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『人と生活~生きた化石に学ぶこと~』リテラ探究研究レポート

科学や生き物の進化について関心のあるK・K君。読解問題を読んで感じた「アリの方が生き物として優れているってどういうことだろう?」という小さな疑問から、進化と人の社会のあり方にまで思いをはせることができました。

この研究をしたのは、新小学校6年生のK・Kさんです。


■プレゼンテーション動画


■リテラの先生からのコメント

授業のときに、科学番組の話をしてくれる和輝君の目が本当にキラキラと輝いていて、先生はとても好きです。
読解問題を読んで感じた「アリの方が生き物として優れているってどういうことだろう?」という小さな疑問から、進化と人の社会のあり方にまで思いをはせることができましたね。
最後まで、本当によく頑張りました。

■テキスト資料

ぼくは、去年、『ベストエッセイ2017』に収録されていた、藤沢周さんが書いた「えいち」(叡智)という文章を読みました。


その中で、「蟻やセミたちよりAIを創り出す人間は、知能が上かもしれないが、生活、生態の洗練からしたら、虫や動物たちのほうがはるかにレベルが高いのではないか」、と書いてありました。


それを読んで、ぼくは、虫や動物たちが優れているとはどういうことなのか、ということを疑問に思いました。


僕は、優れているということは、「どれだけ長く同じ生活をつづけられるか」という面において、人よりアリなどのほうが長いということだと思いました。


そして、長い間生き方を変えない生き物を「生きた化石」ということを思い出しました。
そこで、生きた化石の代表を3種類決めて、調べることにしました。


まず、生きた化石といえば、有名な生き物がシーラカンスです。
シーラカンスは2億9900年前から生きています。
一度は絶滅したとも思われたこともありましたが、1938年、コモロ諸島で生きているシーラカンスが見つかりました。
シーラカンスには、陸地を歩くことができそうな、立派な胸ビレと腹ビレがあります。
このヒレには、ほかの魚では見ることのできない大きな骨と関節があるのが特徴です。
そのため、魚類から両生類へ変化する過程の姿を残しているのではないか、と言われています。


2つ目は、ハイギョです。
ハイギョは、魚類と、哺乳類をつなぐ生き物です。
ハイギョは、肺で呼吸できるため、陸でも生活することができます。


3つ目はカモノハシです。
カモノハシは、今から約2300万年前から姿を変えていないと言われています。
カモノハシは体が毛でおおわれているという哺乳類の特徴と、からのある卵を産むという、爬虫類の特徴を持っています。
つまり、哺乳類と爬虫類をつなぐ生き物ということです。


住んでいる環境に最も適応した生き物が生き残る、という説を「適者生存説」といいます。
すると、「優れている」とはどういう事か。
それは、他の生き物より、その環境での生活に向いているということです。


例えば、シーラカンスは、遺伝子の変化が非常に遅いため、3億年以上前から姿をほとんど変えていません。
しかし、それはシーラカンスの遺伝子が原因ではありません。


本当の原因は「環境」です。
シーラカンスが住む深海は、水質や水温が安定しており、外部からの侵入も限られているため、進化する必要がなく、生きた化石になったのです。
これが、生きた化石になる1つ目の理由です。


シーラカンスとは反対に環境が不安定なところで、生きた化石になった生き物もいます。
その例がハイギョです。


ハイギョは、肺呼吸ができます。
そのためハイギョは、時々水が干上がってしまう川や湖でも生きられました。
かつては海にもいましたが、海にいた仲間はとっくの昔に絶滅しました。
つまり、ハイギョは、自分の特徴を活かして、他の生き物からは不安定に思える環境を、安定した環境へと変えていきのびたのです。


では、カモノハシはどう生きた化石として生き残ったのでしょうか。


チャールズ・ダーウィンは、カモノハシがオーストラリア大陸にいたことで生き残ったと考えました。
進化は、有利な特徴を得なければなりませんが、ほとんどが害のある変化になってしまいます。
ですが、数が多ければ、いつか有利な特徴を得る物が必ずでてきて、その個体が生き残ります。
つまり、広い土地に住む方が進化が進むということです。
しかし、そうすると同じ種どうしが競争し、どちらかが滅びて新たな種が生まれます。
反対に、カモノハシは狭いオーストラリアに棲む事で同じ種による生存競争を逃れ、生きた化石になり生き残ったのです。


このように、生きた化石たちは、外敵がすめない環境に棲み、生き残りました。
こうした生きた化石は、変化の少ない環境だったり、逆に変化の多い環境に棲んでいました。
しかし、これらの環境は、すべて、そこに住む種にとっては、ライバルの少ない安定した環境なのです。


一方、人類は、およそ1000年余りで大きな変化をしました。
そして、時がたつにつれて技術を得て、便利さを求めてどんどん生活を変えていきました。
その間に人類は戦争や環境など、自分たちの生存に関わる様々な問題を抱え、今に至るのです。
僕は、この研究を通して、生活を変える事は、善いこともあり、悪いこともある事を知りました。
これからどのように自然と接していけばよいか、僕と一緒に皆さんも考えてみて下さい。
これで発表を終わります。最後まで聞いていただき、ありがとうございました。

■参考文献

・北村雄一(2017)『生きた化石摩訶ふしぎ図鑑』 保育社 ・重廣道子(2013.09)「しんかしないしんかい魚、シーラカンスの話―深部の環境特性と、地層処分を考える―」 地層科学研究所 https://www.geolab.jp/science/2013/09...

■研究の振り返り

◇これはどのような作品ですか?
生きた化石の歴史などから人の良い点と、悪い点が何かを学ぶ発表です。               

◇どうしてこの作品をつくりたかったのですか?
ベストエッセイ2017に収録されていた藤沢周さんが書いた「叡智」に載っていた1文がどういうことか知りたかったから。

作品づくりで楽しかったことは何ですか?
自分の気になることを自分のペースで調べられたこと。

作品づくりで難しかったことは何ですか?
参考にする本の文章の意味を読み取り作品に使うこと。

作品作りを通して学んだことは何ですか?
良い面には悪い面がつきものだという事。

◇次に活かしたいことや、気をつけたいことはありますか?
もっと聞き取りやすいように喋る。

この作品を読んでくれた人に一言
この作品を通してどの様に自然と接することが良いか小さなことからでいいので、考えてみて出来ることがあればやってみてください。


この研究をした生徒さん

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