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【30年で○%】首都直下型地震が発生したら日本はどうなる?最も危険な地域はどこ?

首都直下型地震とは

首都直下型地震とは、東京都を中心に、関東圏で発生する、マグニチュード7程度の大地震です。

江戸時代から、大正の関東大震災に至るまで、過去の地震記録をもとに、将来発生すると予想されています。

異なる震源の、複数の地震が想定されていて、東京の江戸川区と江東区では震度7、
東京、千葉、埼玉、神奈川の4つの都県では、震度6強の、激しい揺れが予想されます。

このうち、首都中枢機能への影響が、最も大きいと考えられるのが、都心南部の直下で起きる、マグニチュード7.3の大地震、都心南部直下地震。

沿岸部では、震度7の揺れが想定されていて、建物の被害は、19万4431棟、死者数は6148人と想定されています。

想定では、死者数の6割である、3666人は揺れで、4割である、2482人は火災によって亡くなる、と予想されています。

東京都は、首都直下型地震が起きたときの、危険地域をランキング形式で発表しました。

ランキングでは、荒川区・荒川6丁目から、このような順番で、首都直下型地震の影響を強く受けることになります。

では、首都直下型地震が起きたときの、内閣府が発表した被害想定について、詳しく見てみましょう。

首都直下型地震の被害想定

まず、地震の揺れによる被害。

揺れによる全壊家屋は、約175000棟、建物倒壊による死者は最大約11000人、そして揺れによる、建物被害に伴う要救助者は、最大約72000人となります。

首都直下型地震で、最も恐れられているのは、市街地火災の多発と延焼。

火災による消失は、もし冬の夕方、風が強い最悪の場合だと、最大約412000棟、建物倒壊などと合わせると、最大約610000棟となります。

死者は、最大約16000人、建物倒壊などと合わせると、最大約23000人にも上ります。

けが人は12万3,000人、救助が必要な人は5万8,000人、避難者数は720万人に達すると想定されています。

さらに、インフラ被害も甚大なものとなります。

電力:発災直後は約5割の地域で停電。1週間以上不安定な状況が続く。
通信では、固定電話・スマホとも、9割の通話規制が1日以上継続し、メールは素早く送ることができなくなります。

上下水道は都区部で、約5割が断水、約1割で、下水道の使用ができません。

交通では、地下鉄は1週間、私鉄・在来線は1か月程度、開通までに時間がかかる可能性があります。

主要路線を再開するには、少なくとも1〜2日必要で、その後、緊急交通路として使用されるでしょう。

都区部の一般道は、ガレキや、放置車両などが発生、深刻な交通麻痺が問題となります。

港湾においては、非耐震岸壁では、多くの施設で、機能が確保できなくなり、復旧には数か月かかります。

燃料について、油槽所・製油所において備蓄はありますが、タンクローリー不足、深刻な交通渋滞により、非常用発電用の重油を含め、軽油、ガソリンなどの消費者への供給が、難しくなります。

経済的被害は、建物などの直接被害で、約47兆円。

生産・サービス低下の被害は、約48兆円になり、合計は約95兆円ということで、これは国の年間予算に匹敵する数字です。

火災リスク

首都直下型地震で、最も恐れられているのは、火災リスク。

地震の後に発生する火災は「同時多発火災」と呼ばれていて、一つ発生した火災は、ドミノ倒しで引火していきます。

首都圏で想定されている、出火件数は最悪の場合、2,000件。

これに対し、通常の火災に備えている、消防のポンプ車の数では、足りなくなります。

1つの火災に対して、複数のポンプ車が、必要となる場合が多く、消防力が限界に。

東京都内だけでも、初期消火が行われず、1200件の出火に対し、ポンプ車は700台弱で、明らかに足りません。

さらに、消火栓が使えなくなったり、ポンプ車が、交通渋滞で駆けつけられなくなり、各地で大規模な延焼につながることが、予想されています。

その結果、焼失する建物の数は、最悪の場合で約41万棟。

特にリスクが高いのは、山手線の外側から、環状7号線の間に多い、木造住宅が密集して広がる地域、いわゆる「木密地域」です。

都は23区内で、52ヵ所の木造地域を指定していますが、環状7号線内の大田区や、品川区内にも点在しています。

これらの地域では、消防車が入りにくい細い道路も多く、延焼が拡大する危険性があるのです。

このような、一件の火災で、延焼に巻き込まれるかもしれない建物群は「延焼運命共同体」と呼ばれ、東京には3000棟以上が燃える「延焼運命共同体」が、約70か所あることが分かっています。

特に、深刻な火災の被害が想定されているのは、練馬区、杉並区、中野区、世田谷区、大田区、江戸川区、葛飾区、足立区で、この地域では、四方を火災で取り囲まれ、避難が遅れると、地獄絵図となるでしょう。

さらに、都市の地震で起きる、火災の1つに「火災旋風」があります。

最大高さ200mを超える、巨大な炎の渦が、竜巻のように、家屋や人を吹き飛ばし、街を焼き尽くす現象です。

単なる火災と違い、火災旋風は移動することもあり、風速60mにも達する、凄まじい風で被害をもたらします。

しかも、火の粉を遠くまでまき散らし、もともと火種のなかったところにまで、延焼を拡大させます。

どの火災現場でも発生する可能性があり、動いていく方角を、予測することはできません。

特に、人が密集する、東京のような大都市では、火災旋風の発生が、大きな人的被害を招くおそれがあり、危険視されています。

過去にも、東日本大震災で、宮城県気仙沼市、震災から3日後に、大規模火災が起きた後に、高さ230メートル・幅130メートルという、巨大な火の渦が突然、火災現場に現れました。

群集雪崩

首都直下地震が起きた際、帰宅困難者は、1都4県で800万人に達すると、予測されています。

そうした中、街にあふれる歩行者が、なんらかのきっかけで引き起こす脅威が、群衆雪崩と言われています。

発生する恐れのある場所は、歩道橋や、地下街への入り口のような階段近く、急に道が細くなった路地など。

歩行者が密集しやすい場所で、ビルから物が落下するなど、突発的な出来事がきっかけとなり、群集が一気に動きだし、誰かがつまずいて倒れたところに、周りの人たちも、雪崩を打つように、折り重なって転倒します。

下敷きになって押しつぶされた人は、最悪の場合、呼吸困難などで、死に至ることも。

よく耳にする「将棋倒し」という言葉は、1㎡あたりに、3人から5人以上が密集した時に、後ろの人が、前の人を突き倒す形で、後ろから前へ、転倒が拡大していく現象のことを言います。

将棋倒しの、より深刻な現象が、群集雪崩なのです。

1㎡あたり、10人以上が密集したとき、前の人の転倒に、後ろや左右、多方向の人が引き込まれる形で、前から後ろに、どんどん拡大していくとされています。

首都直下地震で、800万人に達すると言われる帰宅困難者の、8割は都心に一極集中し、東京だけで、650万人の帰宅困難者が出る、と言われています。

ある実験によると、発災から1時間後、丸の内で広範囲で過密状態が発生し、1㎡あたり6人以上という、超過密エリアも生まれる、という結果になりました。

さらに、新宿や渋谷、赤坂など、東京の至る所で、危険な過密状態が発生する可能性があり、首都直下型地震では、群衆雪崩による被害拡大も懸念されています。

地震洪水

河川の堤防が、地震による揺れや液状化で、致命的なダメージを受け、川の水が市街地に流れ出す現象。

これを、地震洪水と言い、首都直下型地震では、このリスクもあります。

2016年の熊本地震で、最大震度7の地震が、短期間に2回発生して以降、地震による、堤防決壊の危険性が、可能性として、大いに考えられるようになりました。。

被害が大きくなる恐れが特に高いのが、ゼロメートル地帯、東京東部や名古屋などに広がる、地盤が海水面よりも、低い土地を襲う地震です。

例えば、東京湾に面した、ゼロメートル地帯には、176万人が暮らしています。

普段は堤防で守られていますが、地震の繰り返しで、堤防が破壊される可能性があり、市街地は地震だけでなく、同時に地震洪水にも、襲われる可能性があります。

しかも、ゼロメートル地帯は、雨が降っていなくても、浸水が一気に広がります。

このように、首都直下型地震では、地震だけでなく、地震によって引き起こされる洪水にも、注意しなければなりません。

住宅不足

ここからは、首都直下型地震が起きた後の被害について、見ていきます。

まずは、住宅不足。

国の想定では、首都直下地震で全半壊する住宅は、314万戸にのぼります。
そうすると、住む場所を確保できず行き場を失う、住宅難民が大量に発生。

国は、プレハブ仮設住宅を建設し、賃貸住宅を、借り上げ仮設住宅として利用する「みなし仮設」を提供すれば、多くの住居を確保できるとしていますが、それでも18万戸が不足します。

さらに、仮設住宅を、それぞれの区内だけで確保しようとした場合は、より深刻で、地震の揺れ・火災の被害が大きい20の区では、数千戸~数万戸の、仮設住宅が不足する結果に。

最も大きな被害を受けるのは、大田区の4万436戸。

未治療死

何とか地震や火災の被害から生き延びても、生き延びた命を救う、最後の砦・病院も、停電などで、深刻な事態に陥ります。

停電が発生し、燃料が不足し、非常用電源が停止すると、「呼吸器」や「検査機器」など、あらゆる機器が使えなくなり、治療できずに死亡する、未治療死へとつながります。

あるシミュレーションでは、医療スタッフの不足に加え、停電や断水といった要因を考慮すると、未治療死は、地震発生から8日で、7400人強にのぼる恐れがある、という結果に。

未治療死は、国の被害想定にある、約2万3000人の死者には、含まれていません。

このように、地震から生き延びた後も、多くの人が亡くなるリスクがあるのです。

日本社会の危機

首都直下型地震の結果、日本経済が受ける被害総額は、1年間で95兆円、20年では731兆円。

この先には、何が待っているのでしょうか?

まずは、「定価がなくなる世界」が来ると言われています。

これは、地震前に定価で買えていたものが、地震後は闇市のような場所で、物が売られるようになり、物を簡単に手に入れることが、できなくなるかもしれません。

また、物流が止まり、あらゆる生活必需品のコストが跳ね上がることも、十分考えられます。

さらに、赤字国債が増発され、財政や金融の政策が縛られてしまう、財政破綻も起こり得るでしょう。

その結果、1ドル200円になることも想定され、海外からものを買えなくなって、物資不足になることも。

そして、復興資金のための増税、いわゆる復興増税が行われる可能性もあります。

そうすると、相対的に高所得者よりも、低所得者の方が負担が大きくなり、格差の拡大が日本で広がります。

この復興増税は、地方の人も負担しなければならないので、これが地方の不満につながり、東京と地方の分断も広がります。

さらに、失業者増加・人口減少・日本製品離れなど、首都直下型地震は、日本社会を危機へ陥れる要素が、たくさんあるのです。

首都直下型地震はいつ起こる?

では、この首都直下型地震は、どれくらいの確率で起こると言われているのでしょうか?

政府によって、令和4年に発表された資料によると、首都直下型地震は「30年以内に70%」の確率で起こると言われています。

地震調査委員会は、1703年に発生、マグニチュード8.2の元禄関東地震から、1923年に発生、マグニチュード7.9の関東大震災までの220年間を、1つのサイクルとして、今後のマグニチュード7クラスの大地震の、発生確率を予測。

その結果、220年の間に、マグニチュード7クラスの大地震が、8回発生しているので、単純計算すると、27.5年に1回。

これをもとに、地震学で用いられる、将来予測の計算式に当てはめると、今後30年以内に70%、という発生確率が導き出されたのです。

関東大震災から、100年以上が経過した現在、これから活動期に入ると指摘されている、地震活動。

日本の首都・東京を襲う大震災は、いつ起こってもおかしくありません。

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