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ウルトラマンヴァルキリー【第19話 その愛は本物ですか?】

ある日、男は離婚した。共に過ごしてきた妻が浮気をしていたのだ。
男はそのショックを紛らわす為に酒場に行き、酒を飲んだ。酔っ払って、おぼつかない足で公園のベンチに倒れ込んだ。
永遠の愛を誓った妻は、他の男を選び行ってしまった。その悲しみは癒されなかった。あの男、妻を奪ったあの男が妬ましく感じた。怒りと悲しみで泣いている彼の元に、1人の女性がやってきた。
???「こんばんは、こんなところにいると風邪をひきますよ?」
男は立ち上がった。
男「あんた、誰なんだ?」
???「私はラヴ、良かったら私に何か話してくれませんか?」
そう言うとラヴは男の隣に座り込んだ
男は彼女に今まであったことを話した
ラヴ「そんなことがあったんですね、可哀想に…」
ラヴは男を抱きしめる。
ラヴ「でも、大丈夫です。そんな奴は私が消してあげます。」
男が気づいた時にはラヴはいなくなっていた。

翌日
浮気相手と妻が何者かに惨殺された事がニュースになった。
テレビでその事を知った男はただ唖然とするだけだった。
ラヴは事件現場を何事もなかったかの様に通り過ぎる。
ラヴ「人間の愛というのは実に醜いものですね。本当に愛しているのなら、あんなことはしない筈なのに…」
ラヴはくすくすと笑った。

一方MAG
マコト「何?異星人による犯行の可能性があるだと!?」
オペレーター室にいた全員が驚愕する
サトシ「この間の影野郎とは訳が違うってことか…」
ケンジ「それにしても、何故離婚した女性を狙って…」
マコト「とにかく現場に行かなければわからないであろう。全員、出動せよ!」
隊員一同「了解!」

事件現場に到着した隊員達はマスコミの波を掻き分けて中へ入っていった。
マコト「お疲れ様です。それにしても異星人による犯行というのは一体?」
捜査官「実は、この家の防犯カメラに映っているんですよ。」
捜査官は防犯カメラの映像を再生した


「誰なんだお前は!?」
ラヴ「人の愛を踏み躙った人間よ、消えなさい。」
犯人は巨大な鎌で男を切り裂いた。
男は息絶えてしまった。
ラヴ「さて、そこの人間。あなたは他の男と一緒にいておきながら、この男と暮らす選択肢を選んだ様だね?」
「な、なんでそんな事を知ってるのよ!」
女性の片腕が宙を舞う。
ラヴ「質問を質問で返さないで欲しいな?私はなぜ他の男といるという選択肢を選んだのかを聞きたいの?」
ラヴは鎌についた血を振り払う
女性は片腕を失った痛みに苦しんでいる。
「簡単な話よ。YESかNOか、それを言えばいいのよ?」
女性はYESと答える。
「そう…」
ラヴは巨大な鎌を持ち上げる
「愛した人を捨てて他の人を選ぶなんて、人の愛というのは実に醜いね」
ラヴは巨大な鎌を振り下ろす。女性の首が切り裂かれる。
ラヴは何処かへと去っていった。


ツトム「…なんて野郎だ」
一同が絶句する。
ケンジ「それにあの大きな鎌、常人なら使えないはずですよ」
サトシ「んなでかい鎌を軽々と…まるで死神みたいだぜ…」
ヤエ「こいつが異星人だと言われても納得だわ…」
マコト「とにかく、何とかして足取りを掴まないとな…」
隊員達が振り返るとそこにはあの映像に映っていた女性が佇んでいた。
ラヴ「獲物がどうなったか気になって戻ってきたらここに人がいるとはね」
マコト「貴様…何者だ!」
隊長がMAGガンを向ける。
ラヴ「私はラヴ、人の愛とは何かを観察しにきたのですよ。」
アイ「人の…愛?」
ラヴ「色んな人々の愛を観察してみてのですが、実に醜いですね。人間というのは浮気をしたり、金で愛を売買したり…そんな汚れた愛を持った人間なんてこの私が切り裂いていたのですよ。」
捜査官「なに…色んな人?」
ラヴ「えぇ、もちろんこの家の者も例外ではないですね。」
そこへ弾丸が飛んでくる。弾丸はラヴの眉間を貫いた。
ヤエ「貴方の見てきた人の愛というのはごく一部に過ぎないわ。」
ラヴ「ごく一部?果たしてそうでしょうか?」
ラヴは鎌を持ち上げる。
ラヴ「人々は何を思っているかわからない。その人が愛していると口にしても心ではそう思っていない。愛なんて綺麗事にすぎません。」
ラヴはそう言い残すと何処かへと消えていった。
アイ「奴はまだ近くにいます!」
マコト「奴を追うぞ!」
隊員達はソニックカーでラヴの後を追った。

ラヴは逃走中、道ゆくカップルや夫婦、家族を鎌で切り裂いていった。道はたちまち返り血と泣く声で溢れ返った。そんな中、ソニックカーが追跡する。
マコト「あいつ、無差別に人々を…」
ラヴは廃墟となったビルの頂上へ登っていった。隊員達は追う様にビルの中へ入っていった。
ラヴは周りを見渡していた。他に切り裂くべき者がいるかを一人一人探していた。そこへ1人のカップルが目に映る。
ラヴ「人間の心にある愛があるから人間は醜いのです。」
ラヴが襲おうとしたその時
アイ「待てッ!」
アイは威嚇射撃をした。
アイ「これ以上は許さない!」
ラヴ「しつこいですね」
そこへ他の隊員達が駆けつける。
アイ「貴方がやっていることは無差別殺戮だ。それ以上やるなら、本気で撃つ」
ラヴ「ほう、私を殺す気ですか。ですが、一つ言わせてもらうと私は胸にあるこの宝石を破壊しないと死ねないのですよ。」
ラヴは胸にある青い宝石を見せた。
ラヴ「そしてここはデートスポットの付近…醜い愛が集まる場所です。」
ラヴは鎌を持ち上げる。
ヤエ「それ以上、罪なき人を傷つけるのなら私が許さない。」
ヤエはヴァルキリーアームを取り出す。
ラヴ「ウルトラマン…?フフッ、ちょうどいいですね。相手になってやりましょう。」
それと同時にラヴは巨大化する。
ラヴ「やはり、この姿なら醜い愛を持つ人間を粛清できますね。」
ラヴは大きく構える。
ラヴ「まずは…目障りな貴方達をここで切り裂いて差し上げましょう!」
ラヴの鎌は廃墟のビルを真っ二つに切り裂いた。ビルは崩落を始める。それと同時にヤエはヴァルキリーアームを腕に装着する。光はたちまち広がり、隊員達を包み込む。
シュワァー…
ウルトラマンは隊員達をゆっくりと下す。
ツトム「ありがとよ!次は俺たちが援護する番だぜ!」
隊員達は戦闘体制に入る。
ウルトラマンはファイティングポーズを取り様子を見る。
ラヴは鎌をウルトラマンに向けて大きく振りかざす。ウルトラマンは瞬時に飛んで回避した。すかさずウルトラマンはかかと落としで反撃した。ラヴは冷静にウルトラマンの攻撃を避け、ウルトラマンに向けて再度鎌を振り下ろした。ウルトラマンはギリギリのところで鎌を掴み、振り払い、すかさずキックをお見舞いした。ラヴは大きく交代すると鎌を光らせ、大きく振りかざした。鎌の斬撃は衝撃波となりウルトラマンに襲いかかった。ウルトラマンはヴァルキリーシールドを展開して身を防いだ。そこへ急接近したラヴの振り下ろした鎌がシールドを真っ二つに引き裂いた。更に追撃した。ウルトラマンが大きく後退した所に追撃しようとしたところをMAGガンから放たれる弾丸が阻止する。そこへ隙をみつけたウルトラマンがドロップキックで攻撃する。
ラヴ「時にウルトラマン、何故お前は醜い人間の為に戦う?」
ウルトラマンはファイティングポーズを解く
ウルトラマン「それは、人間が素晴らしいからだ。例え醜くても、彼らは必死に生きている。私はそんな人間を助けたいから戦うのだ。」
ラヴは鎌を下す。
ウルトラマン「それに、お前がよく言っていた愛は、決して醜いものではない。愛は素晴らしいものなんだ。私は人間を愛しているから戦うんだ。」
ラヴは俯いた顔を上げる。
ラヴ「そんなの、ただの綺麗事にすぎません。愛は素晴らしい物?笑わせないでください。愛は憎しみや悲しみしか生みません。貴方が人々を愛しているから戦うとおっしゃいましたが、人間の醜い部分もある事を承知した上で戦うのですか?」
ウルトラマン「あぁ、たとえ醜い部分があったとしても守っていきたい。」
ラヴ「その鬱陶しい意思もろとも…この鎌で引き裂いてあげます!」
ラヴは鎌を大きく光らせ、振りかざし衝撃波を作った。ウルトラマンは衝撃波をヴァルキリーアームで弾いた。ウルトラマンはヴァルキリーアームに手を翳し、鋭い槍を作った。ウルトラマンは槍を閃光の如く投げた。

ヴァルキリーランスだ!

ヴァルキリーランスはラヴの宝石を貫いた。
宝石は割れ、ラヴの体はマネキンの様に白くなっていく。
ラヴ「まだ…醜い愛を持つ人間を…殺しきっていないのに…」
そこへウルトラマンが近づく。
ラヴ「殺してやる…殺してやる…お前も…醜い愛を持つ人間も!」
ウルトラマンはラヴの固まった体を拳で破壊する。
ラヴ「いつかわかるはずよ…人間が醜い存在だと…」
ラヴの体は灰となり、風に乗って消えていった。
ウルトラマンは天を見上げると空へと飛び立った。
ウルトラマン「シュワッチ!」

帰還中のヤエの頭の中を、ラヴの言葉が過ぎる。
ヤエ「人間は醜い存在…」
アイ「ヤエさん、どうかしましたか?何か話していた様ですが…」
ヤエ「なんでもないよ。ちょっと考えていただけよ。」
ソニックカーととある男がすれ違う。
それは離婚した男だった。男は事件現場に着くと花束をそっと置いた。
男「例えお前がいなくなっても…俺はお前を愛している。お前は死んでしまったけど、お前の分まで俺は生きるよ」
男は立ち上がるとその場から立ち去った。彼の背後には綺麗な夕焼けが広がっていたのだった。

一方、どこかの研究室
「グルル…」
???「ついに完成したか…」
???「はい、それぞれ良好です。」
???「ついにあの作戦の準備が整ったか…」
隣では風間が佇んでいた。
???「風間くん、このことはくれぐれも外部には伝えないでくれ。伝わったら面倒だからな」
風間「勿論ですよ。」
???「君は我々の作戦の重要人物だからね…」
風間「大丈夫ですよ、私は決して裏切ったりはしませんよ…」
風間はニヤリと笑ったのだった…

続く

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