Xデザイン学校校外研修旅行(京都)フィールドワークとKA法

本当はビギナーコースの第5回のnoteを書く予定だったのだが、京都で学んだこと・感じたことの整理をしないと次に進めないなと思い、立ち戻ることに。
googleのリフレクションにも詳細書いたつもりではあるが、もっと"雑味"を含んだ内容を書いていく。この雑味というのがビギナーコースの方でもキーワードになりそう。

校外学習では「京都で暮らす」をテーマに全4回の講義、うち2回は一泊二日で京都でのフィールドワークを体験した。
悔しい、とか、反省、とかはXデザインではよくある感情だが、京都ではもっと、危機感に近いものを感じた。
それぞれ受講後に感じたこと、今振り返った時の見え方の違いも残しておきたい。

第1回

第1回はオンラインで、京都に暮らす人のインタビューを元に価値カード、価値マップの作成を行った。
特に初回は、班の皆さんの頭の回転が速いと感じていて、ワークの中でも正直ついていけていないところが多かった。本当はどこが分からないか、声を上げるべきなのだがそれも出来ず仕舞い。時間が少ないのも気になってしまった。(これは今後絶対気を付ける)
アウトプットがすごいとか、仕事ができる人とかはたくさん見てきたが、ここまで頭の良さ(この表現は好きじゃないが『地頭』)が明確に自分と違うという感覚は久々だった。
いくつかの価値をグループ化して抽象化する、別の価値との相関を図で表す、、、というスキルの部分より、手前の部分でもうコケている感じ。かなり強烈に差を感じた。背筋が伸びた。
ただし、この辺りは今振り返ると感覚が違っていて、そこに面白さを感じていたりする。それは最後に。

講師の松薗さんからいただいたポイントで印象に残っているのは下記。
・知ってしまった以上、知らなかった過去には戻れない。
・他者を問うことは自分を問うことである。
・UXリサーチは「何を解決すべきか」は分かってもどう解決すべきかは教えてくれない。それを考えるのは私の仕事。
インタビューは顕在化した5%の意識を掠っているだけ。

HOW TOで押さえたいポイント

・出来事の中で「文化」のような抽象度が高い言葉が出てきているときは、ニュアンスが人によって変わることが多いので丁寧に対話したほうが良い。
・価値マップの中で大きなくくりになっている島は分かったつもりになっているところ。怪しむ。
・動詞+名詞の形にすることで価値の粒度がそろいやすい。

京都第2回・第3回(フィールドワーク)

班の中で5名チームに分かれて、対照的な2か所のフィールドワークを行う。
我々はお金持ちが住む(先生もお住いの)御所南エリアと、学生街の雰囲気のある出町柳周辺。私は後者の方に3人チームで臨んだ。
といっても、エリアがちゃんと決まったのは1日目の午後になってからで、朝の数時間を棒に振っている。その時点で出遅れているわけだが、致命的なことに気づいたのは2日目だった。

2日目は午前中がフィールドワーク、午後から価値カードの作成と価値マップの作成、発表という流れなのだが、価値カードの作成で手が止まった。
人の行為・背景を価値カードに落とし込めない。


「古くからの京都の細やかさを知っている価値」
「分かる人には分かる"良い"物と出会える価値」
「仲良しの友達と気軽に(自転車で)探検できる価値」


うまく価値化できなかったのは自分だけでなくチーム全体で、捻り出した価値をグループ化しても、御所南と出町柳の地域差は全くなく。
「自分の価値を認められる」など、陳腐な言葉が並ぶだけの価値マップになった。
その時点で分析はうまくいっていない。そもそもピックアップした行動の対象が違うのか、それともインタビューが表面的だったのか。インタビューでは聞けているのにその後の分析で抽出できていないのか。
エクストリームな事象に釣られて隠れたあるあるに注目できていない、もあるだろう。つまるところ全部うまくいかなかった。

フィールドワーク2日目が終わった時に班で出た振り返りとしては、「フィールドワークで調査をしている時に、自分の物の見方が”視座”なのか”バイアス”なのか分からない」「エクストリームな事象に引っ張られてしまった」「行為の背景を分析して価値カードへ落とし込む時に陳腐になる」というようなことだった。
観点は正しかったと思う。その上で、「次どうするか?」を考える必要があった。

第4回

価値マップを元に、それぞれの地域の仮想ペルソナを作成するというのがこの日のテーマだったが、我々は価値マップの見直しから始めた。
それ自体は間違いではなかったと思うが、価値カード自体が凡庸なものだったため、作業が難航。
作成されたペルソナ自体はそこに住んでいそうな内容に仕上がったと感じていたが、FBとしては多くの指摘をいただいた。
どれくらい散々だったかということで、仮設ペルソナとFBの一部を記載しておこうと思う。

年齢:38歳男性
出身:茨城県
現住所:京都市左京区
家族構成:結婚、娘が一人
趣味:ギター(たまに仲間とスタジオに行く)

大学で左京区に来て、学生時代を大好きな音楽をしながら左京区で過ごし26歳の時に就職。大阪へ引っ越した。
33の時に結婚前に左京区に帰ってきた。理由はなじみがある土地だし家賃が安いのといろんな店があるので楽しいから。
近所に行きつけの飲み屋があって、夜はよくそこに行って常連さんや店主などと話している。
いつ行っても知らない人が一人はいて、何にも知らないけどこの店が好きなことだけは一緒。

休日の昼はギターをさわりながら過ごしてる。最近はスタジオ勤めの知り合い経由でギター仲間が増えた。
夜は娘が寝てからお気に入りの飲み屋に行く。
同じ趣味の人や同じ店に集う人たちと話すのが楽しい。

大成功はできなかったが今も好きなことをできている自分がなんだかんだ結構好き。
自分も含めどんな人も受け入れられるような感じがするので居心地は悪くない。

作成したペルソナ

これ、インタビューした内容そのままじゃないのか?
薄っぺらい。暗黙の、言語化されていないものが見えてこない。
観光案内と変わらない。
分析をどこまでやったか心配。

「左京区自由だよね」は誰でも言うんだ。
それは、人生として成り立つのか?不安はないのか、将来を考えていないのか。それを見つけないといけない。それがないから薄っぺらい。
実は、こういうことをしているんですよ。がない。

表は良さげに見えるが、それだけな訳がない。明るいところがあったら、闇がある。
闇がすごく捻くれていたら、どれだけ表が明るくても居心地が悪い。
それを解決しようとしているなら良い場所。
もっと住むにあたっての懸念事項を入れないといけない。

リサーチは、ヒトの話を聞けばよいのではなく、経済がどう成り立っているかも重要。
一歩踏み込んで、言語化されてないあるあるまでたどり着いてほしい。

浅野先生講評

結局のところ、フィールドワークで得た内省を生かせていなかった。この事実が一番自分としては堪えている。
インタビューした特定の人に引き寄せられたのは事実で、最大公約数になっていない。隠れたあるあるもない。他の人にもこの要素ってあるよね、というのが今見返してもない。
この足りていない要素こそが冒頭で触れた"雑味"で、今後ビギナーコースの方で自分が最も意識しないといけない、チームに貢献できる部分だと思っている。

今感じていること

悔しさとか危機感は置いておくとして。
「あぁ、これが人との関わりを体感的に捉えるということだったのか。」という気づき。自分も無意識でやっていたのだと。
オフラインでのワークの良さを身体的な知覚を捉えられることだと先生がおっしゃっていたが、ワーク中は分かっていなかった。恐らく緊張もあったのかなと思う。

今振り返ると、初日に感じていた「よく分からないけどめちゃくちゃ頭がいい人たち」という印象は無くなっている。「よく分からないけど」の部分が取れた。
もう少し深堀すると、初日は彼らの意見の背景が分からないまま進んでいたので「よく分からなかった」が、今は背景を何となく汲み取ることができてきた。
あ、恐らくここが引っかかっているんだな、とか、この人とこの人は同調しやすいんだな、とか。

とすると、最初の印象は実は彼らの裏側の思考が分からないまま議論が進んでいたことに端を発するのでは?という仮説が立つ。
改めて
・分からないものを分からないと感じること
・何が分かれば行動できるのか考えること
・分からない状態でもきちんとネクストアクションを定められること
という自分の頻出課題と向き合うことに。
毎回向き合うと言いつつできていないなと思うが、長い期間かけて積み上げたものなので時間はかかるよねとも。

思考の背景が見えてきたきっかけは、この2人は同調しやすいんだなぁ…というふとした気づき。
ビギナーコースと京都フィールドワークの2つで、同時期に、ペルソナ作成という同様のテーマでグループワークをした(している)ことで、メンバーとの関り方や自分の"ポジションの置き方"に違いがあることに気が付けた。これは大きな収穫だと思う。
意見ではなく人に同調してしまうのは自分にもあることで、ゼロにすることは難しいと思う。が、せめて自分の傾向については自覚的であり続けたい。

身体知関連でいうと、フィールドワーク中の動き。初日はダンゴになって動いていたが、2日目は固まりすぎずそれぞれが自分の視点で見るようになっていた。4日目に先生から感度が鈍るというFBがあったが、そこは無意識に行動に移せていたので良かったところだと思う。

チームの方にはデザイナー・エンジニアが多く、これまで関わったことのない職種の方ばかりで刺激になった。
幸いなことにリベンジの機会は直近にある。しっかり走り切りたい。

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