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短編小説

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何も考えていない? そんなことありません。これまでに書いた短編小説をまとめています。
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2024年5月の記事一覧

【小説】「裏切るなら自分(仮)」#4(短編集『感情採集』より)

 ――中田香織(30)の場合。  息子だからって、いつまで紐で繋いでろって言うんですか?…

灰かぶりの猫
1か月前
11

【小説】「裏切るなら自分(仮)」#3(短編集『感情採集』より)

 ――本上聖(11)の場合。  だって、ジャングルジムの上からこうさ、銃を構えて、バンバ…

灰かぶりの猫
1か月前
7

【小説】「裏切るなら自分(仮)」#2(短編集『感情採集』より)

 ――君塚徹(34)の場合。  攻守逆転だって? バカな。確かに手を出したよ。文字通り、…

灰かぶりの猫
1か月前
8

【小説】「裏切るなら自分(仮)」#1(短編集『感情採集』より)

 ――本上日葵(17)の場合。   あんたよくさ、涎にまみれた他人の言葉を鵜呑みにできる…

灰かぶりの猫
1か月前
9

【短編小説】「人生劇場」最終話

 タクシー運転手の小門政明は、「とりあえず出してください」と男に言われた通り、交差点を右…

灰かぶりの猫
1か月前
14

【短編小説】「人生劇場」第4話(全5話)

 ビルの壁のパネルに、休憩90分3000円~、120分3500円~、と書かれていたホテル…

灰かぶりの猫
1か月前
12

【短編小説】「人生劇場」第3話(全5話)

 6月20日。午前11時。  昨日の夜9時から深夜の1時過ぎまで、景子は1時間おきに、夫正則のスマートフォンに電話を掛け続けていたが、正則が出る気配は全くなかった。 LINEに何度メッセージを送っても既読が付かず、今朝になってから会社に電話を入れ、上司の坂本さんに「夫は出社してますか」と聞いてみたが、「え? 景子さんも知らないんですか? 私の方も何度も掛けては見ているんですが、まったくのなしのつぶてですね。どうしたんでしょう。彼らしくもない」。    坂本が言うように、正則は