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ウルトラマンヴァルキリー【第13話 八雲立つ、激流の決斗】

今日の空は灰色の雲が占めていた。
雨が降りそうな空の下で、ソニックカーがとある村に向けてはしる
薫「いやいや、また君に協力してしまうとはね。」
ヤエ「いや、私もあの村を調査するのよ。」
ヤエはとある村に潜む怪獣を調査するために車を運転していた。
そこへ調査する村へ取材に行く姫矢が乗った、ということだ。
ヤエ「さて、そろそろ着くわよ。カメラは持ったわね?」
薫「もちろんさ」
薫はカメラを握りしめる。
ソニックカーがトンネルを抜けた先に、その村が佇んでいた。
ヤエ「とりあえず、依頼主である村長の家に行くから」
ソニックカーは街を疾走する。しかし、村には活気どころが人が見当たらない。
薫「どうしたんだろうな、まるでゴーストタウンだぜ」
ヤエ「なんででしょうね?」
ソニックカーは村長の家にとまった。
ヤエ「すみません、MAGの者ですが」
ヤエはインターフォンを押す。
しかし応答がない。
ヤエ「おかしいな、すいませーん!」
すると扉が開く、そこには泣いた老人が立っていた。
「あなたが調査隊の方ですか?」
ヤエ「はい、あのー、現場を調査をしたいんですが…」
老人は少し俯いた後、2人を中に入れた
家の中には大きな酒の壺が置かれていた。奥では女性が啜り泣く声がした。
薫「奇妙だな…一体何があったんだ?」
老人は2人を部屋に案内すると静かに語り出した。
「実はこの村には代々、大蛇様がおってな。その大蛇様はこの時期になると目覚めては村を荒らしていたのじゃ、だからわしらは大蛇様の好きな酒と生贄を毎年用意しておるのじゃ」
薫「い、生贄…」
「それで、今年の占いでその生贄がわしの1人娘になったんじゃ…わしは妻と一緒に大切に育てていたのだが、その妻が去年他界してしまって…あの大切な一人娘までなくなったらわしは一人なんじゃ。だからわしと娘は泣いておったのじゃ…」
薫「そんなことが…俺、なんとかしたいけど…」
ヤエ「それはできないわ」
ヤエがキッパリと言う
薫「な、なんでだよ!」
ヤエ「私たちはあくまで調査に来たのよ、あなたも取材に来たのでしょ?」
薫「そ、それはそうだけどよ」
ヤエ「私たちには仕事があるのよ。この村の伝統を汚す様なことはできないわ。第一に、なんの罪もない大蛇様を倒す様な真似をする理由はないわ。」
薫「で、でもよ、ウルトラマンの力さえあれば、あの大蛇を倒せるんじゃねぇのかよ!大蛇を倒せれば、村長さんの娘さんは助かるんじゃねぇかよ!」
突然、ヤエが平手打ちをする
ヤエ「そんなことでウルトラマンの力は使えないわ、ウルトラマンは無闇に命を奪う存在じゃないわ」
ヤエが立ち上がる
ヤエ「私は調査しに行く。」
そう言うと、ヤエは家を出て行った。

ヤエは調査場所に到着した。
大蛇様の住む祠の近くだろうか、祭壇が置かれていた。
ヤエ「さて、調査しますか。」
ヤエは祠の近くの土を採取したりなどしていた。
ヤエ「大蛇とは如何なものかねぇ、ちょっと気になるわ…」
「おい姉ちゃん!そこは危ねぇぞ!」
ヤエが振り向くと村民が立っていた。
「そこには大蛇様が住んでいるんじゃよ!明日は大蛇様が目覚める日なんじゃよ!」
ヤエは村民に事情を説明した。
「なんでぇ、調査かい!なんなら明日大蛇様を見たらいいぞ!」
ヤエ「いえ、私は今日中に帰らなければならないんで。」
「なんだって?勿体無いなぁ…」
ヤエはサンプルを持って帰って行った。

ソニックカーで帰還の準備をしていると、姫矢が帰ってきた。
ヤエ「おかえり…」
薫「なぁ、さっきはごめんな…」
ヤエ「こっちこそ、さっきはついカッとなってしまって…」
ヤエ「それで、取材はどう?」
薫「長引きそうだな、明日には終わりそうなんだ」
ヤエ「そう、私は帰還するんだけど」
そこへ村長が家から出てきた。
「お二人さん、今日は泊まりなさい」

布団の中でヤエはヴァルキリーアームを握りしめる
ヤエ「確かに、村長さんの娘をどうにかしたい気持ちは私もあるわ…」

翌日、村の皆んなは祠の前で大蛇様が来るのを待っていた。
目の前には生贄となる娘が覚悟を決めて座っている。
その前には村長の家にあった大きな酒の壺が置かれていた。
ヤエ「あの酒瓶、お供物なのね」
薫「どうやら、酒を飲ませた上で生贄を捧げるらしいぜ。ただ酒がどう言うものかによっては大蛇様の機嫌は上下するらしいぜ」
姫矢はカメラを構える
雨が降り始めたと同時に祠が動く
「見ろ!大蛇様じゃ!」
祠の中から大蛇様が現れた!

伝説怪獣 オロチ

その姿は九つの首に巨大な体をしていたのだ。リーダー格であろう真ん中の首が酒を飲む。村人は皆祈る。
「たのんます、たのんます…」
リーダー格の首が酒を飲み干すとこう言い放った
「まずい」
どうやらオロチの機嫌を損ねてしまった様だ。
「こんな不味い酒を飲んだのは初めてだ!この私にこんな酒を飲ませるとはな!生贄もろとも沈めてくれる!」
雨の勢いが強くなっていった。
そんな中、オロチの九つの首は村人達を次々と食べていった。村人は逃げ惑う。オロチが生贄を食べようとしたその時、弾丸がオロチ様の目に直撃する
薫「お、おい!大蛇様に何やってんだよ!」
ヤエ「大蛇は罪を犯した。見ればわかる筈よ。こんな存在、私が見逃すわけには行かないわ。」
薫「だ、だからってよぉ…」
ヤエ「姫矢君、生贄を…いや、村長の娘さんを頼むわよ!」
姫矢は村長の娘を連れて逃げていった
「おのれ!私から逃げられると思うなよ!」
ヤエ「人間の生命を脅かす存在…大蛇!お前の相手はこの私だ!」
ヤエはヴァルキリーアームを腕に装着する。
シュワァー…
「グォッ!なんだこの光は…」
目の前にはウルトラマンが佇む
「たかが巨人、葬ってくれるわ!」
雨足が更に強くなり、土砂降りとなる
ウルトラマンはオロチにタックルを仕掛けた、そしてヴァルキウムショットで追撃した。
「巨人にしては中々のものじゃ」
オロチの九つの首は何かをチャージしている。そして解き放たれた!水流ブレスだ!
リーダー格の首が放ったブレスはウルトラマンを吹き飛ばし、残りの首が放ったブレスは村を襲った。

「お、大蛇様がお怒りの様じゃ!」
近くの川が氾濫する中、オロチのブレスが建物を貫通し、分断した。
水流ブレスは村長の家を切断した。
薫「危なかったな、村長さん!」
姫矢は村長と娘を遠くへ避難させていた。他の村人も協力して遠くへ避難していった。

一方のウルトラマンは立ち上がり、リーダー格の首を殴った。
「グォォォッ!」
しかし、リーダー格の首の反撃でウルトラマンは吹き飛ばされる。
大雨が降る中、ウルトラマンは何度も立ち上がり、オロチに立ち向かっていた。
「小癪な奴め!終わりにしてやる!」
オロチはまたもや水流ブレスのエネルギーをチャージした。しかし、今度は違う。他の首がリーダーの首に集結した。そして解き放たれた超高圧水流ブレスがウルトラマンを襲う。
ウルトラマンはヴァルキリーシールドで防ぐもヴァルキリーシールドは粉々に砕け散った。それでもウルトラマンは体を張って超高圧水流ブレスを受け止めた。今ウルトラマンが倒れたら、超高圧水流ブレスは村を襲うからだ。
ウルトラマンのカラータイマーが鳴り響く。しかし、それでもウルトラマンは体を張って超高圧水流ブレスを受け止めた。そしてウルトラマンは超高圧水流ブレスを受け切ったのだ!
「私の技を受け止めるとは、あっぱれなり…だが、貴様の体力も残りわずかだ…」
ウルトラマンは仁王立ちをしたまま立ち尽くしている。カラータイマーの音が早くなる。ウルトラマンは仁王立ちをやめると、ゆっくりとヴァルキリーカリバーを展開する。
「ほう、我にまだ挑むのか?」
ウルトラマンは首を一つ、切断する。
「グォッ!?く、首が!?」
一つ、また一つと首が切断されていく
「き、貴様…そんな余力は残ってない筈だ。」
ウルトラマンはヴァルキリーカリバーを天に掲げた。ヴァルキリーカリバーは青白く輝く。
ウルトラマン「トドメだ!ヴァルキリースライス!」
ウルトラマンはヴァルキリーカリバーでオロチを真っ二つに切り裂いた!
「グワァァァァァ!」
オロチは真っ二つに引き裂かれた衝撃が、大爆発を起こした。
それと同時に、雨は止み、ヴァルキリースライスによって切り裂かれたであろう雲の隙間から日が指す。やがて隙間は広がり、村を照らしたのだ。
ウルトラマンは振り向いた。
「ありがとう!ありがとう!」
「これで村は安泰だ!」
「わしらはやっと呪いから解放されたのじゃ!」
村人はウルトラマンに精一杯感謝を伝えた。ウルトラマンは頷くと、天へ飛び立った
ウルトラマン「シュワッチ!」
2人が帰る途中、村長の娘が呼び止めた。
娘「これ、大蛇様が討たれた場所からこんなものがあったのですが、よかったら…」
娘は剣を差し出した。
ヤエ「これは姫矢君が持っていきな」
薫「えっ!?」
ヤエ「これも雑誌のネタになるでしょう?」
姫矢はその剣をもらった
娘「よかったら、またきてくださいね!」
娘はソニックカーに手を振った。
復興が始まった村を背に、ソニックカーは村を出ていったのだった…

続く

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