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【週刊消費者情報】 『消費者情報』Web版5月号/特集紹介

マインドコントロールとはなにか


 立正大学心理学部教授の西田公昭さんは、寄稿された特集記事の冒頭でこう書かれています。「マインドコントロール状態とは、自己決定権を放棄して支配者の指示に絶対服従することを是とする状態である」――絶対服従という人権侵害が行われている、ということです。
 人は洗脳されてしまうと熟慮できなくなり、困惑もせず高額寄附を実行してしまいます。だから、この手法は霊感商法やマルチ商法でよく用いられていることは、すでにみなさんもご承知のことと思います。そして、西田教授は、昨年末に成立した不当寄附勧誘防止法について、問題化するケースは、被害者本人からの訴えというよりかは、被害者家族からの訴えであったり、相当古い事案であったりする可能性が高いと予測されています。法規制の実効性という点について、現況における被害回復の難しさを指摘されています。

心が変容させられる怖さ

 また、西田教授はマインドコントロールの過程には、六つの一般手順があると書かれています。1番目は「①信頼の構築」というもので、マインドコントロールをする側である勧誘者は、とても誠実であり、親身になって相談に応じてくれる。そうやって少しずつ信頼関係を積み上げていきます。つぎに「②社会的遮断」へ・・・これは外部との物理的・精神的な接触を遮断させられること。その後、不安や恐怖を与えられ「③無力感と恐怖」を植え付けられたうえで、「④権威の構築」において、教祖や教義などへの帰依を促されます。そして「⑤幻想の期待」を経て、「⑥自己価値の収奪」に至ることになります。 
 この時点において「被害者はもはや別人のようになって、支配者を崇拝し、依存してしまうのである。」と書かれています。

 こうした一連の手順によって人は”別人”にされてしまう・・・心が変容する(させられる)ことの怖さは、実際なかなか実感できない、ということも正直あります。しかし、これまで多くの信者(被害者)がマインドコントロールされて、破滅に至る高額寄附をしなければならなかった事実が、その怖さを物語っているのではないでしょうか。

                『消費者情報』Web版 編集室 原田修身

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