Agua de Beber
9.17巨人vsヤクルト戦でサヨナラヒットを打った門脇選手が,仲間に水をかけられた後のインタビューで「今まで以上においしい水でした」と答えました。インタビューではあまり聞くことのない言葉の選択が印象に残ったのですが,まず頭に浮かんだのはアントニオ・カルロス・ジョビン作曲の「Agua de Beber(おいしい水)」です。なつかしくなって歌詞の意味を調べてみました。(略)
曲は全編マイナーで展開しますが,タイトルから見てもっとみずみずしい内容かと思っていました。実際は予想外に内省的な,苦悩の浮かぶ歌詞でした。「開放された家」「赦しの学校」などの表現には,おそらく聖書の教えが色濃く反映されています。このコーラスのAgua de Beberは直訳すると「飲料水」となりますが,ブラジルの先住民の祈りの言葉で「恵みを」といった意味をもつ,という説明もみられます。全体的には,「愛することに怖れを抱いていた私が,心を解き放つ決断をした」といった内容でしょうか。
音楽は宗教的な背景が加わるととたんに深みを増します。ほとんどすべての音楽が元々宗教音楽として生まれたものであり,しかもブラジルとポルトガルはカトリックの系統なので,宗教的色彩が音楽に強く反映されるのは自然なことです。歌詞の引用は法律上なかなか難しいようなので,AIの解釈した意訳の大意をかいつまんで掲載します。
"この世界は,私たちが生きるためにあるのではなく,私たちがこの世界のために生きることが求められている。私たちは,自分たちが生きることで,この世界を美しくすることができる。"
坂本選手をサードへコンバートさせたという歴史的事件と,体が丈夫だという点を強力な根拠として,門脇選手が一発屋に終わることはないでしょう。つまり,以後坂本選手をサードとショートの間で行き来させるわけにはいかないので,打率が伸び悩もうが何だろうが,坂本選手の引退まではレギュラーを張ってもらわなければ困るという球団の決断を感じます。元阪神の鳥谷氏が「サードの運動量はショートの半分以下」と解説していましたが,それほどまでに違うのかと驚きました。坂本選手には長年にわたるショートの守備お疲れ様でしたと,敬意をもってねぎらいの言葉をかけさせてもらいます。
門脇選手は前述したようにインタビューでも通り一遍でない言葉遣いを心がけており,思慮深さとともに周りに迎合しない人物像がうかがえます。新背番号の5でまず思い浮かぶのは黒江透修ですが,よく見ると表情や体格も黒江そっくりなので,50年の歳月を経てようやく5番が収まるべきところに収まったという感じがします。
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