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「文」に対する考え方が変わる

 文章を書くには「能力」が必要だ、という先入見がある。しかし、本当に必要なのは書くことを楽しむための自由なのだ。
 書くことによって「自分」を作る。いいかえればそれは「自分」を自由にしてやることに他ならない

「自分づくりの文章術」”まえがき”より

本書の表紙にある、「…人が生きていることは、そのまま”文”なのである。…だとすれば、文章を自分らしく創り出すこと、いいかえれば文章によって自分づくりをする力を持つことは、どんな処世術やビジネス戦術にも増して、生きる上で有利なツールであろう。」というフレーズを目にし

 ”これは、職業人生をかんがえる上で重要な観点を勉強できそうだ”

と期待し、読み始めたところ

最初の4ページほどで、著者の文に関する囚われのない広い知見と、それをコンパクトに提示する力の凄さに圧倒されました
そのすごさは、ぜひお手に取って読んでいただきたいのですが、、、

わたしの受け止めとして
本書のユニークで力強いメッセージは

  1. 世界は 文 でできている

  2. 子供や大人が文章を書くことを嫌にさせる、社会の文脈

  3. 断章(断片)と構造化した読み物の間に べつに優劣をつけなくていい (文は、もともと、断片からなる。そのときどきを生きる書き手の存在の連なりが、結果として文章になる)

  4. ジャンル、に大して意味はない

  5. 自分をつくる、むつかしさ・素晴らしさ・永遠に未完

高校生のための文章読本」の編者でもある著者が
それぞれの主旨に会った、とても魅力的な文章を紹介している本であるため
ここに、説明を書き換えたり
引用したところで、
本の良さを伝えることになるとはおもえず(むしろ劣化版をつくるだけ…)

そこで、ユニークな作文ワークを含む、という本書の特徴を活かして
⤴の5点
を代表するワークに
わたし自身が、以下で実際にチャレンジしてみる
という形態をとろうとおもいます

1.世界は 文 でできている

水の入ったコップを見る【実践編⑧】

暗い縁取りと明るい際が、ていねいに何処でつながっているのか分からない細やかさですこしずつ伸びていくと、いつのまにか光をうけとめ、表面でうけながし、そこにはなにもないかのように見せながらも広がりをつくり、周りの色という色を、わたしが見ている間だけそこに閉じ込めておいてくれる

「水の入ったコップ」無藤トゥモロー(2024.8.6)

2.子供や大人が文章を書くことを嫌にさせる、社会の文脈

最初の記憶を再現しよう【実践編⑤】

クリーム色の柵にかこまれて、わたしは見上げている
オレンジ色の頭巾をかぶった茶色い前髪の大きな目をした赤ちゃんの人形が
ぶら下がっている奥から、オルゴールの音が響いてくる
ゆりかごのうたを カナリアがうたうよ ねんねこねんねこねんねこよ

「最初の記憶」無藤トゥモロー(2024.8.6)

3.断章(断片)と構造化した読み物の間に、べつに優劣をつけなくてもいい

私家版辞典をつくろう【実践編⑭】

正しさ … ひとの意識にあてる剃刀(カミソリ)。それだけ他人に向けてもほぼ無力で、自分に向けると怪我をする、髭を剃る位の使い方がいい道具

科学  … 世の中に開かれた自分の意識
アート … 命の営み 存在すること
ゲーム … 対立する概念を製錬してつくる箱 

「私家版辞典」無藤トゥモロー(2024.8.6)

4.ジャンル、に大して意味はない

この人を見よ【実践編⑩】

よばれてきて、首から下げたスマホから、これがチャットで会社から指示されてきたのだという内容をみせたその人は
はじめてきたオフィスでのつとめをはたすのにも一苦労で
まじめさが報われるとよいな、と思わせる部分と
わかりやすく安心できる登場をしてほしい、と後ろにつながる会社とまとめて頼りなく感じる部分を 2つまとめて制服に放り込まれたような
寂しさをその場に漂わせていた

「この人を見よ」無藤トゥモロー(2024.8.6)

5.自分をつくる、むつかしさ・素晴らしさ・永遠に未完

動物文体づくり【実践編⑱】

シュルシュル__すぅ’ ’、と ヒラヒラ コノとうめいナ くゥかんに
                               と
                                じ
                              こ
                      |         め  
                     |         ら れ
   湿気       湿気                   ta
湿朽ち木水底湿朽ち木 湿 朽ち木_______えさ___ニンゲン  <======
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ヒカリ 熱  熱  大事

「多摩動物公園のアオダイショウの徒然草」無藤トゥモロー(2024.8.6)

書く、という実験、書くための跳躍

読むたのしさ、書くたのしさ にあふれた noteの世界
みなさんのライティングに刺激をくれる経験や存在について
教えていただけたら幸いです

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