前回記事で、GPTから、地方自治とシステム標準化は4つの意味で相反するのではないかと出力されたもののうち、①について検討したいと思います。
まず前提として、地方公共団体情報シス テムの標準化に関する法律(いわゆる「標準化法」)は、第 32 次地方制度調査会において、地方公共団体間で共通する一定の事務を処理する情報システムの標準化を進める法制が提言されたことから実現したものです。
参考リンク:総務省|地方制度調査会 (soumu.go.jp)
第 32 次地方制度調査会では、システム標準化の取り組みの方向性に関し次のように提言していました。
なお、地方制度調査会は、日本国憲法の基本理念を踏まえて現行の地方制度の検討を行うために設置されている会議体です。
この提言を受けて成立した標準化法の概要は以下です。
ここで、先ほどの提言の一部が分かりにくくなっていることが分かります。
一方、地方公共団体情報システム標準化基本方針(令和5年9月)では以下の方針が示されています。
実務では、各標準対象業務システムについて、標準仕様書案に対して全国意見照会(照会期間は2週間から1か月程度)が行われ、各地方公共団体が意見する形を取っています。
参考リンク:住民記録システム標準仕様書 全国意見照会結果(詳細)
結論から言うと、現時点で「地方公共団体のベストプラクティスについて、その内容を反映した業務フローを基に標準化基準を策定」はできていません。
各標準対象業務の検討会には市町村・システム事業者の方が構成員として参加していますが、人口規模等で大きくシステム機能が異なることから、新たに標準仕様の指定都市における課題等検討会が立ち上がる等、やや迷走している感が否めません。
そのため、少なくとも令和7年度末時点では地方公共団体のベストプラクティスが反映されたシステムは運用開始できないと思われます。
地方公共団体のベストプラクティスを反映するための改定スケジュールが示されていますが、今のところいつから実施されるかは示されていません。
地方制度調査会の提言をそのまま受け取れば、「全ての市町村が同じ標準仕様を満たす」のではなく、少なくとも当初は人口規模ごとに機能要件を整理することが望ましかったのではないかと思います。(結果論であることは理解しています。)
そのため、多くの業務で手戻りが生じている感が否めません。
また、提言が求めていた地方公共団体の自主性は、残念ながら標準仕様システム運用時点では見込めないと思われます。