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【週刊消費者情報】      契約書面等の電子交付がスタート

 梅雨モードになると、つい外出がおっくうになりますね。でも、在宅が多くなればなるほど訪問販売や電話勧誘販売の勧誘にあう可能性もありますから用心したいところです。今回はその手の勧誘に関係したお話です。

 令和3年6月、特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律が公布され、そのうち、契約書面等の電子化に係る部分等は6月1日から施行されました。そのことによって、事業者は、契約書面などの交付に代えて、政令で定めるところにより、申込者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができるようになったんです。
 特定商取引に関する法律・解説(逐条解説。令和5年6月1日)
 https://www.no-trouble.caa.go.jp/law/r4.html

消費者トラブル増加の懸念
 今までは紙の申込書面や概要書面などを交付しなければならなかったのです。しかし、6月1日からは、「電子版でもいいですよ」と消費者が承諾すれば、契約書等がスマホやパソコンに送られてきて契約が成立します。
もともと訪問販売法からスタートした特定商取引法は、事業者と消費者との契約トラブルにおける花形的な規制法といっても言い過ぎではありません。  

 今回、同法改正について、多くの消費者団体が「ノー」と言っていたようです。反対の理由は消費者トラブルの増加が懸念されるからです。たとえば、紙の契約書面の類であれば家族など第三者の目にもとまりやすいですが、電子交付だとそうはいきませんよね。同法改正に向けた国会審議はいろいろとなされてきたようですが、詰まるところデジタル化の推進という「御旗」に押し切られたのでしょうか。

がんばれ!消費者委員会
 さて、本件については、『消費者情報』Web版5月連載「がんばれ!消費者委員会 第61回」誌上でも「特定商取引法等における契約書面等の電子化に対する消費者委員会の対応について」と題して寄稿いただきました。
 文末にはこう書かれています。
 「消費者委員会は、今後、建議のフォローアップを実施する予定である。また、契約書面等の電子化に関しては施行2年後の見直しが規定されていることから、施行後の状況につき、引き続き調査審議していく。」・・・・・がんばれ!消費者委員会。

                                                             『消費者情報』Web版 編集室 原田修身

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