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トヨタ潰しに失敗したEUの末路が悲惨すぎる...

ヨーロッパのトヨタ潰し

世界各国では、ガソリンで動く車を排除して、電気のみを使って動く「EV車」へ切り替えようとする動きが、活発化しています。

これは、全ての車をEVにすれば、走行中の二酸化炭素排出がゼロになるから、という理論です。

EVを走らせるための、電力を発電する時や、車両製造段階では、大量の二酸化炭素が、生成されるにも関わらず。

これを特に推し進めていたのが、EUです。

EUは、世界最高のハイブリッド技術をもつトヨタを、業界から外していきたい、という思惑の下、これまでEV化を進めてきました。

EUでは、2010年代前半まで、二酸化炭素を、EV並みに抑えることができる上に、安価であるとして、ディーゼルエンジンを、ガソリンに代わるエネルギーとして、推し進めていました。

しかし、それは偽りだったことが、ディーゼルゲート事件、ドイツ・フォルクスワーゲンによる、ディーゼルエンジン車の、排出ガス不正問題の発覚で、ばれてしまいます。

これにより、EUのディーゼルエンジン戦略への信頼は、失墜。

このままでは、ハイブリッドシステムで、次世代のエンジン戦略を進める日本車メーカーに、主導権を握らせてしまう、とEUは焦ります。

そこで、環境保護のためには、世界中の車を二酸化炭素排出がゼロである、EVへと転換しなければならないとして、EU連合に加盟する、27ヶ国の環境大臣が、2021年に「2035年までに、EUではEVを100%にする」という目標を掲げました。

これが、2035年法案です。

この法案では、2035年にハイブリッド車を含む、二酸化炭素を排出する、エンジン車の販売を禁止するとしています。

これは、トヨタ得意のハイブリッド車を許さない、「露骨なトヨタ潰し」だったのです。

ハイブリッド車でさえ、電動車の対象から外し、電気自動車であるEVの販売へと誘導しようとしたのです。

EUで、ハイブリッド車の人気が高かったトヨタですが、EUの急進的な保護政策により、戦略を変更せざるを得なくなりました。

トヨタはこのようなEUの「完全EV化」に疑問を持ちつつも、燃料電池や充電ができるハイブリッド車、PHEVなど、全方位戦略で、カーボンニュートラルへ立ち向かっています。
もちろんトヨタは、水素をガソリンのように燃焼させて、エンジンを回す、内燃機関の可能性も諦めていません。

ホンダは、「2040年までに電気自動車、燃料電池車の販売比率を100%にする」と宣言するなど、EUを始めとする、EV化に遅れをとるまいと、新たな戦略を打ち出しました。

トヨタ潰しに失敗したEU

このように、トヨタ潰しを進めていたEUですが、どうやら雲行きが怪しいようです。

欧州自動車工業会によると、2023年のEU27カ国の、新車登録台数は、前年比13.9%増の1054万7716台と、4年ぶりに1000万台の大台に乗りました。

その市場回復のけん引役は、ハイブリッド車でした。

ハイブリッド車は、前年比29.5%増の、272万台となり、新車市場の約26%を占めています。

EUが普及に力を注いでいる、電気自動車、EVは、前年比37.0%増の、154万台と好調であり、そのシェアは新車市場の、15%にまで拡大しました。

ディーゼル車の登録台数が、143万台にとどまったので、すでにEVの市場規模は、ディーゼル車を抜いたと言えるでしょう。

一方、ガソリン車も、前年比10.6%増の、372万台と、ニーズの底堅さを見せつけています。

これだけ見ると、EVの市場規模は、順調に拡大しているように見えます。

しかし、四半期ごとの動きを見て行くと、EVの勢いが、徐々に鈍化してきたことが分かります。

具体的には、2023年10-12月期の、新車販売台数は、前年比5.5%増と、2四半期連続で鈍化しましたが、EVが寄与した押し上げポイントは、たったの0.8%ポイント。

一方、10-12月期の、新車全体の成長率に対する、ハイブリッド車の押し上げポイントは、前期と変わらず、6.9%ポイント。

12月単月で見ても、EVの新車登録台数は、前年比16.9%減と、2020年4月以来の前年割れですが、ハイブリッド車は26.0%増と、好調を維持し続けています。

つまり、EUの2023年の新車市場は、7-9月期までは、EVとハイブリッド車が、回復をけん引していましたが、10-12月期に入ると、EVの需要が減退し、残されたハイブリッド車だけが、市場規模拡大に貢献していたのです。

個別の自動車会社についても、見てみましょう。

ヨーロッパを代表する、メルセデス・ベンツグループは、中国市場で、中国のEVメーカーとの競争激化によって、販売が落ち込むなどして、最終利益は1.7%減。

BMWは、37.1%の減益に見舞われています。

フォルクスワーゲンやプジョー、クライスラーを手がけるステランティスは、最終損益が増益となり、フランスのルノーは黒字に転換しましたが、いずれもEVに関しては、一時の勢いは失われつつあります。

フォルクスワーゲンは、主力EVの生産計画を取り下げ、EVに代わり、当面はエンジン車とハイブリッド車に注力すると発表。

ルノーは、EV事業を分離した新会社・アンペアのIPO上場を中止しました。

一方、ハイブリッド車は絶好調で、市場に占めるシェアは、28.9%にのぼります。

ハイブリッド車が好調のトヨタ自動車は、レクサスを含め、16.8%増。

日産自動車は20.6%増、スズキは55.9%増を記録しています。

さらに、三菱自動車は約2.4倍、ホンダも44.1%増と、ヨーロッパを支配する、日本車メーカーを阻止しようとしたEUですが、完全に失敗に終わりました。

事実、EUは、条件付きでガソリン車の販売を容認するとして、2035年法案の方針を転換したのです。

これには、メルセデスベンツやフォルクスワーゲンを抱える、ドイツの強い反対があったそうです。

なぜEUのEV市場は失敗したのか?

では、なぜEUの完全EV化は、失敗してしまったのでしょうか?

現在、EUでは財政再建の流れが強まっていて、その一環として、各国でEVの購入補助金が削減されています。

しかも、特にフランスで顕著なのですが、よく売れているEVは、その多くが中国製の安価なEVだったのです。

そもそも、EVには電池パッケージの価格の高さや、充電時間の長さ、充電場所の少なさ、空調使用による航続距離の低下、電池の劣化といった、顧客に不便を強いる、さまざまな課題があります。

さらに、EVが大量に増えた分に見合う、再生可能電力を供給できるのか、2次電池の主要材料である、リチウムやコバルト、ニッケルといった希少金属を調達できるのか、次世代の全固体電池の開発の目途はたっているのか、2次電池の製造時の、二酸化炭素を削減できるのかなど、製造上の課題まであります。

EUで作られたEVは、これらの問題に対処しきれていないにも関わらず、高価格なのです。

そうなれば、顧客の多くは、課題の多いEVよりもエンジン車、ハイブリッド車を選択するでしょう。

さらに、先ほども紹介したように、EUではすでに、中国の世界最大のEVメーカー・BYDによるシェア獲得が進んでいます。

EUのEV市場における、中国ブランドのシェアは、2023年は7%前後でしたが、2024年は11%、2027年には20%に達する可能性があるとされています。

域内の自動車産業を振興し、域内経済でなければならないEUにとって、これはまさかの展開。

これまでEUが、車載用バッテリーの再利用や、レアアースなど、EV原材料の自主鉱山の開発を目指してきたのも、バッテリーや原材料の生産に、中国企業が強みを持っていたから。

中国ブランドが入ってきた今もなお、EUは市場での競争よりも、補助金で、域内でのバッテリーの生産コストを、政策的に引き下げることで、EVの普及を目指す方針を続けています、

しかし、この方針は、EUがそもそも重視してきたはずの自由競争、自由貿易の原則に反する保護主義ですが、なぜEUは、そうした姿勢を強めているのでしょうか?

EUは表向き、EVシフトを、環境対策の一手段として位置付けています。

走行時に、温室効果ガスを排出しないEVの普及は、地球温暖化を抑制できるので、早急に取り組まなければならない、というわけです。

しかし実は、EUは、EVシフトで環境対策のみならず、産業振興と経済安全保障の目的まで、実現しようとしているのです。

つまりEUは、EVシフトを、EU域内の自動車産業の再興の手段としても、位置付けています。

EUは「トヨタ潰し」によって、EVに注力することで、域内の自動車産業の巻き返しを図りました。

米中という2大国の間で、存在感が薄まることに危機感を強めたEUが、グローバルなEVシフトを促すと同時に、域内の自動車産業に対して、EV生産のための、潤沢な補助金を給付していました。

つまり、域内メーカーに有利なように導く、という点で、EVシフトは産業振興そのものなのです。

さらにEUは、EVシフトを、経済安全保障の手段にも用いようとしています。

特に、ウクライナ侵攻によって、ロシアとの関係は悪化、ロシア産の化石燃料に依存していた、EUの危機感の高まりにつながりました。

従来型のエンジン車は、化石燃料の価格によって、売れ行きが左右されますが、再生エネルギーの電気が使えるEVなら、そうした心配は不要。

またEUは、先ほども紹介したように、車載用バッテリーの再利用や、原材料のリサイクルシステムを構築したり、域内外で原材料の自主鉱山を開発することで、原材料輸入の、中国依存を下げようとしています。

つまりEUは、EVシフトで「環境対策」「産業振興」「経済安全保障」の三兎を追っている。

これらを実現するためには、EVはEU域内製でなければなりません。

しかしEUは、市場の拡大が減退した今も、EVシフトを見直すことができず、かつて自らが否定していた、保護主義の罠に突き進んでいるのです。

そもそも、環境対策を重視するなら、EUは本来なら、中国であろうと、安価なEVの普及を歓迎すべきですよね。

しかし、EUは域内自動車産業の保護と、経済安全保障の向上まで欲張ろうとして、中国製EVを排除しようとしているのです。

しかし、それは失敗し、域内のEV化はイマイチ進まず、日本製のハイブリッド車や、中国製のEV車が、結局EU経済を飲み込んでいるというのが現状です。

EV市場が崩壊した後のEUとトヨタ

トヨタ潰しを始めとする、「日本車潰し」を意図したEUですが、最終的には、中国企業を勢いづかせることになってしまいました。

EVの世界販売トップが、中国のBYDであるだけでなく、トップテンに中国企業が6社も入っていて、2位はアメリカのテスラです。

このランキングにおいて、ヨーロッパの自動車メーカーの姿は見られません。

また、日本勢もトップテンに入っていませんが、心配はいらないとされています。

なぜなら、巨額な補助金がなくなれば、ガソリン車やハイブリッド車など、消費者に優しい自動車が勝利するからです。

特に、環境に優しいハイブリッド車は、次世代自動車の本命です。

ヨーロッパで作られたEVは、環境にも消費者にも優しくない自動車でした。

ハイブリッド車の市場は、トヨタなど、これからも日本勢の独壇場でしょう。

また、トヨタがEVに熱心でなかったのは、「現状のバッテリーの性能では、消費者が満足する自動車をつくれない」という信念に基づいています。

そしてトヨタは、2027年~28年にも、全固体電池の実用化を実現する方針を、発表しました。

まだ未知数の部分はありますが、10分以下でフル充電し、従来型EVの約2倍である、航続距離1000キロを目指しています。

もしこれが実現すれば「消費者が満足するEV」として、あっという間に、他のEVを圧倒できると考えられています。

世界中から目の敵にされる、過酷な状況でも、黙々と良い製品を作ることに専念し、実力で黙らせてきたのが、トヨタのやり方。

販売台数で、4年連続世界首位のトヨタは、これからますます躍進するでしょう。

今回は、トヨタ潰しに失敗した、EUのEV市場の現在について、見てきました。


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