(13)水商売時代

学歴も能力もなく
元引きこもりのコミュ障が
仕事一本でしっかりお金を稼げるはずはなく
一時期夜の仕事を掛け持ちでしていた。

私が働いていた会員制のラウンジの客は
比較的年齢層が高く値段設定も高いからか、中小企業の経営者ばかりだった。

私はお酒には強いが
喋りはそんなに上手くはない。

初対面の人でも楽勝、というわけではなかった。

なので、自分の精神的負担を減らすように
自分指名の客を早々に作って
同伴をしてラストまでいてもらうことばかりしていた。

在籍期間かなり短いのだが、、
その中でできた私の客は40代〜60代で
・刑事さん
・飲食店社長
・建設会社社長
・お医者さん
・資材会社社長

主にこの5人。
全員が必ず毎週のようにくるので
週3出勤の私はそんなに新規客を対応することがなかった。

刑事さんは
詳しくは言わないけど、身体も大きくて凄みのある、担当課を聞いて納得する雰囲気のある人だった、、。

飲食店の社長は
私に夢中でしょっちゅう同伴をしてくれた。
わがままもたくさん言いました。

建設会社の社長は
ゴルフ用品一式買ってくれたなぁ。

お医者さんは
そんなにたくさん喋ってないけど
なぜか私を指名して
いつもニコニコと私の手を握っていた。

私が付き合っていたのは
資材会社の社長F。

この人はお友達と2人で来て
そのときは全然喋らなかったけど
目を合わせては微笑んですぐに逸らす
という技だけで落ちた人。。

めちゃくちゃお金持ってる人なんだけど
私の言うことをなんでも聞いてくれるから
私のわがままは酷いものだった。

ハイ、そう。
お金持ちのおじさんって、わがままな若い女が好きなんですよね。

ただ、もちろん最初からそんな風には振る舞っていたわけじゃない。

多分私はそこのバランス感覚が元々良いのだと思う。
わがままだなぁ
振り回されてる
と言いながらみんな顔がニヤついていた。

Fは特に私に振り回されるのが大好きで
私にお金を使うことも好きだった。

自分は何も買わないくせにやたらと買い物に行こうと誘ってきたり
私が本業で他府県に出張に行く時は
現地の高級ホテルを予約して自分も付いてきたり
広いアパートに引っ越しさせてくれたり

見事に愛人だったわ、ワタシ。

でも、結構好きだった。
彼の社会的地位も経済力から来る絶対的な余裕も、人に好かれる温和で楽しい性格も。

最近、懐かしくなって彼の会社のHPを見たら
支社が一つ増えていた。

それを見て、
もしこの先出会うことがあれば
若さしか取り柄のなかったあの頃よりも
今の方がいい女になったよ
と言えるように
頑張ろうと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?