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細菌検査結果の略語、知っていますか?細菌検査結果の理解術

細菌検査結果の解釈に困っているあなたに朗報です。
この記事では、細菌検査結果の読み方からMIC値の理解、薬剤感受性検査の重要性まで、食品衛生管理の専門家から学べる知識を詰め込みました。
知識を深め、衛生管理の質を向上させましょう。


細菌検査とは

細菌検査は感染症の診断や、食品の衛生状態を確認するために行われます。

感染症とは
私たちは、微生物とともに生きています。健康な人でも、皮膚、口の中、鼻 の中、のど、気管、胃腸などにさまざまな微生物がいます。
微生物の多くは人 に何の害も与えることなく、むしろ消化や生理的な働きを助けるなど、私たち の身体と共存しています。(これらを常在菌と呼びます)
しかし、なかには人の身体に害をもたらし、病気を引き起こす微生物もいま す。これを、病原微生物(病原体)といい、それが身体に入り増えた状態を“感染”といいます。そして、身体のある部分が痛んだり、腫れたり、熱が出たり といったなんらかの症状のある状態が“感染症”です。

出典:感染症の基礎知識-茨城県

細菌検査の目的と手順

主な目的は、身体内に存在する細菌の種類や数を特定し、治療法の選択や感染源の特定に役立てることです。
検査は次のような4つの手順で行います。

【検査手順】
1.試料採取(各種の試験を行うためにサンプルを採取すること)
2.培養(細菌による感染が疑われる場合、喀痰等の検体を、培地(細菌が発育するのに必要な栄養素を含んだ液状あるいは固形)に接種して細菌が発育するかを調べます)
3.同定(検体から検出された感染症の原因となる細菌の名前を決定する検査)
4.感受性検査(喀痰、血液、尿などの検体から分離される細菌に対し、有効な抗菌薬を調べる検査のこと。 薬剤感受性検査は、検出菌それぞれに対し、どの抗菌薬が有効かを明らかにする検査のこと)

細菌検査で使用される主な検査法

様々な検染法がありますが、特にMIC法薬剤感受性を評価する際に重要です。

細菌検査結果の読み方

細菌検査の結果を解釈するためには、専門的な知識が必要となります。
しかし、ここでは基本的なポイントを紹介し、誰でも細菌検査報告書の見方を理解できるようにします。

細菌検査報告書の基本的な見方

細菌検査報告書には、検出された細菌の種類その数そして薬剤感受性が記載されています。
まず、細菌の種類は感染症の原因を特定するための重要な手がかりとなります。
次に、細菌の数は感染の程度や検査対象物の清潔度を示します。
そして、薬剤感受性は、患者がどの抗生物質に対して最も効果的な反応を示すかを示すもので、治療計画を立てる際の非常に重要な情報です。

MIC(最小発育阻止濃度)とは何か、その見方

MICは、細菌の生育を阻止するために必要な抗生物質の最小濃度を表します。
具体的には、ある抗生物質をある濃度まで薄めても細菌の生育を阻止できる限界の濃度を指すのです。
この数値が小さいほど、細菌はその抗生物質に対して感受性があると判断します。
反対に、この数値が大きいと、細菌がその抗生物質に対して抵抗性を持っている可能性が高くなります。
これらの情報は、どの抗生物質が最も効果的かを医師が判断する際の重要な基準となるのです。

MIC測定法は、段階的に希釈し濃度を調整した抗生物質や、抗菌性物質を加えた培地中に試験対象微生物を接種し、最小発育阻止濃度を調べます。
抗生物質に対する感受性/耐性を確認する際は、特定の抗生物質を選択し、試験を実施します。

出典:抗菌性試験-株式会社テクノスルガ・ラボ

薬剤感受性検査とは

薬剤感受性検査は、細菌が特定の抗生物質に対してどれだけ感受性を持つかを調べる試験です。
これにより、最も効果的な抗生物質の選択を補助します。
今回は、その目的と方法、結果の解釈の重要性について詳しく解説します。

薬剤感受性検査の目的と方法

薬剤感受性検査の目的は、特定の細菌に対する抗生物質の有効性を判断することです。
これにより、感染症治療に最適な抗生物質を選ぶための基準となります。
方法は、細菌を様々な濃度の抗生物質が含まれた培地に接触させ、その生育を観察します。
特定の抗生物質に対する感受性は、MIC(最小発育阻止濃度)として報告されます。

結果の解釈とその重要性

薬剤感受性検査結果の解釈は、感染症治療の選択における重要な基準となります。
感受性(S)、中間(I)、抵抗性(R)の3つのカテゴリーで結果が表されます。
感性(S)は抗生物質が効果を発揮することを、耐性(R)は抗生物質が効果を発揮しないことを示します。
この結果を元に医師は最適な抗生物質を選択します。
適切な抗生物質を選択することで、患者の治癒速度を高め、抗生物質耐性の発展を防ぐことができるのです。

よく分かる! 薬剤感受性検査結果の読み方と活用方法

出典:厚生労働省

よくある質問

細菌検査結果や薬剤感受性検査について、よくある質問とその回答を紹介します。これにより、結果の解釈に役立ててください。

Q1.細菌検査結果の略語で混乱しています。どのように解釈すればよいですか?
A1.細菌検査結果には、多くの略語が使用されます。MICは「Minimum Inhibitory Concentration=最小発育阻止濃度」、Sは「Susceptible=感性」、Iは「Intermediate=中間」、Rは「Resistant=耐性」というように、略語の意味を理解することで結果の解釈が容易になります。

Q2.MIC値が高いとはどういう意味ですか?
A2.MIC値が高いとは、特定の抗生物質を阻害するために必要な濃度が高い、つまり細菌がその抗生物質に対して抵抗性を持っている可能性があることを示しています。

Q3.薬剤感受性検査の結果がR(抵抗性)だった場合、どう対処すればよいですか?
A3.結果がR(耐性)である場合、その抗生物質は効果が期待できないと解釈されます。その場合、医師は他の感受性が示された抗生物質を選択することになります。

Q4.なぜ薬剤感受性検査は重要なのですか?
A4.薬剤感受性検査は、感染症治療における抗生物質選択の重要な基準となります。これにより、患者の治癒速度を高め、抗生物質耐性の発展を防ぐことができます。

Q5.細菌検査結果の「追加」は何を意味しますか?
A5.「追加」は、初期の細菌検査後に追加で行われた検査や、新たに発見された情報を指します。これにより、治療の方向性をより精確に定めることが可能になります。

今回、細菌検査結果の解釈法から薬剤感受性検査の重要性まで、食品衛生管理のポイントを学んでいただきました。これらの知識を身につけることで、より確かな衛生管理が可能となります。さあ、あなたも細菌検査結果のプロになりましょう。

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