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【週刊消費者情報】         孤独・孤立、貧困問題にアウトリーチする消費者庁

貧困と消費者被害の密接な関係

消費者庁が産声をあげる5年前、そう、改正貸金業法への大きなうねりがあった20年前のことです。当時、サラ金はこの世の春とばかりに闊歩していた時代です。有名な米経済誌の長者番付にサラ金の社長名がずらり上位にいたと記憶しています。笑うものの陰で高金利に泣く多くの人たちがいたのでした。しかし、まだまだ世の中は「借りた金は返すのが当たり前」「借金は自己責任」という空気が支配していました。

そうした中で起きた「八尾市ヤミ金心中事件」」は社会に大きな波紋を投げかけました。法曹界や被害者団体、消費者団体、労働団体などが声を上げ、金融庁を軸に法改正へ走り出します。”借主責任から貸主責任”へと180度転換させたのが貸金業法の改正でした。
「貧困と消費者被害」の代名詞のような出来事だったものですから、ついつい本題から外れてしまいました。でも当時、「借金問題がなぜ消費者問題なのか?」という声も少なからずあったのです。「サラ金3悪」と言われた高金利、過酷な取り立て、過剰融資・・・改正貸金業法によってこうした不当行為はすっかり影を潜めましたが、貧困問題はなお社会に浸潤しています。

シンポジウム「孤独・孤立、貧困と消費者被害」

3月24日(日)、消費者庁主催の同シンポジウムに参加しました。
いよいよ消費者庁もこうした社会課題に”手を差しのべる”ときが到来したようです。
開会・閉会のあいさつは、消費者庁消費者制度課課長の古川 剛さん。そのなかで「消費者庁として(今回のテーマに)アウトリーチしていく」ことを明言されたことが印象に残りました。孤独・孤立対策推進法が4月1日から施行されましたので、本件のテーマにはしっかり取り組んでいただきたいと思います。

本シンポジウムでは、①「孤独孤立、貧困状態にあると思われる消費者が受けた被害事例(助言と注意喚起)」について、(公社)全国消費生活相談員協会 消費生活相談員の上野純子さん。②「オンラインチャット・電話相談の概要からみた孤独・孤立、貧困と消費者被害の関連」について、消費者スマイル基金 事務局長の磯部浩一さん。③「貧困ビジネスの被害を食い止めるために~民間組織同士の連携~」について、反貧困ネットワーク、弁護士の林 治さん。④「消費生活相談の現場における関係行政機関との連携事例」について、消費生活相談員の石橋 妙子さん。⑤「重層的支援体制と消費者見守りネットワークの連携について、消費者庁地方協力課課長補佐の内田 康太郎さん――の5人から報告がありました。内容につきましては、次回の投稿で報告いたします。

                     『消費者情報』Web版編集室
                              原田修身

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