港の風景はどこで見てもなつかしい。埋め立てられた護岸にそっけないクレーン、色のない倉庫群。育った町がそうだったからこんな感覚が植えつけられたのか。少し沖合に出れば岩礁、取りこぼされたような島々、ベタつく波しぶき。港の海の色はくすみ、白い砂と透明なブルーではなかった。

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