2023年6月きいたもの、よんだもの

2023年6月にきいたり、よんだりしたうちで、印象に残っている作品です。きいたものは7作、よんだものは3作です。感想があるのとないのがあるのは、思いついたかそうでないかです。作品が気に入ったかどうかではありません。
順不同です。

きいたもの


Meshell Ndegeocello『The Omnichord Real Book』2023

ミシェル・ンデゲオチェロは好きで、作品はほとんどきいています。そのため新譜がでると、きくようにしていますが、近年の作品中でもいいなと思います。
アルバムを通してジャズとソウルが混じったような雰囲気が、どれもミシェル・ンデゲオチェロだなと思わせます。
曲数が多くアルバム全体で1時間を超えるのですが、様々なアーティストが参加しているためか飽きずにきくことができました。

基本的に彼女のベースが好きなのですが、特に出ている音・音色が太くて輪郭がはっきりしていてしっかりと土台を成していると思います。

気に入った曲は
M5 Omnipuss
M12 Virgo
M13 Burn Progression
M15 Vuma
あたりです。全体的にアルバム後半のほうが好きかもしれません。
下記のインタビューが面白かったです。

ブルーノートから初めてアルバムをだすこと、アルバムタイトルの意味、参加しているミュージシャンについて、述べられています。
インタビューと直接関係ないですが、個人的には、記事の途中ででてくる彼女のインスタの写真で、ベースとオムニコードが並べて写っている写真のベースの塗装の剥がれ具合が、かっこいいなと思いました。



Brian Blade Fellowship『Brian Blade Fellowship』1998

ドラマーのリーダー作品であるためか、ハイハットやライドのシンバルの繊細さが印象的でした。曲全体のアレンジもあると思うのですが、シンバルが流れるような爽やかさがあります。
それは70年代のフュージョンのような印象でもあるのですが、古臭さやその時代のフュージョンにあるような芋っぽさはなく、さらさらとしたきめの細やかさを感じます。さらさらとした、というのはやはり直接的にはシンバルワークが影響しているように思います。

ブライアン・ブレイドのリーダー作品をきいたのは初めてです。私が彼に興味を持ったのは
Meshell Ndegéocello『Bitter』1999(ジョー・ヘンリーは参加し、ブライアン・ブレイドは参加していない)
    ↓
Joe Henry 『Scar』2001(ブライアン・ブレイドが参加している)
という流れでした。
3作品に共通して参加しているミュージシャンはいない(と思う)のですが、なんとなく流れを意識してしまいました。といってもBrian Blade Fellowshipは歌は入っていないですし曲調も他2作品とは異なるので、あくまで個人的なものです。


The Meters『LIVE AT THE SHOWBOAT LOUNGE』2023(1977録音)

解散直前くらいの録音です。録音の音質はあまりよくありません。演奏そのものも全体を通してきくと、他のライブ録音に比べて張りがないというか、少し冗長にきこえます。M1のJust Kissed My Babyはねちっとしていて、ファンクだなと思わせるかっこよさがあります。


Mineral『The Power of Failing』1997

ジャケがかっこいいです。煮え切らないエモです。


Lynden David Hall『The Other Side』2000

イギリスのR&Bのシンガーですが、2006年に若くして亡くなっています。私はお店でかかっているので、たまたま知りました。
ボーカルにディアンジェロを感じるのですが、当時もディアンジェロに対するUKからの返答、みたいなことを言われていたそうです。

演奏全体のアレンジなのか、ボーカルなのか、曲はどれもききやすく、流しているとさらっときけてしまいます。


Curtsi Mayfield『Somthing to Believe in』1980

ずっとききたかったのですが、いつの間にかサブスクにあったのでようやくきくことができました。フィジカルはCDレコードともに高くて手に入りにくいので、買うのをためらっていました。
ディスコ全盛期だと思うのですが、あまりそちらには寄らず(M1は四打ちなのでそれっぽくもある)、ソウルをやり続けていることに感銘を受けます。
個人的には
M1 Love Me, Love Me Now
M4 People Never Give Up
が好きです。カーティス・メイフィールドはメロウな部分よりも、ゴリゴリと攻めるようなファンクが好きなのですが、この作品はそういう感じでもないのに好きです。


Who Parked the Car『Broken Glass』2023

Bandcampの月刊記事で知りました。アルバムの長さもちょうどよいです。

よんだもの


木村紺『神戸在住』全10巻

今年読んだものでも3本の指に入るほど素晴らしい漫画作品です。個人的にとても好みというのもあります。
エッセイ風というか、会話以外の部分が多く、1巻ごとにかなり読み応えたあり、時間がかかります。いくつかテーマがあるかと思うのですが、神戸の街並み、阪神淡路大震災、障害者・LGBTなどの視点(作品が書かれたのが2000年時点ですので、今とは多少状況が違うのだと推測されます)、それを1人の大学生という視点を通して描かれます。

絵もまた特徴的で、ほとんどフリーハンドというか手で描かれています。スクリーントーンがなく、服・髪や紙、影など通常トーンを貼るところを基本的にはすべてフリーハンドで描かれているように見えます。
個人的には人間の描き分け(特に顔)があまりわからず、登場人物を判別するのに苦労しました。

神戸在住は熱心な解説サイトがありますので、以下に紹介しておきます。

2000年前後の作品ですが、大学の部室で喫煙するシーンが多く、そこまで古くないのにここまで喫煙シーンがでてくるの、この20年くらいで少なくとも煙草に関してはだいぶ変わったのだなと、驚かされます(それが良い悪いではありません)。


竹易てあし『おひっこし』

沙村広明の変名での、短編集です。短編集ですが、半分以上はタイトルにもなっている「おひっこし」 が占めています。
ラブコメというとちょっと違う気もしますが、ポップで読みやすい作品でした。かなりラフにというか自由にかいているような気がして、気楽に読めました。


諸星大二郎『諸星大二郎自選短編集 彼方より』

「生物都市」が読みたくて手に取りました。文庫で読んだのですが、もっと大きなサイズで読んだらまた印象が違ったのかと思います。
「生物都市」はラストを読む限り、作品が作れらた時代(1970年代)的にも行き過ぎた機械文明に対する疑問や、アンチテーゼ的な解釈ができる気します。しかしそれよりも、話の進め方や構成力、全体を通した不気味さ(機械と合体・融合する人間が気持ちよさそうにしている様など)が際立っていて、短編で終わってしまうのはもったいないような話の力(ちから)でした。

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