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心疾患サバイバーと出会った話。


夏が終わり、秋になった。
私は絶望していた。
夏の彼を超える人には全然出会えないし、
10月の娘の経過観察で、検査に引っかかってしまったのだ。
次の経過観察で再び同じ結果であれば、検査入院になると主治医から言われる。
検査入院は、手術の前段階。
生まれた時からずっと恐れていた心臓の手術をする日が近づいてきた…。
夫婦関係は破綻しているので、支え合う会話は一切ない。
一人で頑張らなければと思うと涙が溢れた。
そんな夜。
2週間ほどアプリでやり取りが続いているものの、
会おうという話がなかなか出ない人がいた。
もうアプリも辞めようと思っていた頃だった。
孤独と不安に耐えきれず、思わず娘の手術が半年後に入るかもしれないことを話した。
オレも生まれた時心疾患ありましたよ!でも子どもの頃からいつも駆けっこ1番でしたよ
驚いた。
だって彼は、元自衛官で、現消防士。
高身長でガタイもいいという人。
彼は成長と共に自然治癒したそうだけど、
先天性心疾患持ちで二度も公安系のメディカルチェックをクリアできるなんて、どんな人なんだろうと単純に興味が湧いた。
心疾患持ちの子の親として、むしろ気になる。
どんな人なのか会ってみたいと単純に興味が湧いた。

彼は気遣いやフィーリング重視とのこと。
流れでLINE交換し、2回通話し、仲良くなれそうな気がした。
8個も年下なのに、聞き上手でスマートな会話ができる人だった。
会う前からもう好き、どんな人でもいいと言われる。
男の人に好きだと言われるのも、10年ぶりだった。

結局初めて会った日に手を繋ぎ、カラオケで一曲も歌わずにキスしまくり、
二度目は都内で買い物デート。
ホテルに行くも、まさかの致せず。
向こうの体調不良も重なったけれど、性の不一致だったのだと思う。相性というのは夫婦でもどうにもならないのに、この関係での不一致というのは致命的だ。わかってはいたのだ。

でも、私は愛情にも飢えていた。
心の繋がり、フィーリングの一致、口先だけでも好きだと言ってくれたこと、毎朝おはようLINEをくれることが嬉しかった。
前回の後悔もあり、本当にダメになるまで自分から手放すことは出来なかった。

その後も数回会って、都内で健全にお茶したり、
手を繋いで百貨店でウインドーショッピングをしたり、誕生日祝いにパフェを食べさせてもらったりしたものの、少しずつ彼のLINEの返信が遅くなっていった。

毎日だった連絡が、
1日おきになり、2日おきになり、3日おきになった。
未読スルー。
こんなに苦しいものだとは知らなかった。
もう返信が来なければ諦められるのに、
遅いけれど返信は来る。
LINEは続いている。

職業柄平日休みだと思いきや、彼は本部勤務でデスクワークをしているので、休みも中々合わない。
キープされているんだろうなと思いつつ、
自分からは手放せない苦しさ。

結局12月頃、年内は会えないと言われたのを機に、もう返信要らないよとこちらから伝えて終わった。

当時は年下のLINEに女子高生のように一喜一憂して振り回されて悔しい思いをしたけれど、
今ならわかる。
少しずつのフェードアウトは、
お互いに傷が浅く済む。
精神力も手間もかかるだろうに、
気長にじわじわとフェードアウトしていってくれた彼は私より大人だったのかもしれない

フェードアウトされつつある頃はモヤモヤして生き地獄で、もう会う気がないならはっきり言ってよ!ずるい!と腹が立ったけれど
はっきり言われたら言われたで、もっと悲しく辛いのだと、後々わかることになる。
悪者になりたくない、ずるいけどある意味優しい終わり方。
勉強になりました。

彼とは2ヶ月ほど会ったりLINEを続けていたけれど、
今思えば結局抱かれていないのと、
終わり方があっさりフェードアウトだったので、
印象は薄い。

健全デート楽しかったし、
振り返ってみれば、上手に離れてくれたことも感謝してます。










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