長い独身から結婚するまで

1、生い立ち
私は小さい頃から、友達が周りに集まるような女の子に憧れていた。スクールカーストではいつも最下位で、いじめられたり、仲間はずれにされたり、避けられたりすることが多かった。

高校、大学、社会人と環境が変わる度に、こんな自分をリセットしよう!と決意し、明るく振る舞ってみるが、なぜか苦笑いされたり、意見されて傷ついてしまい、萎縮していた。今思えば、何らかの特性があるのだと思う。

そんな私なので、恋愛は片思いばかりで、友達との恋バナが苦痛だった。自信がなくて、プライドが高いのだ。
大学の頃に好きになった相手がいた。あちらも意識してくれていた(と思う)けど、誘うのはおろか脈アリと分かる言動もできず、彼が遠くに転居して終わり。

その事を後悔していた私は、次に好きになった人の職場を会えるのを期待してうろつき、暴走していた。その頃はまだストーカーという言葉が認知されていなかったのだけど、いま思うと相手には本当に迷惑を掛けてしまった。その後は別の人に片想いし、遊ばれているだけの関係も長くあった。

2、人生の転機その1
さて、あの選択をしたから今がある、という話をしたいと思う。
ふたつあって、ひとつ目は、会社の人たちと飲みに行ったとき。私は事務職で、5歳年下の営業の彼と真面目同士お似合いじゃない?と周りがノリで言った。私はいままで意識したことは無かったけれど、彼の仕事ぶりや誠実な態度は信頼できると感じていた。

彼は今思うと気を遣ってくれたと思うけれどカラオケでデュエットに誘ってくれたり、色々と話をした。帰りは周りの勧めで連絡先を交換し、タクシーで二人で乗り込んだ。私は浮き足だった気持ちで、恋が始まる予感に脳内が花畑になっていた。

車内で彼は、僕は弟のようなものですか?と聞いたので、私は本当にあなたは話しやすくて素敵だという気持ちから、はい!と答えた。その後は普通に会話をし、彼は自宅近くでタクシーを降りた。

後日、待てども連絡が無く、こちらから送ってみても返信は無かった。3日も経つと、楽しく話をしたと思っていただけに、返信くらいあってもいいんじゃない?と怒りに変わってしまった。仕事で接するのが本当にしんどかった。

私は実家暮らしだったが、イライラして携帯を見てばかりいた。そんな時に親に話しかけられると生返事してしまい、本当に放っておいてほしかった。

相手のことも自分のことも嫌いになり、イライラを抑えられなくなり、何か大きな刺激が欲しいと感じた。

ある日、一人暮らしをしよう!と思い立ち、すぐに不動産屋に行き、希望を伝えた。
職場に近くて、家賃は四万円くらいまで。都市ガスを希望しますと言うと、お兄さんは、なかなか難しい条件ですね、、と言いながら、ピッタリの物件を見つけてくれた。築年数は20年以上だけど、ラッキーなことに内装をリフォームしたばかりでとてもキレイだった。

すぐに引っ越しをして、新しい部屋で音楽を聴きながらくつろぐと、傷は癒されていったが、まだ忘れるには刺激が足りないと思った。

携帯を取り出し、結婚相談所のホームページを比較した。そのうち一社に面談予約をした。ビルの15階にあり、初めての結婚相談所に恐れおののいて受付の電話を鳴らした。
面談の説明は分かりやすく、費用がかかるが、思い切って入会した。

相談所では、好きになったけれど先に進めなかった方がいた後は、誰も好きになれなかった。しかしその事をアドバイザーに言うと、お相手の不満を言うけれどじゃああなたが差し出せる価値は何ですか?みたいなことを説教されてしまうので、
私なりに相手の良いところを見ようと何度もデートをするものの、帰りはただ疲れていた。

3、人生の転機その2 
相談所での婚活も2年を過ぎたころ、一人暮らしの身には月会費が負担になっていたし活動もマンネリになっていた。
ある日、職場近くの公園でお弁当を食べながら生活費の無駄がないか考えていた。

そして、相談所を辞めよう、ネットで色々な人と知り合えば、世界中を探せば、20人は結婚できる人が見つかるに違いない!と考えた。

すぐに相談所に退会したいので、手続きをお願いしますとメールを送った。最近はアドバイザーからはずっとフォローや連絡がなかったけど、今回ばかりはすぐに返信が来て、面談しましょうとのことだった。

とりあえずオフィスに向かい、活動費がきついので、と説明した。
アドバイザーは、あなたは長く続けているので、活動費を下げさせていただきます。と答え、改めてどんな相手が希望なのかを聴き取りしてくれた。

今まで紹介されていたのはほとんどが不器用そうな、私と同様に自然な出会いがなさそうな方々だったが、その後から紹介された人達は、自然に出会いがありそうな、なぜ相談所にいるの?という方ばかりで、まさかサクラではないかと心配していた。

ある日紹介を受けた相手と会うことになり、待ち合わせの場所でいつものお見合いのようにコーヒーを頼もうとすると、彼はメニューからケーキセットじっとみて、良かったらケーキを食べませんか?と聞いた。

初対面でケーキなんて変わってるなと思いながら、ケーキ食べたさに注文した。
その後の会話では、職種や趣味が似ていたので、とても話が盛り上がった。

また会えることを約束してお開きになり、私は帰りのバスで、こういう人に会いたかった…!と感激のあまり、あふれる涙が止められずずっと泣いてしまった。

その後何度か会ったあと、相談所用語で真剣交際という世間一般の彼氏彼女として付き合っている状態になった。
毎週末一緒に過ごし、色々なところに出掛けて本当に幸せだった。
3ヶ月ほど経ち、成婚退会した。その半年後に入籍した。37歳のとき。

結婚生活は大変なこともあるけれど、ずっと一人でいるのは老後が寂しいのではと不安だったし、憧れのお母さんにもなる機会にも恵まれたから幸せだと感じている。

それには今のままではいられない!と頭を殴られるようなしんどい経験が必要だったのだと、今は思っている。




#あの選択をしたから


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