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短編小説

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何も考えていない? そんなことありません。これまでに書いた短編小説をまとめています。
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#短編

【小説】「裏切るなら自分(仮)」#3(短編集『感情採集』より)

 ――本上聖(11)の場合。  だって、ジャングルジムの上からこうさ、銃を構えて、バンバ…

灰かぶりの猫
1か月前
7

【小説】「裏切るなら自分(仮)」#2(短編集『感情採集』より)

 ――君塚徹(34)の場合。  攻守逆転だって? バカな。確かに手を出したよ。文字通り、…

灰かぶりの猫
1か月前
8

【小説】「裏切るなら自分(仮)」#1(短編集『感情採集』より)

 ――本上日葵(17)の場合。   あんたよくさ、涎にまみれた他人の言葉を鵜呑みにできる…

灰かぶりの猫
1か月前
9

【短編小説】「人生劇場」最終話

 タクシー運転手の小門政明は、「とりあえず出してください」と男に言われた通り、交差点を右…

灰かぶりの猫
1か月前
14

【短編小説】「人生劇場」第4話(全5話)

 ビルの壁のパネルに、休憩90分3000円~、120分3500円~、と書かれていたホテル…

灰かぶりの猫
1か月前
12

【短編小説】「人生劇場」第3話(全5話)

 6月20日。午前11時。  昨日の夜9時から深夜の1時過ぎまで、景子は1時間おきに、夫…

灰かぶりの猫
1か月前
16

【短編小説】「人生劇場」第2話(全5話)

 森野由梨こと、本名矢井田茜は、SNSの闇バイトで知り合った鏑木という男から、今日の午前10時30分ごろ、「ソドムの森」というラブホテルの101号室を訪ね、その部屋に待機している男に、「YUYA ABE」のクレジットカードを渡すようにと指示されていた。  その後のことについては、そのまま男と事を行うのが嫌なのであれば、上手く話をそらして、部屋から逃げ出すなり何なりすればいいとも言われていた。K町のホストの黒鉄大也に貢ぐための、たった5万円ぽっちの報酬欲しさに、深く考えもせず依

連載【短編小説】「わたしの『片腕』」最終話

 携帯電話がなかった当時、顔を知らない相手と会うためには、待ち合わせ場所は文字通りピンポ…

灰かぶりの猫
2か月前
12

連載【短編小説】「わたしの『片腕』」第三話

 先ほどお話したように、わたしの肩の付け根の傷跡については、母にいくら訊ねても、梨のつぶ…

灰かぶりの猫
2か月前
10

連載【短編小説】「わたしの『片腕』」第二話

 突然、席を外してしまって申し訳ありません。  さて、わたしが川端康成さんの『片腕』とい…

灰かぶりの猫
2か月前
15

連載【短編小説】「わたしの『片腕』」第一話

 「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。  という書き出しではじまる、川端康成…

灰かぶりの猫
2か月前
39

連載【短編小説】「あなたの色彩は、あなたの優しさ、そのものでした」最終話

登場人物 三守琥珀  わたし。二十歳の大学生。PSYさんと向き合うことで、ふたをしていた…

灰かぶりの猫
2か月前
10

連載【短編小説】「あなたの色彩は、あなたの優しさ、そのものでした」第五話

登場人物 三守琥珀  わたし。二十歳の大学生。蜜柑への親友以上の感情を自覚している中、P…

灰かぶりの猫
3か月前
8

連載【短編小説】「あなたの色彩は、あなたの優しさ、そのものでした」第四話

登場人物 三守琥珀  わたし。二十歳の大学生。蜜柑への親友以上の感情を自覚している中、PSYさんの登場によって気持ちが揺さぶられ始める。 円谷蜜柑  わたしの親友。学年は一つ上。とにかく明るい。 橘真紅   蜜柑の高校時代の美術部の先輩。現代アーティスト。 PSY 真紅さんの知人。水彩画アーティスト。視線恐怖症。 前回のあらすじ 真紅さんと蜜柑を通じ、PSYさんからわたしのもとに、「この間のことを詫びたい」というメッセージが届く。悩んだ末に、分かりましたと返事をする