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$キューバ危機「10月の悪魔・破滅の淵の13日」

$キューバ危機「10月の悪魔・破滅の淵の13日」


$キューバ危機(キューバきき、(: Cuban Missile Crisis、西: Crisis de los misiles en Cuba、: Карибский кризис)は、1962年10月から11月にかけて、ソ連キューバ核ミサイル基地を建設していることが発覚、アメリカ合衆国カリブ海でキューバの海上臨検を実施し、米ソ間の緊張が高まり、核戦争寸前まで達した一連の出来事のこと。

日本語呼称にはばらつきがあり、英文通りに「キューバ・ミサイル危機」や後述の理由により「第二次キューバ危機」ともされる。

概要

1962年夏、ソ連とキューバは極秘裏に軍事協定を結び、キューバに密かに核ミサイルや兵員、発射台、ロケット、戦車などを送った。アメリカは偵察飛行で核ミサイル基地の建設を発見、直ちにキューバを海上封鎖し、核ミサイル基地の撤去を迫った。一触即発の危険な状態に陥ったが、当時のケネディ大統領とフルシチョフ第一書記とで書簡をやり取りし、最終的にソ連が核ミサイルを撤去してこの危機は終わった。また、これを機に米ソ間でホットラインの開設がなされ、不測の事態による軍事衝突を防ぐための対策が取られた。

危機の期間に定義があるわけではないが、アメリカ軍が空中偵察でミサイル基地を発見した1962年10月14日、または大統領にその情報が入った10月16日から、フルシチョフがミサイル撤去を伝えた10月28日までとすることが多い[注 2]。ただし、実際にソ連が核ミサイルをキューバから撤去し、アメリカが封鎖解除したのは11月21日である。

「キューバ・ミサイル危機」とも呼ばれ、またこの1年半前の1961年4月の「ピッグズ湾事件」を「第一次キューバ危機」と呼び、この1962年10月の危機を「第二次キューバ危機」と呼ぶ場合がある。


$これが我々が着手した困難かつ危険な努力であることは、何人も疑ってはならない……今後どのような経過をたどるか、どれだけ人的損害を招くか正確に予見しうる者はいない。……我々の意志と忍耐が試練にかけられ……我々の直面している危機を常に我々に感知させるだろう……一番大きな危険は何もしないことです。……我々が選んだ道は危険に満ちています。……しかしそれは……我々が世界に負っている責任にもっともふさわしい道です……自由の代価は常に高い、だがアメリカは常に支払ってきた。……自由を犠牲にしての平和ではなく世界における平和と自由である。神が許したもうならばこの目標は達成されるであろう。……。

ケネディの書簡作成

この日午後の会議で「トルコのミサイルで取り引きすれば、キューバのミサイルを片付けられるのに、苦労して血を流してもキューバ侵攻はうまくいかない。もし後世にそう記録されたら戦争をやってよかったとは言えない」とケネディは呟いていた。しかし会議ではトルコのミサイル撤去に反対が多く、NATO(北大西洋条約機構)が分裂しかねないと懸念する意見もあった。

そこでこの日に届いた書簡(トルコのミサイル撤去)を敢えて無視し、昨日届いた書簡にのみ回答して、その書簡のフルシチョフ提案(キューバを今後攻撃しない)を受け入れる案が出された。そしてケネディは前日に届いた柔軟な内容のフルシチョフの書簡に対してのみ回答する方針を決め、ロバート・ケネディと大統領顧問テッド・ソレンセンにその回答の起草を命じた。そしてスティーブンソン国連大使が推敲して、同日午後8時に公表した。

この回答の中身は『3つの条件』

  1. キューバのミサイル基地建設の中止

  2. 攻撃型ミサイルの撤去

  3. 国際連合の査察団受け入れ

を提示して、この条件を了解すれば、アメリカは海上封鎖を解き、キューバを攻撃・侵攻しないと確約するものであった。

「私はあなたからの10月26日付けの書簡を大変注意深く読み、この問題への早急な解決を求める熱意が述べられていたことを歓迎します。……書簡で示された線に沿って、解決に向けた取り組みを、この週末に国連事務総長代行の下で作成するように指示しました」

$キューバ危機を扱った作品[編集]

書籍

  • 戯曲『人類危機の十三日間―キューバをめぐるドラマ』ジョン・サマヴィル(著)、中野好夫(訳) 、岩波新書、1975年

ドキュメンタリー番組

映画その他

https://www.jfklibrary.org/cmc_exhibit_2002.html

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nenpouseijigaku/64/2/64_2_162/_pdf


$キューバ・ミサイル危機(上):広島・長崎から核戦争の瀬戸際へ 1945-62 Kindle版

マーティン・J・シャーウィン (著), 三浦元博 (翻訳) 形式: Kindle版

$解説
「核のある世界」への警鐘の書

1962年10月のキューバ・ミサイル危機は、核戦争(最終戦争)が一触即発で起きかねない13日間だった。本書はその「一触」が、実はほんの偶然の積み重ねで回避されていたことを明らかにした大作だ。米国の国家安全保障会議、国防総省、統合参謀本部の会議録、関係者の個人メモ、回想録、解禁されたソ連共産党幹部会の議事録など、豊富な史料を網羅して、米ソ両政権の内部とカリブ海の現場で何が起きていたかを立体的に描き出し、手に汗握る日々が展開される。ケネディとフルシチョフの関係、その言動や心理、タカ派とハト派の攻防を丹念に積み上げるミクロ的記述と、広島・長崎への原爆投下から冷戦下の核軍拡競争に至る文脈に、この危機を位置付ける俯瞰的視点を交差させており、圧倒的な説得力がある。
ロシアによるウクライナ軍事進攻、台湾をめぐる中国と日米の緊張を踏まえると、この危機がどこか重なって見えてくる。「核の脅威」が懸念される今、60年前の危機が残した教訓を振り返る意義は大きい。ピュリツァー賞受賞の歴史家(米外交と核管理・軍縮論)が、危機の深層を描き切った決定版。

$読者レビューより引用・編集
大学の講義で課題図書に指定されたので読む。
まず、著者のマーティン・J・シャーウィンについて説明する必要がある。シャーウィンは核兵器と国際政治との相関をテーマに研究した米国の歴史学者。2023年に公開され、日本でも2024年3月29日に公開されるクリストファー・ノーラン監督映画『オッペンハイマー』は、シャーウィンが書いた伝記『オッペンハイマー』(原題:American Prometheus)を原作にしている。本書『キューバ・ミサイル危機』(原題:Gambling with Armageddon)は2021年10月に逝去したシャーウィンの遺作。
 本書で、シャーウィンは「どういうわけか」キューバ危機が核戦争にならなかったと指摘した。つまり、キューバ危機で核戦争が起こる確率の方が圧倒的に多く、起こらなかった方が不思議と言える。核戦争にならなかった理由として、二つの「偶然」ーキューバ沖でのアルヒーポフ大佐(ソ連軍)の行動と、沖縄でのバセット大尉(米軍)の行動があった。前者は米軍から投下された手榴弾を「戦争の勃発」と勘違いした艦長をなだめ、後者は「今すぐ中国とソ連を攻撃せよ」との指令を誤報と指摘し、戦争を防ぎました。従来のキューバ危機に関する書籍や分析とは異なり、「ボトム」の要因に注目している点で本書は珍しい。
しかし、「ボトム」に注目しているからと言って、米ソの首脳部といった「トップ」の視点をないがしろにしている訳ではない。むしろ、本書では、キューバ危機時だけでなく、米国の原爆開発から、広島・長崎への原爆投下、ソ連の核実験成功、アイゼンハワー政権による「大量報復戦略」の策定など、米国、もしくはソ連での決定過程を詳細に記している。
 また、副題に「広島・長崎から核戦争の瀬戸際へ 1945-62」とあるように、キューバ危機は決して偶然起こったのではなく、米国の核開発成功からの出来事や決定の積み重ねで起こったと示唆している。米ソが知らず知らずのうちに核の緊張を高める決定を行った結果、一気に核の緊張が噴出した出来事がキューバ危機だったのではないか。

商品の説明

著者について

アメリカの歴史学者。主要著作に、スチュアート・L・ベルナス賞とアメリカ歴史書賞を受賞した、A World Destroyed:The Atomic Bomb and the Grand Alliance(邦訳『破滅への道程:原爆と第二次世界大戦』)、ピュリツァー賞受賞の共著、American Prometheus :The Triumph and Tragedy of Robert J. Oppenheimer(邦訳『オッペンハイマー:「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』)がある。シャーウィンは熱心な核管理・軍縮論者としても知られているが、2021年に他界し、本書は遺作になった。

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B0CBTK2XW2

  • 出版社 ‏ : ‎ 白水社 (2022/8/29)

  • 発売日 ‏ : ‎ 2022/8/29

  • 言語 ‏ : ‎ 日本語

  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 12388 KB

  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効

  • X-Ray ‏ : ‎ 有効にされていません

  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません

  • 付箋メモ ‏ : ‎ Kindle Scribeで

  • 本の長さ ‏ : ‎ 418ページ







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