自己紹介その4

前回、幼稚園年少の記憶について語った。

普通なら、幼稚園年中や年長の話に飛んだり、小学生のエピソードを語るべきだろう。

しかし、この自己紹介は自己の紹介という名目の元、私が幼少期より感じたことや印象に残った出来事、人生の岐路での選択や戦いを記録するものだ。

もっと言うと、最終的な目的は自己分析とその先にある夢を叶えるための研鑽に活かすことだ。

なので、好き勝手に書いていこうと思う。

と、いうことで。

今回は、幼稚園年少編、その2だ。



その前に。

一つだけ前置きだ。

今後、私は意図的に自分の性別に対してぼかしていくつもりだ。

理由はいくつかある。

昨今の、性別に関するデリケートな話題について、私自身の考えを示しておくと、性差の差別や性別マイノリティに対する迫害は論外であると言う事だ。

女だからこうあるべきであるなどということは言語道断だ。

可能性は無限であるべきだし、全てのチャンスは平等に与えられるべきだ。

一方で。

性別の開示について。

例えば自己紹介や履歴書。

それは必要かなと思っている。

もちろん本人が気にしてる場合は、秘匿にする権利は担保されるべきだ。

だけど、抵抗がないなら自認してる性別については開示するべきだと思う。基本的には、だが。


さて、そんな思想を持っている私だが。

このnoteでは、あえて、私の性別について明言することを避けるつもりだ。

それどころか、一部、本来の性別とは違うように内容を変更し、記載するつもりだ。

特別な理由があるわけではない。

本当になんとなくだ。

飽きたら性別を固定するかもしれない。

私のnoteなのだから、私の好きなようにやる。気まぐれだ。

事実は異なる描写を交えることで、半分、小説のような形式を取りたいと考えている。

だから皆さんは、私の語る記憶について、真実なのか創作なのか、気にせずに読んでもらえたら嬉しい。

また、前置きが長くなってしまった。

本題に入っていこう。



年子の年中の兄がいることについては話したと思う。

彼は今、恋人がいるかどうか不明だ。かなり仲がいいのだが、そう言った話しはしない。

私も兄も中々の年齢になってきたが、結婚願望は薄めだ。

兄には明らかに恋人がいた時期があるが、結局家族に紹介することはなく、おそらく関係は解消されてると思う。

私も私で、長年連れ添った恋人を、結局家族に紹介することはなかった。

それはまぁ、いいとして。

現在はそんな感じであるのに、幼稚園の時。

兄は異性への興味を誰よりも早く意識していたように感じる。

今の兄を知る人にとっては不思議な話だと感じるだろう。兄はそういった浮ついた話が好きではない。だから、仲の良い私にも恋人の存在は明かさなかった。

そんな兄が。

幼稚園ではすぐにカップリングを作っていた。

誰々くんと誰々ちゃんはお似合いだ、とか。そういった話が大好きだった。

そういったちょっとしたからかいにも似たことを、冗談っぽく言う先生がいたことを覚えている。恐らく兄がそういった話にハマったのも元を辿ればその辺りになるのだろう。

当時の兄は本当に節操がなかったような気がする。

性的なものに目覚める前であろうが、異性に対して気にする子も中にはいたはずだ。兄の傍若無人な物言いに迷惑していた子もいただろう。

だが、幼稚園とは閉鎖的な空間だ。いくらカップリングをして遊ぶのが面白くても、限界はある。

兄の周りに関しては、すぐにカップリング遊びは尽きてしまった。

そんな兄が目をつけたのは。

私だ。


と、まるで事実のように述べているが。

この辺りは、実はかなり記憶があやふやだ。

本当にそういう流れがあったのか、甚だ疑問だ。

だけど。

そうとしか思えないのだ。

そうではないとおかしすぎる。

この私に。

恋人がいたなんて。


もちろん、恋人と言っても、そんな大それた関係ではない。

幼稚園児のお遊びだ。

お互い、恋人というものが何なのかということさえ理解していなかった。

確か、兄に「お前とお前、好き同士だろう。恋人になれ」といったことを言われた気がする。もうちょっと優しいニュアンスだったが、とにかくそんな感じのことだ。

私はコクンと頷いた。

相手の子も頷いた。

そうして、私たちの関係が始まったのだ。


顔を思いだせないその恋人をAとしよう。

Aは人気者だった。

どうしてそうだったのかは覚えていない。恐らく幼稚園の年少のことだ。足が早くてかけっこが強いとか、そんなところだろう。

さっきも言ったが、その子のことをあんまり覚えていない。

実を言うと、ある時期までただの思い違いだと思っていたぐらいだ。

そうじゃないと分かったのは、小学校の高学年。

引っ越しで転校してきた子が、実は幼少期に近くに住んでいて、戻ってきたのだと知った。

その子が、同じ幼稚園に通っていたことが、ひょんなことから判明した。

私はその子のことを覚えていなかったが、向こうは覚えていた。

「思い出した。お前、恋人いたよな」

その子が言った。

そこで初めて、あの記憶は夢ではなかったのだと知った。

再開したその子は結構かっこよかったから、その子が恋人なのではとちょっと期待したが、実際は違ったらしい。

名前までは覚えてなかったが、顔は覚えてる。

彼はそう言っていた。

かなり気になったが、小学校高学年ともなると性的な知識も増えていく。幼稚園の遊びだと分かっていても、恋人の話しは恥ずかしくて聞きづらい。

だから、私はあまりその話しをしなかった。

今となれば、もうちょっと聞き出しておいてもよかったと思う。

さて。

存在を疑うくらいあやふやな知識ではあったが、とにかく覚えていることを書こうと思う。

Aとやったことだ。

まずは、お昼寝。

私の通っていた幼稚園では、ごくたまにお昼寝の時間があった。

私は寝つきが悪い子供だったから、その時間が大嫌いだった。

みんな、先生が敷いたお布団ですやすや寝てたと思う。

私はずっと横になって目を開けていた。

その時横で眠っていたのがAだった。

多分、寝る場所はある程度自由で、Aはわざわざ私の隣に来てくれていたのだろう。

私は私で、特別な関係となったAを意識していた。気が回らない子だったから、わざわざ隣で寝ようとは思わなかったが、Aと過ごす日々に満足していた。

私はずっとAの寝顔を見ていた気がする。

その時思ったのだ。

どうやって、人は寝るんだろうと。

眠りと起きている状態の境界はどこなんだろうと。

そんなことを思った。


余談だが、今でも寝つきは悪い。

あの日、疑問に思ったことはいまだに解けていない。


Aと過ごしたことで覚えているのはもう一つある。

その日、私はAと一緒に、兄が遊んでいた遊具の中にいた。

ちっさい小屋みたいな遊具だ。

その中に、5人ぐらいの男女がいた。兄とその友達たちだ。

「〇〇ちゃん、恋人同士なんでしょ?」兄の友達の女の子が言った。

年中と年少の会話だが、園児にとってその差は大きい。4歳と5歳の1年は、おおよそ無限だ。つまり向こうの方が無限に年上なのだ。

私たちは頷いた。手を握り合っていた気がする。

「恋人同士はね、チューしないといけないんだよ」その子が言った。

そう言うと、兄の友達たちはクスクス笑っていた。

私はどうしたらいいか分からなかった。

なんで笑っているのかもよく分かってなかった。

「ほら。〇〇ちゃん。キスして」別の子が言った。

私は首を傾げた。

その行為の意味があまり分かってなかった。

私はAを見た。

Aも私のようにキョトンとしていた。

そのまま私たちはキスをした。

一応、ファーストキスだが、これはカウントしなくていいだろう。

キスの意味も把握していなかった。

別に楽しくもなかった。

兄たちがキャーキャーいながら小屋から飛び出したのも、よく分からなかった。


私たちはその後も、兄たちの命令のままにキスをなん度もやった。

怖くてやっていたと言うより、これをやると周りが盛り上がるのが愉快だった。

そういう意味では楽しんでいただろう。


今思い返したら、園児の遊びだとしても、ちょっと問題があるように感じる。だけど、その時の私たちはそんなこと全く思わなかった。先生たちも、止めるどころか笑っていたような気がする。

これも時代、なのだろうか。それとも、今の子が同じようなことをしていても、子供の遊びだと流されるのだろうか。

Aのことは本当に覚えていない。卒園の時にもいたのか、甚だ疑問だ。

だけど、今でも覚えているのだから、私にとって重要な出来事だったのだろう。

もう一度Aに会ってみたい気持ちはある。だが、向こうは私のことなんて覚えていないだろう。

彼が元気であることを、私は願う。

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