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#創作大賞2024 応募作品

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創作大賞2024に応募した作品のまとめです。
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#創作大賞2024

【短編小説】「人生劇場」最終話

 タクシー運転手の小門政明は、「とりあえず出してください」と男に言われた通り、交差点を右…

灰かぶりの猫
2か月前
14

【短編小説】「人生劇場」第4話(全5話)

 ビルの壁のパネルに、休憩90分3000円~、120分3500円~、と書かれていたホテル…

灰かぶりの猫
2か月前
13

【短編小説】「人生劇場」第3話(全5話)

 6月20日。午前11時。  昨日の夜9時から深夜の1時過ぎまで、景子は1時間おきに、夫…

灰かぶりの猫
2か月前
15

【短編小説】「人生劇場」第2話(全5話)

 森野由梨こと、本名矢井田茜は、SNSの闇バイトで知り合った鏑木という男から、今日の午前…

灰かぶりの猫
2か月前
12

【短編小説】「人生劇場」第1話(全5話)

 仁村岳弘の頭頂部すれすれを、喚きたてるようなエンジン音をさせながら、何台ものオートバイ…

灰かぶりの猫
2か月前
17

【小説】「渋谷、動乱」エピローグ

 翌日の朝、知らないうちに運び込まれていた病院のベットで、奥田秋生は目を覚ました。意識が…

灰かぶりの猫
1か月前
24

【小説】「渋谷、動乱」第8話

 ――まさか、こんなことになるとは。  ハチ公前広場の群衆の波にもまれ、身動きが取れなくなっていた奥田秋生は、当初の計画の変更を余儀なくされつつあった。奥田はネットカフェ「トマリギ」の303号室で、掲示板の監視を行っていた最中、急に立ち上がった箭内聡明に関するスレッドに、渋谷の書き込みを見つけた。さらに、YouTubeでの動画配信を見た瞬間、居ても立っても居られなくなり部屋を飛び出した。出動の時間だと思った。街が呼んでいると思った。  息せき切って広場にたどり着き、即、事

【小説】「渋谷、動乱」第7話

 ハチ公前広場から4車線の神宮通りを挟み、広場全体を見下ろすことが出来るガラス張りのビル…

灰かぶりの猫
1か月前
10

【小説】「渋谷、動乱」第6話

 Nテレビ系列の夕方の情報番組「ザ・ライブ」のコーナー枠で放送する、巷の「○○推し特集」…

灰かぶりの猫
1か月前
11

【小説】「渋谷、動乱」第5話

 YouTuberの錦戸愛斗と野間紅が待機していた場所から、渋谷駅の構内へと下る階段を挟み、ハチ…

灰かぶりの猫
1か月前
10

【小説】「渋谷、動乱」第4話

 スクランブル交差点から、地下を東急田園都市線が走る道玄坂の大通りを進み、間もなく右手に…

灰かぶりの猫
1か月前
9

【小説】「渋谷、動乱」第3話

 渋谷駅に向かって走る電車内で、SNSで突然、地鳴りに関するツイートが増え始めたことに気…

灰かぶりの猫
1か月前
9

【小説】「渋谷、動乱」第2話

 大澤美桜が、高校時代の友人の中村早矢香と、あらかじめ調べに調べ尽くしたルートを通り、そ…

灰かぶりの猫
1か月前
14

【小説】「渋谷、動乱」第1話

 ――2021年7月31日。午前11時14分。  鏡のように磨き上げられた琥珀色の木目の床に、中町康太の襟足の髪がパラパラと落ちていく。康太の後ろでやや中腰になり、細身の鋏を自分の手先として操る藤堂凌太朗の手は、片時も休まることなく、リズムよく、自分に与えられたカットの時間の一秒一秒を、文字通り切り刻んでいた。店内に流れる、しっとりとしたクラシックの音量は控えめで、鋏が髪を切る「サクッサクッ」という音はもちろん、耳をすませば、櫛が髪を梳く音さえ聞こえそうなくらい、店内は静寂