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岐阜県高校入試 内申の比率高すぎ問題

こんにちは 山本です。
当塾では夏期講習がスタートし、今年も受験モード開始といった様子です(私だけ)。
さて、今回は岐阜県高校入試についてです。

内申とは

教育業界の方はご存じかと思うのですが、高校入試は、本番のテストのみで決められる事はほとんどありません。
大抵の場合、内申、面接、実技、作文などが行われ、総合的に判断されることになっています。
その中で内申は、正式名称が「調査書」と言って、9教科の評定や、部活、その他の活動などが記載されたものです。

調査書 岐阜県教育委員会HPより

内申の割合が最大で7割

さて、その内申ですが、岐阜県の高校入試では最大で7割が内申で合否を判断されます。つまり、入試を受ける前に、合否の7割が既に決まってしまいます。
岐阜県では、内申の割合が3~7割で、各高校の校長が割合を判断するという珍しいシステムを採用していて、令和6年度入試で内申が7割の高校は、山県、羽島、不破、土岐紅陵高校です。逆に3割の高校は、岐阜や大垣北高校などで、進学校になるほど、その比率が下がる傾向があります。

中日新聞webより

評価方法がバラバラで不明瞭

さて、内申を重視すると発生する問題点ですが、一つは、各中学校で評価方法が異なり、不公平が発生することです。
例えば、当塾近隣の大野中学校では、定期テスト、単元テスト、提出物などが評価対象になるとの事ですが、谷汲中学校では定期テストが無いため、実力テストや単元テストが評価対象になっています。また、ほとんどの学校では、各評価対象がどのような比率で評価されているかや、評価の基準が明示されておらず、生徒は「どうすれば評価が上がるのか」分からない状態です。そのため、「点数が低くても質問をたくさんすれば成績が上がる」「先生に媚びを売ったら成績が上がる」などの憶測を呼ぶことにもなっています。
各学校で評価基準が違うもので、合否を決定されるのが不公平だと考えるのは、私だけでしょうか?

また、現在は絶対評価なので、制度的には全員に「5」の評価をつけることも可能なのですが、やはりある程度の相対評価的なつけ方はされているように感じます。学力の低い学校では良い評定を取りやすく、学力の高い学校では良い評定を取るのが難しいのが現状です。

入試本番で500点満点をとっても不合格の可能性

二つ目の問題点は、入試本番のテストで満点を取っても、不合格の事態が発生することです。現在、岐阜県で一番の難関は岐阜高校でしょう。その合格点は、内申を40程度取っているお子さんでも450点以上は必要です。(実際、450点取っても不合格だったお子さんもいます)
では、内申がオール3、合計で27のお子さんはどうでしょうか。たとえ3年生で勉強に目覚めて、入試本番で500点満点を取ったとしても、内申のハンデが50点分以上あるので、不合格になる可能性が高いのです。
「最初から頑張っておけば?」という意見はごもっともですが、教員との相性が悪かったり、長期の入院で成績がつかない場合もあり、そういったお子さんにとっては、かなり不利なシステムになっています。

内申が人質に!?

私が思う一番の問題点は、内申を人質に取り、指導をする教員が少なからずいることです。「課題を出さないと成績を下げる」と指導するのはまだ理解できるのですが、「挙手をしないと成績を下げる」「ノートを書かないと成績を下げる」というのは、本来の目的から大きく外れているのではないでしょうか。
今まで聞いた中で一番酷かったのは、部活動を変わりたいと希望する生徒に対し、「部活動を変わったら成績を下げる」と、半ば脅しの道具として内申を利用する教員がいたことです。勿論、部活を変わることと成績は全く関連がないことを教委にも確認を取ったのですが、このように明らかに不適切な指導を行う教員が居ては、内申が入試に重要だと知っている生徒は、泣く泣く従ってしまうのではないでしょうか。

評価方法や合否判定をもっとオープンに

私の意見としては、入試に占める内申の割合をもっと下げてもいいのではと思います。ただ、偏差値の低い高校ほど内申の割合を高く設定しているという事は、高校側としては内申を評価基準として重要なものであると判断しているではとも感じます。
私の提言としては、このまま内申の割合を高いまま運用するのであれば、せめて評価基準や合否における判定理由をオープンにすべきであると思います。
例えば、中学校では、定期テスト、提出物、単元テストの評価の割合を明確にしたり、〇〇点以上取れたらA評価などの基準を定めて、予め生徒に公表しておくのはいかがでしょうか。私が見学した東京の麹町中学校では、その様にしていました。
高校入試においても、学力検査の点数のみ公表するのではなく、内申も含めてどのような判定になったか数値化するべきでしょう。面接や実技がどのように評価されたのかも公表すべきです。

また、岐阜県には「独自選抜」という入試制度があり、部活動や学校外の活動が評価されるのですが、これに至っては、部活動の成績がどのように評価されたのかが、全く分かりません。最悪、どれだけ点数が低くても、顧問の教員が欲しい生徒がいれば、その子を合格にできて、理由を公表しなくてもよいのです。これでは明らかに不公平ではないでしょうか。

一般入試では現在、「学力検査と調査書を総合的に判断する」となっていますが、それだけではブラックボックス感が否めず、不信感につながります。きちんと数値化し、公表することによって、より良い入試制度になるのではないでしょうか。県教育委員会の皆さんには、一度ご検討いただきたいです。


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