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【週刊消費者情報】             孤独・孤立、貧困と消費者被害のシンポジウムの開催     

映画『こんにちは、母さん』を鑑賞しました。この作品は、山田洋次監督と主演の吉永小百合さんの人情ドラマです。昨年の封切でしたから、3月のこの時期、そんなにお客さんは来ないだろうと思っていました。ところが行ってみると会場ロビーは人・人・人。順番待ちの列は、70代半ばを超えたと思われるサユリストたちであふれていました。幸いにも、わたしは定員の最後の一人となり、午前の上映に滑り込んだのでした。

舞台は東京墨田区の向島界隈。近くに隅田川が流れ、下町情緒漂うまち並みや、味のある古めかしい教会もでてきます。劇中、ホームレスの支援活動などのシーンもあり、格差社会や貧困問題を感じさせる場面もありました。
ちなみに写真上は、向島から下流に向かった清澄白河辺りです。

映画の筋とはあまり関係のないシーンに目が留まる

映画では、田中泯さん演じるホームレスがビニール袋いっぱいに積んだアルミ缶を自転車で運んでいるシーンがありました。気になったのは、そのときのアルミ缶の形でした。というのも、アルミ缶が踏みつぶされていない状態のまま袋に入っていたからです。
本来、アルミ缶の回収は、ごみステーションなど回収する先々で回収者が一つひとつ「ガシャ ガシャ」踏みつぶして、ぺったんこの状態にしてからビニール袋に入れていきます。そうでないと嵩ばっかり大きくなって、目方取引ですから日銭にならないわけですね。ついでながら、アルミ缶回収は基本的に早い者勝ちでしょうから、世間の人が寝ている時分にはすでに仕事をしています。ですからアルミ缶を運んでいる姿を目にすることは、めったにないはずです。もちろん例外はあるでしょうが、少なくてもそれを生業にしている人は夜明け前から自転車を走らせている、という話を当人から聞いたことがあります。
映画の筋とは、だいぶ外れた話をしてしまいましたが、貧困の形というのは見ようと思わなければ、なかなか見えないものだなと思います。
でも、山田監督の弱者へのまなざしは、寅さんの時代から今日までほんとに心癒されます。

「『孤独・孤立、貧困と消費者被害』シンポジウムの開催案内」

3月24日(日)13時30分から消費者庁主催のシンポジウムが開催されます。
【開催趣旨】
「孤独・孤立、貧困の状態にある場合、身近な者に相談できない、適切な相談先が分からない、脆弱な状況につけこまれやすい等の事情から消費者被害にあいやすく、解決が困難な状況にある例も多いと思われます。相談事例等からこのような状況を共有し、①孤独・孤立、貧困状態にあると思われる消費者の被害事例の共有と注意喚起を行います。②孤独・孤立、貧困と消費者被害の関連をふまえ、被害防止・回復のため、関係機関及び民間組織がどう連携するか考えます。」

参加対象者は、「(1)孤独孤立、貧困の状態にある消費者(2)孤独孤立、貧困問題に取り組む各機関、民間組織の関係者(3)消費生活相談業務に係る各機関の関係者(4)消費者団体」とあります。
関心のある方は、ぜひ参加されてみられたらいかがでしょうか。
「孤独・孤立、貧困と消費者被害」シンポジウム の開催案内|消費者団体訴訟等支援法人 認定NPO法人 消費者スマイル基金 (smile-fund.jp)

                『消費者情報』Web版編集室 原田修身

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