての業務をしていないので全然詳しくないですし、金属なんてなんも知らない素人ですので雰囲気だけ感じ取っていただけたらと思います。

 業務経歴票の記入例は最近書かれていない仕様になっていますね。
代わりに、(「目的」「立場と役割」「技術的内容及び課題」「技術的成果」など)を「専門とする事項」に関連するもので
 という記載がされています。
・記入例を真に受けて書いている
・技術的事項が書かれていない
・専門とする事項について書かれていない、専門と異なることを書いている
 人が多すぎるため、このような表現になったのではないかと思います。

過去の申し込み記入例

 令和2年の申し込み記入例を示します。

立場と役割
〇〇〇〇プロジェクト××××建設業務(期間:XXXX年XX月~XX年XX月)のうち、△△△△に建設した輸出用大型原油タンクの鋼板設計、溶接設計及び□□のタンクメーカーへの建設全体の指導の業務を本業務責任者として行った。
業務上の課題
最新の国際基準を満たした国際大型プロジェクトの仕様と、□□国内法規に固執した□□建設業者の施工法をうまく調和させるという課題があった。□□人技術者、監督者、作業者の気質を理解しながら、彼らを納得させ、世界的に最新鋭な大型原油タンクの設計から現場施工の完成までを指導せざる得なかった。
技術的な提案
◇◇◇◇という極寒冷地(-XX℃の設計仕様)で建設、運転される大型原油タンク(容量999,999kL)の鋼板に、世界で初めて▽▽▽(ABCDE12345)を採用した。また、現場の側板(最大99MMT)の立向き溶接に半自動溶接を採用し、建設工程の短縮化を図った。
技術的な成果
□□国内法(YYY,ZZZ)を順守することはもちろん、「FGHIJK」などの国際規格を満足する最新仕様のタンクを□□に建設した意義は大きい。□□のタンクメーカーからは、世界的な技術競争力を得られた貢献で感謝状を受領し、□□□□からは高品質なタンクを安全に建設したことで評価された。(504文字)

上記の経歴票の問題についてコメントを書いていきましょう

 立場と役割
〇〇〇〇プロジェクト××××建設業務(期間:XXXX年XX月~XX年XX月)のうち、
※期間は文字数がもったいないので書く必要はないかも。余裕があるなら記載

△△△△に建設した輸出用大型原油タンクの鋼板設計、溶接設計及び□□のタンクメーカーへの建設全体の指導の業務を本業務責任者として行った。
※技術士法第2条(技術士とは(中略)計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務)に合っている設計及び、設計の指導業務を記載しているのでOK 

業務上の課題
最新の国際基準を満たした国際大型プロジェクトの仕様と、□□国内法規に固執した□□建設業者の施工法をうまく調和させるという課題があった。
※技術的な(専門的に)どのようにすることが調和に繋がるのか不明
※□□国内法規に固執した□□建設業者の施工方法という書き方から、法令遵守に対する意識が見られない
 

 □□人技術者、監督者、作業者の気質を理解しながら、彼らを納得させ、世界的に最新鋭な大型原油タンクの設計から現場施工の完成までを指導せざる得なかった。
※指導せざる得なかった という表記からポジティブな取り組みとかけ離れた印象

技術的な提案
◇◇◇◇という極寒冷地(-XX℃の設計仕様)で建設、運転される大型原油タンク(容量999,999kL)の鋼板に、世界で初めて▽▽▽(ABCDE12345)を採用した。
※世界で初めて▽▽▽を採用するにあたっての問題点や課題などが記載されていない
※世界で初めて▽▽▽を採用することと、業務上の課題である、□□国内法規に固執した□□建設業者の施工方とうまく調和の話がつながっていない

 また、現場の側板(最大99MMT)の立向き溶接に半自動溶接を採用し、建設工程の短縮化を図った。
※建設工程の短縮化を図ったのはなぜ? 理由が不明
※2つ以上の課題抽出をすると文字数が不足するおそれがあるので業務を絞る

技術的な成果
□□国内法(YYY,ZZZ)を順守することはもちろん、「FGHIJK」などの国際規格を満足する最新仕様のタンクを□□に建設した意義は大きい。
※どのように意義が大きいのか分からない
※課題である、□□国内法規に固執した□□建設業者の施工方とうまく調和 という部分と繋がりがない

□□のタンクメーカーからは、世界的な技術競争力を得られた貢献で感謝状を受領し、□□□□からは高品質なタンクを安全に建設したことで評価された。
※感謝状を受領した、社内表彰された などは技術的評価とは異なる部分である

全体を通して
 この文書を読んだだけでは専門科目が不明である。
鋼板設計、溶接設計ということなので機械部門 機械設計や加工・生産システムと捉えることもできそう
 一方で、課題のところで施工方法などがあるので建設部門?とも捉えられそう
 技術的な提案の項目では、鋼板を採用したことを提案しているので金属部門と捉えられる?
 課題が何かが明確ではないが故に、読む側からすると専門が迷走している印象を受ける

 こんな感じでツッコミを入れてみました。
まずは機械部門 加工・生産システム・産業機械の立場で【立場と役割】、【業務上の課題】【技術的提案】、【技術的な成果】の4項目分類で書いてみます。
※この業務を実施していないので一部、成り立たないことなど適当に書いている部分もありますが容赦ください


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