6.答え ②移乗は健側「非麻痺側)から行うことを先に教える → ダメな理由

答え 麻痺側回りの移乗から教えます。

脳卒中に罹患した患者への移乗動作は、教科書的には非麻痺側回りからの方法を教えると書かれています。

何が悪いのでしょうか。

他にも理由があるのですが、力学的視点のみで説明します。

通常私たちは左右差が少ないので、立ち上がりなどで右と左の力を同時に出すと左右の均衡が取れていて釣り合います。そのため、立ち上がる際に左右どちらかにバランスを崩すと言うことはありません。

脳卒中になって左上下肢が麻痺したとします。
仮に、左下肢の筋力2、右下肢の筋力10とします。
これを単純に左右の押し合う力のだと考えてください。

右10 − 左2 = 右8

と言うように、右下肢の力が勝ってしまい、左側に倒れてしまいます。

このような患者を臨床で一度と言わず、なん度も経験しませんか。力の釣り合いに主眼を置いて説明していますが、いわゆるプッシャーシンドロームです(押す人現象)。

このケースだと、非麻痺は右です。右上下肢の力が勝ってしまうので、右方向(非麻痺)へは移乗しにくいのです。

逆に麻痺側回りの移乗は患者の得意な麻痺側方向への力を使うため、麻痺側回りの移乗を先に教えると患者の力が引き出しやすくなります。

麻痺側回りを教えると、2人で一生懸命介助していた患者が、1人の介助で楽に乗り移ることができるようになります。

注意点として、移乗時に下肢が交差しやすくなります。あらかじめ麻痺側下肢を前に出し、非麻痺側下肢を少し引いておくと交差せずに移乗できますよ。

明日から麻痺側回りの移乗をしてみませんか?

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