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短編小説

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何も考えていない? そんなことありません。これまでに書いた短編小説をまとめています。
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記事一覧

【小説】「裏切るなら自分(仮)」#4(短編集『感情採集』より)

 ――中田香織(30)の場合。  息子だからって、いつまで紐で繋いでろって言うんですか?…

11

【小説】「裏切るなら自分(仮)」#3(短編集『感情採集』より)

 ――本上聖(11)の場合。  だって、ジャングルジムの上からこうさ、銃を構えて、バンバ…

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【小説】「裏切るなら自分(仮)」#2(短編集『感情採集』より)

 ――君塚徹(34)の場合。  攻守逆転だって? バカな。確かに手を出したよ。文字通り、…

9

【小説】「裏切るなら自分(仮)」#1(短編集『感情採集』より)

 ――本上日葵(17)の場合。   あんたよくさ、涎にまみれた他人の言葉を鵜呑みにできる…

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【短編小説】「人生劇場」最終話

 タクシー運転手の小門政明は、「とりあえず出してください」と男に言われた通り、交差点を右…

灰かぶりの猫
2週間前
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【短編小説】「人生劇場」第4話(全5話)

 ビルの壁のパネルに、休憩90分3000円~、120分3500円~、と書かれていたホテル…

灰かぶりの猫
2週間前
11

【短編小説】「人生劇場」第3話(全5話)

 6月20日。午前11時。  昨日の夜9時から深夜の1時過ぎまで、景子は1時間おきに、夫正則のスマートフォンに電話を掛け続けていたが、正則が出る気配は全くなかった。 LINEに何度メッセージを送っても既読が付かず、今朝になってから会社に電話を入れ、上司の坂本さんに「夫は出社してますか」と聞いてみたが、「え? 景子さんも知らないんですか? 私の方も何度も掛けては見ているんですが、まったくのなしのつぶてですね。どうしたんでしょう。彼らしくもない」。    坂本が言うように、正則は

【短編小説】「人生劇場」第2話(全5話)

 森野由梨こと、本名矢井田茜は、SNSの闇バイトで知り合った鏑木という男から、今日の午前…

灰かぶりの猫
3週間前
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連載【短編小説】「わたしの『片腕』」最終話

 携帯電話がなかった当時、顔を知らない相手と会うためには、待ち合わせ場所は文字通りピンポ…

灰かぶりの猫
1か月前
13

連載【短編小説】「わたしの『片腕』」第三話

 先ほどお話したように、わたしの肩の付け根の傷跡については、母にいくら訊ねても、梨のつぶ…

灰かぶりの猫
1か月前
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連載【短編小説】「わたしの『片腕』」第二話

 突然、席を外してしまって申し訳ありません。  さて、わたしが川端康成さんの『片腕』とい…

灰かぶりの猫
1か月前
16

連載【短編小説】「わたしの『片腕』」第一話

 「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。  という書き出しではじまる、川端康成…

灰かぶりの猫
1か月前
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連載【短編小説】「あなたの色彩は、あなたの優しさ、そのものでした」最終話

登場人物 三守琥珀  わたし。二十歳の大学生。PSYさんと向き合うことで、ふたをしていた…

灰かぶりの猫
1か月前
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連載【短編小説】「あなたの色彩は、あなたの優しさ、そのものでした」第五話

登場人物 三守琥珀  わたし。二十歳の大学生。蜜柑への親友以上の感情を自覚している中、PSYさんの登場によって、気持ちを揺さぶられ始める。 円谷蜜柑  わたしの親友。学年は一つ上。とにかく明るい。 橘真紅   蜜柑の高校時代の美術部の先輩。現代アーティスト。 PSY 真紅さんの知人。水彩画アーティスト。視線恐怖症。 三守太陽 わたしの五つ下の弟。わたしと共に、十年前のブラックアウトを経験。 前回のあらすじ まるで介抱をするかのように、泣きじゃくっていた男の子の涙